土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

平成30年度予算特別委員会速記録(第3号) 本文開催日:2018.02.27

○委員(土屋準君) 総務費におきましては、視覚や聴覚などの感覚や感じ方をテーマにした質問をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最初は聴覚に関してですけれども、メロディの扉事業についてお伺いいたします。先日来、東京メトロが日比谷線で、クラシックやヒーリング音楽を流す、国内初のBGM放送車両を試験運行しております。1月末に試験運行がニュースになった際には、うるさいのではないかという意見もあったようですが、小さい音量なのか、むしろ騒音であまり聞こえないという意見もあるそうです。電車とは違いますけれども、港区でも職員提案事業で、来庁された方の待ち時間等に心が休まる環境を創出するため、区有施設の待合スペース等でBGM、環境音楽を流す、メロディの扉事業を計上しています。そこで、まず、事業内容はどのようなもので、効果はどのように考えていますでしょうか。

○高輪地区総合支所区民課長(小野口敬一君) 事業内容につきましては、高輪地区総合支所区民課待合スペース及び港区役所本庁舎区民ラウンジで、来庁された区民の皆さんの待ち時間などに、主に環境音楽を流していきます。具体的には、1年間を季節ごとに分け、さらに1日を朝、昼、午後、夕方の時間帯に分け、その時間帯に合った、小鳥のさえずりや小川のせせらぎなどの、自然を感じる環境音楽を流すものです。次に、事業効果については、既に同様の事業を実施している大阪府門真市が行った市民アンケートでは、心が安らぐという意見だけではなく、職員からも、音楽が流れることでより仕事に集中できるようになったという意見もあり、音楽が人々の心のリラクゼーションに一役買っているのを実感しているという効果が出ていると聞いております。本事業を実施することで、来庁された区民の皆さんの待ち時間などに、心が安らぐ空間や、会話をしやすい環境を創出することができると考えております。

○委員(土屋準君) ほかの視点で、いろいろな意見も出ているようですけれども、人の感じ方はさまざまですので、待ち時間のいらいらが安らぐのではないかといった意見もあるかと思いますが、うるさいのではないかという意見も、もしかしたら寄せられることも考えられます。そこでお伺いしますけれども、今後の事業展開はどのように考えていますでしょうか。

○高輪地区総合支所区民課長(小野口敬一君) 今後の事業展開につきましては、まずはこの事業が開始した後に、現在、区民課で実施している、来庁者への窓口サービスに対するアンケート調査に項目を追加し、調査を行うなど、来庁者の意見や要望を把握してまいります。利用者アンケート調査等を踏まえ、試行実施の状況や本事業の効果を検証し、各地区総合支所区民課などの関係各課とともに、メロディの扉事業の拡大を検討してまいります。

○委員(土屋準君) いろいろな意見が寄せられるかと思いますので、ぜひそういった意見にも耳を傾けていっていただければと思います。よろしくお願いします。
聴覚の次は視覚に関してですけれども、アートに親しむまちについてお伺いしたいと思います。先日、「芝de Meet The Art~アートに親しむまち、芝~」のアート作品除幕式に出席してまいりました。これは、生活介護事業所工房アミや、御成門中学校美術部の作品をもとに制作された絵画で、現在、浜松町駅の南側の高架下の道路、港町架道橋などに展示され、殺風景な壁に彩りを添えています。
ところで、配電用地上機器、トランスボックスというものに、アートを活用している事例があります。これは、よく歩道脇にある、電力会社の背丈ほどの箱でして、電線類地中化に伴い、それまで電柱上にあった変圧器などの配電設備を収納しているものです。このトランスボックスへの装飾は、平成13年に静岡県沼津市と伊東市で、災害時の避難場所の地図を描いたのが始まりだそうです。これは、落書き防止、安全・安心なまちづくりにも役立っていて、新宿区では、富士山やゴジラの絵を描いていたところ、落書きがほとんどなくなったということです。ほかにも、杉並区では東京高円寺阿波おどりの絵を描いたり、八王子市では市内の景観百選の写真を掲載したり、大田区では付近の自転車駐輪場の案内図を載せたりということをしているようであります。
そこでお伺いしますけれども、港区でトランスボックスなどにアートや事業を活用している事例などがあればお伺いします。

