◯委員(土屋 準君) 歳入におきましては、いわゆるふるさと納税と言われております寄附金についてお伺いいたします。
先日、地域の会合で会った方から言われたのですけれども、その方は港区内で商売をされているのですが、住んでいらっしゃる住居は実はほかの区であるということです。ただ、その方、住居に帰るのは寝るときぐらいで、1日のうちほとんどの時間を港区で過ごしているため、住居地の議員もほとんど知る機会がないので、住居地ではなくてかかわりのある港区で選挙権を行使できるようにならないかというようなお話がありました。
私は、それはありがたいのですけれども、今の制度ではできないことですと伝えたのですが、そうすると、今度は、自分は港区で会社を経営しているわけなので、港区の財政には貢献しているだろうというようなお話でございました。
そこでまず質問ですけれども、港区内の法人が自治体に納める税金というのはどれぐらいの額で、それはどのように扱われていますでしょうか。
◯財政課長(湯川康生君) 区内の法人が納める税金には、法人住民税や法人事業税、固定資産税などがあります。法人住民税は東京都が市町村民税分と都民税分を合わせて徴収しておりまして、港区分では1,699億円となっております。統計で把握できる23区全体での法人住民税を見ますと、市町村民税相当分と都民税相当分が金額ベースで7対3の割合となっております。法人住民税の市町村民税相当分につきましては、固定資産税、特別土地保有税とともに調整3税として都区財政調整交付金の財源となり、その55%は特別区に交付されております。ただし、港区は、都区財政調整交付金のうち普通交付金につきましては、基準財政収入額が基準財政需要額を上回っているために、平成15年度以降不交付となってございます。
◯委員(土屋 準君) 法人住民税の中の市町村民税部分と都民税部分の割合が、港区も全体と同じ7対3としますと、港区の年間予算は1,000億円台ですので、もう1本年間予算が立てられるくらいの額が都区財政調整の財源として出ていっているということになるのではないかと思います。都区財政調整の財源として法人住民税が都税として徴収されている仕組みでありますけれども、企業の立場からしますと、それでは、企業は立地している自治体に対して税収の面で地元貢献が直接的にはできないということになります。また、自治体の立場からすると、地域活性のために企業などの事業所を誘致する際に、税制面での優遇措置を設けたりするということがあると思いますけれども、特別区には課税権がないので、そのような手段にもなり得ないということになります。このようなことが相まって、事業所との協力関係、連携関係、地域の発展のために一緒に協力していくという関係がなかなか築きにくいという現状があるのではないかと思います。
先ほどの方には、私から、今のお話のとおり、会社が払った法人住民税は東京都に徴収されていて、都区財政調整の算定の結果、普通交付金は、現在、港区だけが不交付になっていますので、特別交付金がなければ港区の財政には貢献していないと伝えたのですが、そうしましたら、それでは愛着のある港区に貢献する方法はないのかというお話をいただきました。それならば、会社自体の税でかかわれないのであれば、個々の従業員に注目した対応は考えられないかと思うのですが、そこでお聞きしたいのですけれども、港区の昼間人口はどれぐらいで、都内や全国の自治体の中でどのような位置づけとなっていますでしょうか。
◯地域振興課長(遠井基樹君) 今から5年前の平成22年度の国勢調査における全国統計に基づきますと、港区は都内及び全国の区市町村の中で昼間人口は第1位でございました。なお、この中には政令指定都市も含まれておりますが、政令指定都市については、市全体ではなく、横浜市港北区、大阪市中央区のように、行政区単位での人口比較となっており、その中で港区がトップということになってございます。
◯委員(土屋 準君) 政令指定都市は行政区単位として計算して、港区は全国で第1位の昼間人口を持っているということでございますけれども、このような点で見ても、港区というのは特徴的な立場であるのではないかと思います。
そこで、ふるさと納税について考えますけれども、ふるさと納税と言われていますが、要するに地方税法に規定する寄附金で、自分が住んでいる都道府県や区市町村以外の自治体に寄附すると寄附金控除が受けられるというもので、ふるさとというだけではなく、どこの自治体にも寄附という形で納税できるという仕組みでございます。
