◯委員(土屋 準君) 総務費におきましては、初めに、港区総合戦略プランについてお伺いいたします。
港区は、国の地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策に対し、港区の総合戦略プランを策定するとしています。
昨年、まち・ひと・しごと創生法が制定されまして、国は人口の現状と将来の方向性を提示する、まち・ひと・しごと創生長期ビジョン、いわゆる国の長期ビジョン及び今後5カ年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめた国の総合戦略をそれぞれ閣議決定しまして、まち・ひと・しごと創生に総合的に取り組むこととしております。
そして地方自治体に対しまして、国の長期ビジョン及び国の総合戦略を勘案しつつ、その自治体における人口の現状と将来の展望を提示する地方人口ビジョンを策定し、これを踏まえて、今後5カ年の目標や施策の基本的方向、具体的な施策をまとめた地方版総合戦略を策定するように求めております。
そこで、質問ですけれども、この自治体が策定することとなっている総合戦略はどのようなことで策定することになり、それはどのようなものでしょうか。
◯企画課長(大澤鉄也君) まち・ひと・しごと創生は、国と地方が一体となり中長期的な視点に立って取り組む必要があるとの認識のもと、各都道府県、各市町村及び特別区に対し、いわゆる地方版総合戦略の策定が求められています。
戦略にかかる政策分野としては、1つ目に、地方における安定した雇用を創出する、2つ目に、地方への新しい人の流れをつくる、3つ目に、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる、そして4つ目に、時代に合った地域をつくり、安全・安心な暮らしを守るとともに地域と地域の連携というものが想定されています。このようなことを基本目標に、UIJターン、地域しごと支援事業、創業支援、販路開拓など、地方自治体独自の事業として展開を図るということが想定されております。
◯委員(土屋 準君) 地方版総合戦略の策定にあたっては、国の総合戦略が定める政策分野を勘案するとされておりますけれども、国の総合戦略が定める政策分野には、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえるという港区にも当てはまると思われるものもありますけれども、地方における安定した雇用を創出する、地方への新しい人の流れをつくるという港区とはそぐわないと思われる分野も含まれております。
一方、港区は、来年度から平成37年度までの6年間、さらにその先をも見据えた具体的な道筋を示す港区基本計画を策定しております。地方版総合戦略の策定にあたって留意するとしています客観的な指標は、港区基本計画では施策の目標値として取り入れているものに類似していると思われますし、また、住民から意見聴取等を行うとしていることも、港区基本計画の策定にあたっては、みなとタウンフォーラムや各地区総合支所の区民参画組織を組織して、計画の策定段階から区民の声を聞き、反映してきております。
そこで、質問ですけれども、港区は、この地方版総合戦略をどのように策定していきますでしょうか。
◯企画課長(大澤鉄也君) 国が進める地方創生の長期ビジョンでは、人口減少問題や東京一極集中の是正などが背景となっておりますけれども、都心港区においては人口が増加を続けております。
港区では、平成27年度を初年度とする新たな基本計画を今般策定し、2020年とその先をも見据え、港区の将来像の実現に向けた具体的な道筋を示したところです。港区としても、まち・ひと・しごと創生法が対象とする地方自治体として、新たな港区基本計画を踏まえた上で、区を取り巻く状況を的確に捉え、地域の活性化へつながる港区版総合戦略を策定してまいります。
とりわけ、地方との連携を率先している先進区としまして、さらなる推進を図り、地方の発展につなげることは、国の総合戦略の目指すものと合致しており、港区版総合戦略に反映させることで国とともに地方創生を進めてまいります。また、港区版総合戦略には、国からの交付金を活用できる事業を積極的に計上して、広く区民や事業者に還元してまいります。
なお、策定にあたりましては、東京都が今後策定する東京都版総合戦略を勘案する必要があることから、同戦略の策定状況に留意してまいります。
◯委員(土屋 準君) わかりました。
次に、人口推計についてお伺いいたします。
