土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

平成29年度予算特別委員会(第9日目) 本文開催日:2017.03.08

◯委員(土屋 準君)  民生費のところで、私は、未来の親体験~ここから始まる赤ちゃんふれあい事業~について取り上げましたけれども、これは芝地区総合支所の事業でしたので、御成門中学校や三田中学校で実施されておりました。
 そこで、この事業をもっと拡大できないかという質問をしましたけれども、その際の答弁は、教育委員会では、学校からの依頼を受けて外部講師を派遣する港区学校支援地域本部事業の出前事業への協力を、この地域事業を実施しているNPO法人に働きかけて現在調整中で、この登録が完了することによって、他地区の小中学校からの希望に応じた出前事業の提供が可能になるとのことで、芝地区総合支所としても、今後教育委員会とも連携を図っていくというような趣旨でした。教育委員会でもぜひ連携を図って拡大していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 そこで、今回は、少し角度を変えまして、中学校の事業における幼児へのかかわりについて質問したいと思います。
 私は、総務費、民生費、衛生費で、家庭をテーマにした質問を取り上げましたけれども、教育費では、やはり家庭科の授業から始めたいと思います。
 中学校の家庭科の授業などで、幼児の発達や生活、かかわり方を考え、ふれあい体験を行う内容があります。幼児期には、特に家族など周囲の人に支えられ、成長してきており、中学生が自分の成長の道筋を振り返り、幼児の特徴や幼児とのかかわり方について学ぶことは、これまで多くの人に支えられて成長してきたことを実感する1つのきっかけになると思います。そして、このような学びを通して、これからは支える立場の一員として、家族や地域の人とのかかわりの中で自分にできることを考えていけるようになればと思います。
 中学生が実際に幼児と触れ合う体験を持つことは、貴重な機会であると思いますけれども、港区は、幼小中一貫教育を行っていることもあり、幼児の施設などは訪問しやすいのではないかと思います。
 そこで質問ですけれども、具体的なふれあい体験というものは、どのようなことを行っていますでしょうか。

◯指導室長(渡辺裕之君)  現在、中学校家庭科の学習において、幼児とのふれあい体験として、7つの中学校でアカデミー内の幼稚園に中学生が出向き、幼児の発達や生活への関心を深めるとともに、幼児期の遊びの意義について学んでおります。
 生徒が主体的に、幼児との遊び方やかかわり方について自分なりの課題を持って取り組めるよう、事前に幼児との接し方をシミュレーションした上で、ふれあい体験を行っています。
 ふれあい体験当日は、中学生が家庭科の時間にフェルトの指人形やボールなどのおもちゃをつくり、幼稚園に持参し、中学生が幼児と一緒に遊んでいます。

◯委員(土屋 準君)  いろいろな体験をされているようですけれども、それでは、これまでの成果としては、どのようなものがありましたでしょうか。

◯指導室長(渡辺裕之君)  ふれあい体験を通して、生徒が身近に感じている同じアカデミー内の幼児とのかかわりの中で、生徒の保育への理解と家族の役割の大切さについて、一層理解が深まるとともに、奉仕の精神や幼児へのいたわりの心が育まれています。また、ふれあい体験での交流をきっかけとして、幼稚園で実施される運動会でのボランティア活動、一貫校における幼小中合同避難訓練での幼児の援助、中学校保健委員による手洗いの仕方の出前講座など、さまざまな活動へ発展しているという報告を受けております。

◯委員(土屋 準君)  いろいろな成果も出ているようですので、ぜひこのような機会も大切にしていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 次に、学びの未来応援施策について質問させていただきます。
 学びの未来応援施策については、学習支援、相談の支援、家庭教育の支援、経済的支援の4つの柱があり、ほかの委員もそれぞれ取り上げておりますけれども、私はその中で、やはり家庭教育の支援から取り上げたいと思います。
 家庭教育の支援については、平成28年度予算特別委員会でも取り上げましたけれども、その際は、3・4歳児の保護者向けに、家庭で大切にしたいことハンドブックを作成し、子どものよりよい発達や成長に向けた家庭教育の支援を進めていくという趣旨の答弁がありました。今後の進展を期待したいと思います。
 今回は新規事業に挙げられております、学びの未来応援家庭教育講座についてお伺いいたします。
 これは、家庭教育に悩みや課題を抱えている保護者向けに、子育てや家庭学習定着等に関する講座を開催して、家庭教育についての認識を高めるもので、孤立しがちな保護者同士の交流を促し、ネットワーク形成も期待されるとのことです。
 そこでお伺いいたしますが、この学びの未来応援家庭教育講座はどのようなものでしょうか。

◯指導室長(渡辺裕之君)  学びの未来応援家庭教育講座は、保護者のしつけや子育てなど、家庭教育についての意識を高めるとともに、養育環境の改善を目的に実施します。来年度は、子どものやる気を引き出すコツや、SNSやインターネットの使用ルール、また反抗期の子どもとのつき合い方などをテーマに、専門家を講師とした講座を区有施設にて年間5回実施する予定です。
 本講座は、区内全ての保護者を対象としていますが、特に子育ての不安や家庭学習が習慣化されないなど、家庭教育に悩みを抱えている保護者については、学校やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーから働きかけを行い、参加を促してまいります。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。ぜひこのような家庭教育の支援についても充実させていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、もう一つの柱であります経済的支援の中の就学援助についてお伺いいたします。
 経済的な理由で就学が困難な児童・生徒の保護者に対して、学用品や給食費、今回から部活動費等も入るようですけれども、そのような援助を行う就学援助があります。これは生活保護法に規定する要保護者に加え、教育委員会が別に定める基準に基づき、要保護に準ずる程度に困窮していると認めた者を対象に行われています。
 そこでお伺いいたしますが、近年の平均で小学校、中学校それぞれで、就学援助の支給対象者はどれくらいの割合でいますでしょうか。