先ほどの益満委員とのやりとりの中でも出てきましたけれども、昨年、港区民で他の自治体に寄附している方は1,000人以上いて、額は5億円以上とのことです。逆に、他の自治体の住民が港区に寄附しているのは1人だけで、額は10万円ということでございました。そもそもこの納税制度の狙いは、都市部と地方の税収格差を縮小させるということだと言われていますけれども、地方で生まれ育ったにもかかわらず、ふるさとを離れて都市部で就職する人は少なくないので、こうしてみると、ふるさと納税は、そのネーミングもあって、その狙いは当たっているのではないかと思います。しかし、本来ならば、現在住んでいる自治体に納めるべき税であり、それが納められなくなるわけですので、その自治体にとっては減収となります。特に港区は影響が大きいと言えると思います。
ところで、来年度から制度が変わるようですけれども、ふるさと納税に関して来年度の税制大綱に基づく改正というのはどのようなもので、また、それによってどのような変化があると考えられますでしょうか。
◯税務課長(若井世台子君) 現在の制度は、確定申告を行うことにより、ふるさと寄附金のうち2,000円を超える額について、限度額はありますが、所得税と住民税で原則全額控除できる制度です。平成27年度税制改正大綱に基づく改正により、平成28年度からその住民税の限度額が住民税所得割額の1割から2割に拡充される予定となっております。また、給与所得者など通常確定申告を必要としない人については、申告手続が簡素化され、確定申告不要のワンストップ制度が導入されます。この場合、ふるさと寄附金にかかる所得税の減税分が住民税に一本化されます。一方で、返礼品については、寄附金控除の趣旨を踏まえた良識ある対応を国が自治体に求めることとしています。手続が簡素化され、住民税の控除限度額が拡大されることから、注目度も高まり、港区民の寄附件数、寄附額は増加するものと想定しています。
◯委員(土屋 準君) ふるさと納税はこの改正によってしやすくなると言われます。先ほどのやりとりの中でも出てきましたけれども、利用者数が変わらないとしても、大幅な減収が見込まれています。利用しやすくなれば当然、特にサラリーマンで利用者数が増加して、先ほどの傾向から見れば、港区にとっては減収幅が広がっていくと思われます。
そこで、港区としても何らかの対応は考えるべきではないかと思うのですが、私は先ほどの意見とは少し違って、この制度改正を機に、港区は勤務先納税という観点で周知に取り組むことはできないかと提案したいと思います。先ほどの港区の昼間人口を見れば、その効果は大きいのではないかと思います。また、先ほど例に挙げた人のように、港区で仕事をして、1日のほとんどを港区で過ごして、港区に愛着を覚えているという人は多いのではないかと思います。港区に、遠い地方の村から通勤しているということはまず考えられませんので、勤務先納税という観点であれば、首都圏という都市部内での税収の移動になって、都市部と地方の税収格差を縮小するという本来の目的には反しないのではないかと思います。
返礼は、物でするというものもいいけれども、政策で行うというものもいいのではないかと思います。在勤者であれば、図書館や区の施設を利用するような人もいるでしょうし、少なくとも区の道路などは使っている可能性が高いのではないかと思います。緑が増えれば、在住者だけではなくて、誰にとっても心が休まるものですし、いざ災害が起きれば、区の支援も必要となってきます。そのようなことを考えますと、この制度改正を機に、港区は勤務先納税という観点で周知に取り組むべきではないとか考えますが、いかがでしょうか。
◯企画課長(大澤鉄也君) 港区には多くの事業所が集積し、昼間人口は約90万人に上り、非常に多くの方々が区内で就労されております。首都東京は23区一体として発展していくことが、港区の発展にもつながっていきます。都区制度や都区財政調整制度上の課題はありますが、区内事業所がご負担いただいている税は港区に対するご負担ということでもあり、23区全体の発展に貢献をしていただいております。ふるさと納税は個人の意思で自分の生まれ故郷、応援したい自治体に対する寄附を選択するものであることから、この制度の趣旨を踏まえ、特別に在勤者に対して港区への寄附を呼びかけることは現在のところ考えておりませんが、特例控除額の拡充、申告手続の簡素化といった制度改正による影響等の情報収集に努め、またふるさと納税の実績の変化を注視してまいります。
◯委員(土屋 準君) ぜひいろいろな観点で検討をしていっていただければと思います。以上で質問は終わります。
◯委員長(二島豊司君) 土屋委員の発言は終わりました。