人口推計は、効果的な施策を展開していく上で重要な基礎と位置づけられるものであります。しかし、今後の区を取り巻く社会環境の変化に伴い、実際の人口が想定された人口に達しない、または上回る可能性もあります。港区の人口は、平成32年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催、JR田町駅・品川駅間の新駅の設置等をはじめとした日本の社会経済情勢の影響を大きく受けることが予想されます。また、他の自治体に比べ総人口に占める比率が高い外国人人口は、世界規模での社会的、経済的事象を受けて大きく変動するものでございます。また、港区の特異の事情として、大規模住宅の開発によって増加する開発人口の想定にも注意しなければならないと思います。このようなことから、将来の人口の増減を正確に予想するということは、なかなか困難なことだとは思っております。
その中で、港区は、平成25年より港区政策創造研究所によりまして、人口推計がなされております。昨年3月には、今後平成37年までの推定期間中、毎年5,000人程度の人口増が見込まれるなどとする第2回目の人口推計が発表されました。
そこでお伺いしますが、あれからちょうど1年がたちますけれども、現状はどのようになっていますでしょうか。
◯企画課長(大澤鉄也君) 自治体にとりまして、今後の人口動向を的確に把握していくことは、区民サービスを効果的かつ確実に提供していく上で欠かすことのできないものでありまして、また最も基礎的なデータとなります。区内では大規模な開発などが進み、人口が大きく変化する要因となることから、より正確な推計を常に整えていくために、平成25年以来、毎年直近のデータをもとに推計作業を行うこととしております。本年についても、今月下旬の公表に向けて現在準備を行っております。
◯委員(土屋 準君) 将来の人口の増減を正確に予想するということは大変なことですけれども、的確な政策を実行していくためには、人口動向を引き続き注視し、継続的な分析と推計を繰り返していく必要があると思いますけれども、そこで質問ですが、この人口推計の正確性をどのように検証していますでしょうか。
◯企画課長(大澤鉄也君) 公表した推計結果につきましては、その後の毎月の実人口の推移を把握していくなど、年間を通じて検証を行っています。平成26年3月に公表した推計では、平成27年1月に総人口が24万1,749人と推計しておりましたが、実人口は24万585人となりまして、その差は1,164人で、推計の精度は99.5%と極めて高い精度でした。また年齢3区分においても同様ですけれども、年少人口はその差が83人で、精度は99.7%、生産年齢人口はその差が1,164人で99.3%、老年人口については、その差が82人で99.8%となっております。総合的に見た人口推計としては高い精度であると考えておりますが、引き続き検証と分析を繰り返し、さらに精度の高い推計を行えるよう研究を進めてまいります。
◯委員(土屋 準君) 今後ともよろしくお願いいたします。
次に、デジタルサイネージ、いわゆる電子看板を活用した区政情報の発信についてお伺いいたします。
初めに、区のデジタルサイネージ配信システムの特徴についてですけれども、昨今のICTの進展には目覚しいものがあり、このような技術を活用することで区政情報を発信する機会は、以前にもまして拡大しているものと思います。最近は、山手線に乗ってもドアの上に動画が映るモニターがあり、また大江戸線のホームなどにも何台ものモニターがあることを目にします。今やどこに行ってもニュースや天気予報などのさまざまな情報を得ることができる時代になりました。
区においても、ことし4月からスタートする港区基本計画で、デジタルサイネージ配信システムを構築し、デジタルサイネージを活用した区政情報の発信を計画しております。この計画では、区有施設等にデジタルサイネージを設置し、区民サービスやイベント情報、災害時には災害情報を配信するとしています。
例えば区民の方が区役所で待ち合わせしているときや住民票などを受け取るまでの待ち時間などに区政情報に触れる機会があることは、区のお知らせなどを知ってもらうためにも大変よい試みではないかと思っております。
そこで質問ですけれども、区が構築しようとしているデジタルサイネージシステムの特徴はどのようなものでしょうか。
◯区長室長(新宮弘章君) 区では、区役所や各地区総合支所のロビー等にデジタルサイネージ、いわゆる電子看板を設置し、待ち時間等を活用して、より多くの区民や来庁者により広く情報を届けることを目的としまして、区独自のデジタルサイネージコンテンツ配信システムを平成27年12月稼働を目指し、現在構築しております。これにより、平常時は区政情報、災害時には緊急情報を迅速に提供することが可能となります。
