◯委員(土屋 準君) 今回の予算特別委員会では、私は家庭を1つのテーマとして取り上げさせていただいておりますけれども、民生費までにおいては、少子化の原因としての未婚化問題を取り上げさせていただきました。今度、この衛生費では、結婚して家庭を持った後からの問題について取り上げたいと思います。
初めに、不妊治療の支援についてです。
結婚して家庭を持ったはいいが子どもが欲しいのにできないという課題に直面することがあります。私の家庭でもなかなか子どもができなくて、家庭を持って大体7年目ぐらいにやっとできたということがありました。周りには、子どもができて当たり前という意識が強くて、その間、「子どもはまだか、まだか」とよく聞かれておりましたので、子どもは欲しいのにできないという葛藤はよくわかります。これは精神的にも大変ですけれども、不妊治療をしている人にとっては経済的にも大変ではないかと思っております。
そこで、今回の事業を見ますと、これまでの女性の不妊治療に加えて男性の不妊治療の助成を開始するということでございます。不妊原因としては、男性の原因によることが一定程度あり、女性の不妊治療だけでは妊娠に至らない場合があるということです。子どもを望んでいるのにもかかわらず、不妊に悩む夫婦の経済的負担を軽減するため、新たに特定不妊治療の一環として行われる男性不妊治療への助成を行うということですので、期待したいと思っております。
ただ、生殖医療の発達というのは最近目覚ましくて、価値観の多様化により、さまざまなケースが考えられているのではないかと思います。そうした問題は、家庭や夫婦のあり方ともかかわってきます。
そこで、質問ですが、不妊治療の対象者は、正式に婚姻届を提出している夫婦とすべきと考えますがいかがでしょうか。対象者の要件はどのようになっていますでしょうか。
◯健康推進課長(村山正一君) 現在、区が行っています不妊治療費の助成は、法律上、婚姻をしている夫婦であることを要件としております。その他の要件としましては、治療開始日から終了時まで継続して夫婦で港区に住民登録をしていること。また、夫婦の一方のみが住民登録をしている場合は、区内居住者の所得が配偶者の所得を上回る等々が条件としてございます。
◯委員(土屋 準君) わかりました。ぜひよろしくお願いいたします。
2つ目として、親になる時期の支援についてお伺いいたします。
親になる時期の支援については、私は、平成25年度決算特別委員会のときに、両親学級と産後ケアについて質問させていただき、その際にもお話ししましたけれども、近年の少子化、核家族化、高度情報化、地域の連帯感の希薄化、あるいはライフスタイルの変化などにより、子育て家庭を取り巻く環境は大きく変化していきていると思っております。親への移行期、つまり子どもが生まれる時期ですけれども、そうした時期に心身の不調や家族関係の問題など、母親が心にゆとりを持って、豊かな愛情で子育てに徹することが困難な家庭も増えていると言われております。
アメリカのジェイ・ベルスキー博士の研究によりますと、父親を加えた家族システムについての研究で、親への移行期に約50%の夫婦が結婚生活が悪化するということを経験したということでございます。そのようなことで、親への移行期のサポートは、家庭支援の第一歩として重要な役割を持っているのではないかと思います。
以前、港区の政策創造研究所がまとめた調査報告によりますと、未就学児のいる家庭の過半数が居住年数3年以下で、また家族構成は約9割が親子だけの核家族だったという調査がございました。よく、子どもが3歳ぐらいになるまでは親の手元で育てたいという考え方があります。実際の意識でも民生費で紹介した中央大学の山田昌弘教授の研究でも、せめて子どもが小さいうちは、自分の手元で育てたいと思っている人は、若い人の中ではまだまだ多数派としているということでございます。しかし、昔は祖父母が同居している家庭が多かったり、地域とのつながりが強かったりしておりましたけれども、最近は核家族が増えており、手元で育てるとなると、実際は母親と子どもの2人だけで過ごすということが多くなってくるのではないかと思います。孤立しがちな母親が育児不安から産後鬱に陥ったり、児童虐待を引き起こす、そのようなケースもあるということで、母親と新生児の心身の健康を守るために、社会全体で産後ケアの体制づくりが求められているというところでございます。
その中で1点目にお伺いしたいのは、母親学級、両親学級についてですけれども、夫婦に子どもが生まれるとき、喜びとともに出産、育児についてはさまざまな疑問、悩みが生じてくると思われます。特に第1子のときは全て初めての経験で、赤ちゃんにどのように接したらよいのか、泣きやまないときにどうしたらいいのか戸惑うことも多いと思います。妊婦とその夫にとって、みなと保健所で実施している母親学級、両親学級は出産、育児に関する知識や心構えを教えてくれ、産後の円滑な育児開始を図れる貴重な機会であります。ところが、現在、母親学級、両親学級で参加を希望しても定員に達していて参加ができないというような話を聞きます。
そこでお伺いしますが、参加者はどの程度で、希望者全員が参加できているか、また、希望者全員が参加できない場合は、どのような対策をしているのかお伺いいたします。
◯健康推進課長(村山正一君) 平成27年度の平均参加者数は、母親学級は定員40人に対しまして40人、両親学級は定員45組に対して37組でした。このうち、母親学級では少数ながら定員に達したため参加できなかった方もいました。この方々には妊婦訪問や早期のこんにちは赤ちゃん訪問利用をご案内しております。また、両親学級についても、当初、同様に参加できない方がおりましたが、別の日を案内することで希望者全員が参加いただくことができました。
母親学級につきまして、平成28年度より希望する方が確実に参加できるよう定員を80名に拡大する予定です。今後も希望者全員が参加できるよう体制を強化してまいります。
◯委員(土屋 準君) ありがとうございます。ぜひ希望者が参加できるようにさまざまな対策をしていっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
もう1点は、夫が父になる支援についてでございます。
先ほどの不妊治療の助成の方でも、女性だけでなく男性に対しても治療の助成をするということでございますけれども、親になる移行の時期についての支援といいますと、どうしても産後母子ケアなどのように母親の方が多いのですが、その男性版についての支援についてです。
産後早期から産後8週間までの時期は、親子の愛情形成の上でとても重要な時期であると言われております。いわば、夫と妻が父親、母親となる時期でもあります。来年度の予算案では、この重要な時期の母子を支援する産後母子ケア事業についてはレベルアップが行われるということで、そのことについては評価いたしますけれども、母子に対する支援というのは充実していると思いますが、父親への支援というのはあまり見受けられません。親子の愛情形成のためには、父親の協力が欠かせないのではないかと思います。
そこで質問は、夫が父親になるための支援も必要と考えますが、いかがでしょうか。
◯健康推進課長(村山正一君) 産後早期は母親の心身の変化も大きいことから、父親の家事育児参加は欠かせません。最近は父親の育児参加も進み、両親学級だけではなく母親学級やうさちゃんくらぶなどの各種育児グループ、あるいは1歳6か月児健康診査などへの父親の参加、またこんにちは赤ちゃん訪問の際に父親が同席することも増えてきています。今後、各種事業や健診に父親も参加しやすくなるよう、一層広報等を工夫してまいります。
◯委員(土屋 準君) ぜひ男性の支援もよろしくお願いしたいと思います。
以上で質問を終わります。
◯委員長(清原和幸君) 土屋委員の発言は終わりました。