◯委員(土屋 準君) 今回の予算特別委員会では、私は家庭を1つのテーマとして取り上げておりまして、総務費では、少子化の原因は未婚化によるところが大きいというお話をさせていただきました。その理由として、1つは、結婚したくても経済的な理由や不安があり、できないというもので、これについては家庭支援策などを打っていく必要があるのではないかと。2つ目は、結婚したいのだけれども結婚したい人に出会えないという問題。もう一つは、そもそも結婚したいと思わない人が増えているということ。この3つ目については総務費で取り上げさせていただきましたので、ここでは、残り2つのうち、まず2つ目の結婚したい人に出会えないという問題について取り上げたいと思います。
初めに出会い応援プロジェクトについてですけれども、東京都は全国に比べて晩婚化や未婚化が進んでいると言われています。中でも港区は、厚生労働省の平成25年人口動態統計によると、平均初婚年齢が23区で最も高く、また、全国でも、集計した1,634自治体中、1,624位の遅さになっているということでございます。先ほどやなざわ委員からも、中央大学の山田昌弘教授の調査・分析の話が出ていましたけれども、それによりますと、昔はお節介おばさんのような人がいて、見合いの話を持ってきたりとかしたそうですけれども、今はそういうのが少なくなってきた上に、SNSなどの発達で仲間うちにこもる傾向があると言われています。
また、パラサイトシングルと呼ばれる人が増えていて、独身者の8割が親と同居している。そういった傾向が若者だけでなく、中高年になっても親と同居している未婚者が増えていると言われています。平成26年のデータですと、そのような人が35歳から45歳で大体308万人ぐらいいて、これは6人に1人の割合だと言われております。
そこで、この未婚化社会の将来が予測されていますけれども、それによりますと、今の若者の25%は生涯独身、25%は1度は離婚するというもので、結婚して離婚しないで過ごす人は、今の若者の中では2人に1人という予想です。さらに、現在、孤立死というのが年3万人程度いると言われていますけれども、家族がなくて高齢を迎える人が増大してきますので、2040年には年30万人以上になるという予測がされています。
そういった未婚化の原因として、出会いの機会の減少というのが言われていますけれども、そこに着目するのは理にかなっていることではないかと思っています。出会い系と言いますといかがわしいものもありますけれども、行政が行うのであれば安心感があるという意見もあります。一方では、出会いの機会の創出をそもそも行政が行うのはどんなものかという意見もあります。
そこでお伺いしますけれども、出会いの機会の創出を行政が行うことについて、どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
◯子ども家庭課長(長谷川浩義君) 区が平成28年1月に策定した港区総合戦略では、4つの基本目標のうちの1つに「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」を掲げております。出会い応援プロジェクトは、この基本目標の実現に向けた取り組みの一環として、結婚を望む若い世代に対して、交流や出会いの機会をサポートすることで、社会全体で後押しする気運を高めていく必要があるという考えのもとに、実施するものでございます。また、出会いの機会を区が提供していくということで、結婚を希望される方も安心してご参加いただけるものと考えております。
◯委員(土屋 準君) こうした結婚支援の課題というのも挙げられていますけれども、そのうちの1つは、今、草食化から絶食化と言われていまして、草食化というのは前から言われていましたけれども、絶食化の傾向が進んでいるということです。これは、そもそもつき合うのが面倒くさいとか、ほかに楽しいことがあるとか、あるいはアイドルやアニメなど、バーチャルな関係で充足しているということで、このような傾向に対しては、結婚への動機づけが必要ではないかというものです。
もう一つは、コミュニケーション能力の低下が挙げられます。特に男性に多いそうですけれども、見た目に自信がないとか、そのような課題があるということです。それに対しては、相手に好印象を与える会話方法や服装等の指導が求められているという意見がありますけれども、今回のこの事業におきましても、イベント参加者に対して事前セミナーというのを実施するようですが、具体的な内容はどのようなものでしょうか。
◯子ども家庭課長(長谷川浩義君) 事前セミナーでは、最近の婚活事情や交流イベントから結婚に至った事例を紹介することなどによる結婚への動機づけとともに、相手によい印象を与えるマナーや身だしなみ、1対1での話が盛り上がるような会話術等のレクチャーなどを予定しており、交流イベント当日に多くの参加者がすてきな出会いにめぐり会えるようサポートしてまいります。
◯委員(土屋 準君) わかりました。初めての事業ですので、今後の展開を見ていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、もう一つの家庭のテーマですが、子育て家庭への支援の一環としての親支援プログラムについてお伺いいたします。結婚して家庭を持つと大変そうなので結婚するのをためらったり、あるいは親になる自信がないので子どもを持つのをためらったりする人が出てくると言われております。そうした傾向が少子化に拍車をかけるとも言われております。また、そうでなくても、子育て等に不安を抱く人たちもおります。そうした人たちに対して、いろいろな経済的支援もありますけれども、精神的支援をしていくことが重要ではないかと思っております。実際、学校などで、勉強は教わっても、親になるための教育というのは、なかなか受けることはないのではないかと思います。
そんな中で、カナダ発祥の親教育支援プログラムというのがあるそうですけれども、そこでの考え方は、初めから一人前の親などいない、皆、周りから助けを得ながら親になっていくのだというものであります。このプログラムでは、ゼロ歳から5歳の子どもの親がグループの中で互いの体験や不安を話し合うことによって、子育てのスキルを高め、自信を取り戻していき、講座終了後も参加者同士が子育て仲間としてつながっていくよう支援する役割も担っているのです。区でも今回の新規事業として親支援プログラム事業がありますけれども、親同士が悩みを共有しながら親としての役割や子育ての方法を学ぶことにより、親の養育力の向上を図るとあります。そこでお伺いしますが、この親支援プログラムについて、具体的な内容はどのようなものでしょうか。
◯子ども家庭支援センター所長(保志幸子君) 「子育ても仕事のように頑張れば何とかなると思っていたのにうまくいかない、自分は親失格だ」「家事も子育ても全部ちゃんとしたいのに、なかなかできない」「子どもの気持ちがもっとよくわかるには、どうしたらいいか」など、立派な親を目指して疲れてしまうという相談が寄せられています。平成28年度より、各地区の子ども中高生プラザ、児童高齢者交流プラザ、児童館などで、主に乳幼児を育てている保護者のための親支援プログラム、先ほどご紹介いただきましたカナダを発祥とする「ノーバディーズ・パーフェクト」を開催いたします。この講座は、20人弱の参加者を募って、8回ほどの連続プログラムを実施しまして、親同士が悩みを共有しながら子どもの発達や親の役割、子育ての方法を学び、自信をつけていくよう支援することを目的としています。プログラムの進行役・ファシリテーターを招きまして、参加者の体験の振り返りやグループ討議を通して、完璧な子育てを目指すのではなく、自分らしく、自信を持って、安心して子育てできる方法を獲得し、同時に地域の子育て仲間をつくり出していこうというものです。
この事業は、子どもの未来応援施策に位置づけておりますけれども、経済状況に関わらず、子育てには不安や戸惑いはつきものです。子育てスタートの時期の親子の関係づくりを応援するための事業として実施してまいります。
◯委員(土屋 準君) ありがとうございます。親になっていくというのは、ある面、大変なことだと思いますので、ぜひ、そういった支援を続けていっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
◯委員長(清原和幸君) 土屋委員の発言は終わりました。