現在構築中のシステムには、主に3つの特徴がございます。1つ目の特徴は、ホームページや災害情報配信システムなど複数の情報配信システムと連携していることです。また、各地区総合支所やいきいきプラザなど、設置場所を考慮し、サイネージごとに異なる情報を配信することが可能です。
2つ目は、一般的な液晶のサイネージのほか、新しい技術であります電子ペーパーサイネージを活用することでございます。電子ペーパーサイネージは、電子ブック等の仕組みと似ておりまして、一般的な液晶サイネージと比べ省電力であることが大きな特徴でございます。これによりまして、災害時等に電力供給が停止した場合でも、情報配信できる仕組みを目指しております。
3つ目は、駅前や商業施設などにあります民間事業者のサイネージとの連携を予定していることでございます。
◯委員(土屋 準君) 港区の特徴として、多くの人が集る新橋や六本木などの繁華街に、今お話がありましたけれども、民間事業者が設置している大型サイネージがあります。このようなものを活用できれば、大変効果的に区政情報を配信できるのではないかと思いますけれども、民間サイネージとの連携についてはどのように考えていますでしょうか。
◯区長室長(新宮弘章君) 港区の地域特性としまして、駅や交差点、商業施設など、多くの人が集まる場所に民間事業者が大型のサイネージを設置しています。このような民間事業者のサイネージを活用することで多くの人に区の魅力を発信できるほか、災害時には帰宅困難者に対し地域の災害情報を速やかに提供することができます。
このように民間事業者のサイネージ等とのシステム連携や複数の情報配信システムとの連携は、全国で初の試みとなります。民間事業者等のサイネージの活用は、迅速かつ効率的により多くの人への情報発信に有効なことから、今後、積極的に連携してまいります。
◯委員(土屋 準君) ぜひ活用していただければと思います。
次に、ICTを活用した公金の納付についてお伺いいたします。
初めに、利便性の高い納付方法をとる公金の種類についてですけれども、コンビニエンスストア、交通機関、インターネットショッピングなどさまざまな状況での支払い手段として、クレジットカードをはじめ、お財布携帯、スイカやパスモという電子マネーなど、さまざまな電子媒体を活用することができるようになりました。自宅や外出先からパソコン、携帯電話、スマートフォンを使ってそれぞれの人の都合に合わせていつでも支払うことが可能となってきております。
さて、国民健康保険料や住民税という港区への公金の支払いについても、区はさまざまな納付方々を提供し、区民の利便性の向上と収納率の向上を検討する必要があるかと思いますけれども、現在策定中の港区情報化計画においても、電子収納の推進への取り組みが掲げられております。
そこでお伺いしますけれども、まず、現在、区民の利便性の高いコンビニエンスストアでの公金の支払いにはどのようなものがあって、ICTを活用して支払いできる公金にはどのようなものがありますでしょうか。
◯区政情報課長(河本良江君) コンビニエンスストアでの公金の支払いにつきましては、現在国民健康保険料、住民税、軽自動車税、介護保険料、後期高齢者医療保険料、住宅使用料、保育料、母子福祉資金償還金、女性福祉資金償還金について対応しております。また、ICTを活用した納付方法としてモバイルレジがございます。モバイルレジとは、自宅や外出先からスマートフォンや携帯電話で納付書に印刷されたバーコードを読み取り、インターネットを経由して銀行と取引する方法です。現在、区では、住民税、軽自動車税、保育料がモバイルレジにより対応しております。
◯委員(土屋 準君) それでは、次に、施設の使用料の納付方法についてお伺いいたします。
区では、平成25年7月から新しい施設予約システムが稼働いたしました。それまでは区民センターなどの施設とスポーツセンターが別々の施設であったのですけれども、それが統合されまして、また、いきいきプラザも新たな対象となってインターネットでの施設の予約ができるようになりました。
施設のあき状況の確認や予約申し込み、抽選申し込みについて、直接施設の窓口に行くなど、電話をかけなくても自宅のパソコンが外出先からスマートフォンや携帯電話で利用者が都合のいい時間にどこからでも行うことができるようになり、大変利便性が高まりました。