◯学務課長(新井樹夫君)  就学援助対象者の在籍者数に占める割合は、過去5年の平均で、小学校では約17%、中学校では約33%となっております。

◯委員(土屋 準君)  区立中学校では、3人に1人が対象になっているということでございます。
 港区では私立中学校に行く人が多いかもしれませんけれども、区立中学生が3人集まれば、その1人は就学援助を受けているというような数でして、就学援助はごく一部の人が対象になっているというイメージがありますけれども、結構多いのだと感じております。
 そこでお伺いしますけれども、中学校の就学援助対象者のうち、要保護者の割合はどれくらいになりますでしょうか。

◯学務課長(新井樹夫君)  中学校の就学援助対象者のうち要保護世帯の割合は、過去5年の平均で約6%となっております。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。要保護者の割合が約6%ということは、要保護者に準ずる者が94%ぐらいになるということで、そこが大きな割合になっているのではないかと思います。
 そこでお伺いしますけれども、就学援助認定の所得額の基準はどれくらいでしょうか。

◯学務課長(新井樹夫君)  就学援助については、生活保護法の適用となる世帯を要保護として認定するほか、児童扶養手当を受けている世帯と、生活保護基準額に1.2倍を上乗せした基準所得額に該当する世帯を準要保護として認定しております。

◯委員(土屋 準君)  生活保護基準の所得額の1.2倍くらいで見ると、その上乗せした部分、九十何%が対象者になるということで、港区はこの部分の対象者が相当多いのではないかと感じました。そうすると、そのような層に対する経済的支援を考えていかなければならないのではないかと思います。
 そこで、次の奨学資金についての質問に移りたいと思います。
 経済的支援の一環になると思いますけれども、奨学資金の制度があります。港区でも、学業に意欲を持ちながらも経済的理由により就学困難な人に対して、将来社会のために有意な人材を育成することを目的として、奨学資金を貸し付ける制度を実施しております。この奨学金の返還に関して経済的支援を行う方法として、1つには、返還を要しない給付型奨学金を導入する方法がありますけれども、ほかには、返還の負担を軽減する方法も考えられるのではないかと思います。
 そこでお伺いしますが、国や他の自治体で、給付型奨学金や返還の負担を軽減する制度はどのようなものがありますでしょうか。

◯庶務課長(佐藤雅志君)  国では、住民税非課税世帯の大学等への進学者で、高い学習成績や学校活動などで成果がある方を対象に、給付型奨学金制度を平成29年度から一部先行実施、平成30年度から本格実施するとしております。また、東京都では、年収760万円未満の世帯の私立高校生を対象に、都内の私立高校の平均授業料であります44万2,000円まで給付し、都立高校生に対しましては、年収350万円未満の世帯を対象に、授業料以外の学習にかかる経費を年5万円まで補助する制度を創設する予定としてございます。このほか、国を挙げての人口減少克服・地方創生の取り組みの中で、地元での一定期間の就職や居住などを条件といたしまして、奨学金の返還を支援する制度を導入または検討している地方自治体がございます。

◯委員(土屋 準君)  他でもいろいろな制度があるようです。そこで、1つの案としまして、奨学金を受けた人が町会や自治会等の地域活動やPTA活動等のボランティア活動をした実績がある場合には、相当の時間数に応じた金額の返済を免除する制度を導入してはどうかという意見があります。これは、先ほどの就学援助の現状から考えると、区立中学校の卒業生が大きな割合を占めることになるのではないかと思います。
 この制度による効果としては、港区が取り組む参画と協働を促進する経費となる奨学金を受けた人が、地域に貢献する意識向上の経費となる地域で活動する団体等の活性化につながるということが考えられるかと思います。一方で、さまざまな課題も考えられるのではないかと思います。
 そこで質問ですが、このような案も含め、区として、給付型奨学金や返還の負担を軽減する制度を導入する上での課題は、どのようなものがあると考えていますでしょうか。

◯庶務課長(佐藤雅志君)  新たな給付型奨学金制度等を検討していく上では、経済的事情により進学を断念せざるを得ない方の進学を後押しするということを基本としながらも、税金を使う制度であること、奨学生が卒業後に返還していただいた資金を原資として次の世代の学生を支援するという、区の奨学資金制度の基本理念などを踏まえる必要がございます。このため、国及び東京都やその他地方自治体の制度等の今後を含めた状況把握に努めるとともに、さまざまな角度から研究していく必要があると考えております。

◯委員(土屋 準君)  さまざまな課題もあるかと思いますけれども、ぜひこのような制度も研究していっていただければと思います。
 以上で質問を終わります。

◯委員長(池田こうじ君)  土屋委員の発言は終わりました。

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