○芝地区総合支所協働推進課長(金田耕治郎君) 区内でのトランスボックスなど地上機器の活用事例としては、駅周辺において、みなとタバコルールや放置自転車禁止などを啓発するパネルを設置している例がございます。また、商店会の取り組みとして、商店街のシンボルデザインのアートを描いたものなどがあり、区事業の啓発や商店街の振興などに活用されております。

○委員(土屋準君) 港区でもさまざまな活用事例はあるようですけれども、とりわけ港区は多くの美術館、博物館や劇場などが多いのが特徴でありまして、文化芸術のまちというイメージも強いと思います。そこで、例えばトランスボックスなどに、子どもたちや障害者の絵を施すなどすれば、落書きなどが減るとともに、一層、アートが街なかにあふれ、アートに親しむまちが区内全域に広がるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○国際化・文化芸術担当課長(清野成美君) 「芝de Meet The Art」は、落書き等がある場所に、にぎわいやイメージアップにつながるアート作品を展示し、安全・安心の向上を図りながら、アートと触れ合える環境の創出を目指しています。また、六本木アートナイトは、まち全体を舞台に、アートや音楽、デザイン、パフォーマンスなどの多様な作品を街なかに点在させ、生活の中でアートを楽しむことができるアートイベントです。アーティストが地域住民との対話から、短編映画や絵画作品を制作するなど、地域への愛着の醸成を図りながら、にぎわいと、街なかで気軽にアートに触れる空間を創出しています。今後も、まちにあるさまざまな資源やさまざまな機会を捉え、文化芸術の力で、福祉や教育、観光など、さまざまな分野の課題解決に結びつけていくとともに、多くの区民がまちの中で身近にアートに触れ、親しむ環境を創出してまいります。

○委員(土屋準君) ぜひ、そういったことにも取り組んでいっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
次は、味覚にも関係します、全国連携マルシェについてお伺いいたします。区では、全国各地域との連携を推進するため、区役所本庁舎やみなとパーク芝浦などの区有施設を活用した、連携自治体のPRや特産品の販売に積極的に取り組んでいます。先日も、区役所1階のロビーにおいて、中国地方5県のイベントを実施し、区役所を訪れた多くの人でにぎわっていました。こうした取り組みは、区の施設を訪れた区民にとって、待ち時間などに各地の観光情報を得たり、特産品に触れたりする貴重な機会となっております。また、区と連携する自治体にとっては、区民をはじめとした多くの人々にPRする機会となり、双方にメリットがある取り組みではないかと思います。しかし、区有施設でのイベントは、施設内での実施となり、規模が小さく、また期間や出店自治体、対象となる区民も限られており、効果が限定的であると言えるのではないかと思います。
そこで、例えば全国連携マルシェといったものを実施するなどして、これまで以上に多くの区民が全国の自治体の魅力に触れる機会を増やし、地域のにぎわいに貢献できる全国連携の取り組みを充実していくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○全国連携推進担当課長(鈴木雅紀君) 区はこれまでも、みなと区民まつりにおけるふるさと物産展の開催や、全国交流物産展 in 新橋の拡大・充実など、区民が全国各地域の魅力に触れる機会を数多く創出してきました。委員ご紹介の、区有施設を活用した特産品販売等を含め、こうしたイベントには、多くの区民にお越しいただき、好評いただいております。これまでの取り組みをより一層充実させるとともに、平成30年度には新たな取り組みとして、生鮮食品等を取り扱う小売店が少ない地域において、全国各地域の特産品や生鮮野菜などを販売する事業の実施を予定しております。区民の利便性の向上を図るとともに、連携自治体の生産者との交流や、住民同士の交流を生み、地域の活性化につながる場となるよう創意工夫しながら、定期的な開催と定着を目指してまいります。

