○委員(土屋準君) 土木費におきましては、初めに、仮設スムーズ横断歩道の実証実験についてお伺いをいたします。
芝浦四丁目地区の区道で、昨年、車両のスピード抑制等の安全対策として、横断歩道を10センチ高くして、仮設スムーズ横断歩道を設置する実証実験が行われました。なかなかスムーズ横断歩道と言われても分かりにくいと思いますので、補足資料に写真を掲載しましたので、御覧いただければと思います。
同じものをこちらでパネルに用意しましたので、御覧いただければと思います。この場所は、旧海岸通りの1本裏手になる通りでして、ここにキャピタルマークタワーというマンションがあるのですけれども、そこの前のところの横断歩道になります。この地区は、区立芝浦小学校や区立芝浦幼稚園などが立地し、周辺道路は通学路やキッズゾーンが指定されており、仮設スムーズ横断歩道が設置された場所は、児童の登下校や園児の送迎などに利用されている生活道路となっております。
ただ、スピードを出す車両も多く目にする場所です。私も以前、地域の方から相談を受け、区に対応をお願いしてきましたけれども、最初は信号をつけられないかなど、そのような話もありましたが、なかなかそのようなものは難しくて、これまで歩行者等への安全対策として、自動車の運転者に対する注意喚起を目的とした路面のカラー化などの塗装などによって対応されてきました。
また、特に配慮する必要がある横断歩道では、児童の登下校時に横断の誘導が行われており、さらには、交通管理者である警視庁により、歩行者の面的な交通安全対策として、歩行者の通行が最優先され、自動車の最高速度を毎時30キロメートル以下に制限するゾーン30のエリアにしていただいております。
昨年6月には、千葉県八街市の通学路で児童5人がトラックにはねられて死傷するなど、痛ましい事故が発生いたしました。全国でもこのような痛ましい事故が発生していることから、通学路や生活道路での交通事故対策が急務となっております。
こうした状況の中、芝浦地区において、令和3年9月17日から10月16日までの1か月間、区は、国や警視庁と連携して、区道内に仮設スムーズ横断歩道を試行的に設置しました。この赤い部分、横断歩道のところを台形状に高くしてあるところです。走行速度の抑制や、歩行者横断時の車両停止率の変化の検証を目的とした実証実験が行われ、近隣の方々を対象に、区でアンケート調査を行ったと聞いております。
そこで質問ですが、アンケート調査や実証実験の検証結果と、設置後の課題はどのようなものでしょうか。
○土木課長(杉谷章二君) 自動車の速度抑制に関しましては、設置後は、路面に段差があることから、横断歩道付近を時速30キロメートル以上で走行する自動車の割合が半減したことや、横断歩道の手前で一時停止する車両の割合が増加するなど、一定の効果が確認されました。
詳細な検証結果につきましては、全国的に実証実験を行った国等が現在取りまとめを行っており、今年度中に公表すると聞いております。
一方、設置後の課題といたしましては、横断歩道を減速せずに通過する自動車が一部見られたことや、速度を超過した大型車等が段差を通過する際に発生する衝撃音などが確認されており、その対策の必要性が挙げられております。
○委員(土屋準君) 今回の実証実験は、生活道路の交通安全に係る新たな施策として、全国的な取組となっているようです。よって、生活道路における安全確保や交通安全対策の推進は、重要であると考えております。
そこで質問ですが、今後のスムーズ横断歩道の活用に当たっての展望について、どのように考えていますでしょうか。
○土木課長(杉谷章二君) 区は、生活道路における人優先の安全・安心な歩行空間の整備の新たな取組として、面的な低速度規制であるゾーン30と、生活道路における安全対策であるスムーズ横断歩道を適切に組み合わせることにより、さらなる安全対策につながるものと考えております。
今後の展望といたしましては、スムーズ横断歩道とともに、歩道のカラー化や無電柱化の推進といった、複数の生活道路における安全対策を組み合わせることにより、速度抑制や交通安全意識の向上に有効と考えられることから、国の動向を注視するとともに、他自治体の事例なども調査し、安全で安心な道路の整備に努めてまいります。
○委員(土屋準君) 意見の中では、どうしてもうるさいなど、そのような意見も出るかと思いますけれども、この地域の安全というか、そのようなものを何とかしてほしいという声が大きくありますので、ぜひいろいろな工夫を重ねていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、土木分野へのAI技術の導入についてお伺いいたします。
本年4月より、道路の維持管理にAI技術を生かす道路損傷検出システムを導入すると聞いております。このシステムは、区の庁有車に搭載するシステム専用のドライブレコーダーで、区道の画像を撮影し、その画像データからAI技術を用いて路面の状態を計測して、道路の損傷状態を自動的に検出するそうです。
これまで職員の皆さんが目視で行ってきた区道損傷の確認作業を、AIが精度を保って進めることで業務が効率化されることになると思います。平成30年度の港区AI元年以降、保育や新型コロナウイルス感染症対策など、様々な分野でAI技術を活用した取組が進む中、土木分野にもこのような取組が広がってきたものと思います。
このシステムは、区が独自に開発、運営するシステムではなく、MCRコンソーシアムという、東京大学等が主体になった共同事業体が開発、運営するシステムで、このシステムを利用するために、区もコンソーシアムに入会すると聞いております。
そこで質問ですが、このMCRコンソーシアムに入会し、システムを利用することのメリットについて、どのように考えていますでしょうか。
○芝地区総合支所まちづくり課長(香月佑介君) 現在、MCRコンソーシアムは、和歌山県や千葉市等の全国複数の自治体が会員となっております。このため、全国の参加自治体から膨大な量の道路損傷に関するデータが、日々、MCRコンソーシアムに送信され、蓄積されており、これをAIが学習することで診断の精度が向上するといったことがメリットであると考えております。
また、システムの利用に当たっては、区は年会費等を負担するのみで、システムの開発費用や維持費の負担が必要ないこともメリットであると考えております。
○委員(土屋準君) そのようなメリットがあるということです。
次に、道路損傷検出システムの運用についてお伺いいたします。
道路の不具合は日々変化していくもので、常に観察していくことが重要だと思います。他自治体では、道路の不具合が陥没に発展する事例も見られ、早期に不具合や予兆を発見し、対応することが求められております。
港区では、各地区総合支所のまちづくり課が所有する道路パトロールカーに、路面データを取得するためのドライブレコーダーを設置し、区道を巡回すると聞いております。しかし、区道の総延長は約220キロあり、道路パトロールカーだけの巡回では早期発見に至らないのではないかと思います。
そこで質問ですが、今後、道路損傷検出システムのドライブレコーダーを他の車両にも搭載していければと思いますが、どのように考えますでしょうか。
○芝地区総合支所まちづくり課長(香月佑介君) 道路損傷の早期発見には、まちづくり課が巡回で使用する道路パトロールカー以外の車両にも、システム専用のドライブレコーダーを搭載することは有効であると考えられます。
今後、道路パトロールカー以外の、区が業務で使用している車両への搭載も試行するなど、効率的な路面データの取得について、調査研究してまいります。
○委員(土屋準君) いろいろこうした新しい技術を活用して、安全なまちづくりにしていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。