ただ、施設使用料については、予約の施設の窓口まで行って使用料を支払わなければならないという現状がございます。せっかく予約がインターネットでできるので、支払いもどうかということで、今はインターネット上でさまざまな支払いがクレジットカード決済でできます。カード手数料などの課題もあると思いますけれども、利便性を高めるために、クレジットカード決済機能を活用して施設使用料の支払いもインターネット上でできるようにならないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
◯区役所改革担当課長(村山正一君) 施設使用料納付につきまして、現在、行政改革推進委員会のもとに施設利用改善部会を設置しまして、より利用者の利便性の向上のため、施設予約システムを導入している各区有施設の利用改善に向け、窓口以外での施設使用料の支払い方法に関する検討を行っております。クレジットカードによる施設使用料の支払いにつきましては、委員ご指摘のように、クレジットカード手数料を区、または利用者のいずれが負担するのか整理する必要があること、利用者が施設使用料をクレジットカードで決済してから、区は納入を確認するまでタイムラグがあること、またシステム改修が必要となるなど、解決するべき課題もございます。今後とも、施設使用料の支払い方法につきまして、ICT環境の変化を十分見きわめつつ、インターネットバンキングやクレジットカード決済など、電子決済機能を活用しまして利用者の支払い手段を増やすことで、利便性が一層高まるよう検討を進めてまいります。
◯委員(土屋 準君) ぜひよろしくお願いいたします。
それでは、次に、生活安全対策にかかわる連携・協力体制についてお伺いいたします。
昨今、危険ドラッグなどの規制薬物の売買、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺、悪質な客引き等の区民の平和な生活を脅かす犯罪に対する注目が高まっております。
そこで、まずお聞きしますけれども、危険ドラッグ等に起因する事件、事故等、特殊詐欺、客引き等の犯罪の現状はどのようになっていますでしょうか。
◯危機管理・生活安全担当課長(増田光春君) 昨年、危険ドラッグの利用に起因します凶悪な事件、事故が全国で相次いで発生しております。23区内におきましても、6月に池袋駅前で暴走車両によります8人が死傷する事故が発生し、同じく12月には、世田谷区内のアパートで危険ドラッグに起因した傷害事件が発生するなど、痛ましい事件、事故が続発し、深刻な社会問題となっているところでございます。
また、昨年の全国の振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺の発生につきましては、件数で1万3,371件、被害額は約559億円と被害額で過去最高となっているところでございます。都内におきましては発生件数が2,311件、被害額は約80億円と、一昨年に比べますといずれも減少しているところでございます。また、新橋などの繁華街では、訪れる人を不安にさせる悪質な客引きが存在していることは承知しておるところでございます。区民の方々からもご意見をいただくなど、その現状は認識しているところでございます。
◯委員(土屋 準君) それでは、最後に、このような中、区は先日このような犯罪を防止し、安全で安心できる港区を実現するため、東京都宅地建物取引業協会港区支部、全日本不動産協会東京都本部港支部及び区内6警察署と危険ドラッグの売買等の対策に関する覚書を締結しました。この締結による民間事業者との連携・協力体制はどのようにしていく考えでしょうか。
◯危機管理・生活安全担当課長(増田光春君) 区では、本年2月に区内6警察署、東京都宅地建物取引業協会港区支部及び全日本不動産協会東京都本部港支部と、危険ドラッグの売買、振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺、悪質な客引き等の対策に関する覚書を締結したところでございます。
この覚書の狙いにつきましては、港区全体で危険ドラッグの売買等を撲滅する機運を高めるとともに、多くの不動産関係事業者が加入いたします両団体の幅広いネットワークにより、危険ドラッグの販売店や振り込め詐欺グループの拠点、悪質な客引き店舗等の情報を収集、強化することにございます。
◯委員(土屋 準君) 今後とも対策をよろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
◯委員長(二島豊司君) 土屋委員の発言は終わりました。