○委員(土屋準君) ぜひ期待していますので、よろしくお願いいたします。
最後は、感じ方もさまざまあります多様性の理解に関しまして、性的少数者に関する課題についてお伺いいたします。性的少数者に関する課題については、よく、欧米は進んでいて、日本はおくれているので恥ずかしいといった意見を耳にします。しかし、このような意見に対しては、逆に、欧米のようになったらどうするのかという意見も聞かれます。その意見の一つが、平成28年度決算特別委員会で取り上げました、アメリカのケーキ店の裁判の問題であります。これは、アメリカのケーキ店が同性カップルにウエディングケーキの販売を拒否したことをめぐる裁判ですが、営業の自由、表現の自由、信仰の自由などの点で注目されているものです。
そこで、まずお伺いしますが、前回取り上げたアメリカのケーキ店の裁判は、その後、どうなっていますでしょうか。

○人権・男女平等参画担当課長(江村信行君) アメリカでは、同性カップルへのウエディングケーキ制作拒否をめぐり、複数の裁判が係争中です。報道によりますと、今月5日、カリフォルニア州ベーカーズフィールドのカーン郡上級裁判所は、ケーキ店側には同性カップルのためにウエディングケーキを制作することを拒否する権利があるとの判断を示しました。判断の理由は、ケーキ職人に、みずからの宗教的信条に反する結婚を祝う会でケーキが展示されることを知らせず、その才能を発揮してケーキをデザイン・制作させることは、合衆国憲法修正第1条が保障する言論の自由の侵害に当たるというものです。

○委員(土屋準君) カリフォルニア州の裁判所では、ケーキの注文を拒否する権利があるとの判断が示されたわけです。最高裁判所の判決の行方が注目されます。
さて、アメリカの名門大学では、異なる意見や活動を排除する運動が繰り広げられているとのことです。例えば、大学のコンピュータークラブが、昨年のバレンタインデー前にオンライン上で、男女カップル誕生イベントを実施していることをとがめられ、中止に追い込まれたということがあったそうです。このイベントは、地元商店街とタイアップしていて、20年以上、バレンタインデーの人気企画として定着していましたが、男女カップルの組み合わせというところから、同性愛者やトランスジェンダーが除かれていて、差別的イベントであるという理由だそうです。また、「ze」という言葉がありますが、he、彼や、she、彼女ではない、男女の区別のない新語の代名詞で、トランスジェンダーたちの間で広く使われているということです。ところが、昨年、この「ze」を使うことを拒否しているという理由で、著名な心理学の教授の後援会に、待ったがかかったということもあったそうです。学生の間では、あまりに不寛容、視点や価値観が違うこと自体が重要なのに、違う視点の人を頭から拒否し、聞く耳を持たないとして、意見が異なる人も大学に招こうというサークルが結成されたということもあったそうです。
このようにして見ると、欧米は進んでいて日本はおくれているとして、一方的に異なる意見や活動を排除して事を進めると、かえって分断や反発を招くことになるのではないかと思います。そこでお伺いしますが、多様性の理解を進めるにあたっては、分断や反発を招かないよう、さまざまな意見に耳を傾けるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○人権・男女平等参画担当課長(江村信行君) 性的マイノリティの方々をめぐる課題を解決するためには、偏見、差別、生きづらさの状況、当事者の心情、不安などの実態を把握し、施策に生かしていくことが必要です。区では、性的マイノリティ当事者の方々の思いやご意見を伺う取り組みを進めながら、来年度は、幅広く区民の人権に関する認識などの実態調査を行い、区民の多様な意見を把握してまいります。

○委員(土屋準君) ぜひ、さまざまな意見に耳を傾けていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。

○委員長(ゆうきくみこ君) 土屋委員の発言は終わりました。

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