○委員(土屋準君) 教育費におきましては、性に関する教育についてお伺いをいたします。国連教育科学文化機関が各国の研究成果を踏まえまして、世界の婦人機関などと協力して、性教育の指針国際セクシュアリティ教育ガイダンスを定め、5歳から18歳を4段階に分けて学習内容を提示し、幼少期から教えることを推奨しております。
一方日本では、文部科学省が中学校の学習指導要領で、性交や避妊、人工中絶は取り扱わないとしています。以前、他区の区立中学校で行われた性に関する教育の授業が、学習指導要領を超える内容であったと指摘されて問題になったことがありました。
そこでまず質問ですけれども、現在性に関する教育はどのようなことを学んでいるでしょうか。
○教育指導担当課長(篠崎玲子君) 各学校では、学習指導要領や東京都教育委員会の性教育の手引に基づき、幅広い視点で、発達段階に応じ、計画的に性教育を行っております。例えば保健学習において、小学校4年生では、女子には月経が始まること、中学校1年生では、月経が始まれば妊娠が可能となること、また、3年生では、性感染症の予防について指導するなど、学習指導要領に基づいた指導を行っているため、中学校では性交については指導しておりません。
また、学習指導要領の範囲を超えて指導する場合には、児童・生徒の実態を踏まえるとともに、保護者の同意や理解が必要と考えております。
○委員(土屋準君) 発達段階に応じて行っているということですけれども、この性に関する教育につきましては、推進する意見と不安視する意見とがあります。共通して言えるのは、インターネット上の誤った性情報の氾濫など、子どもを取り巻く環境が変化しております。SNSなどから性犯罪に巻き込まれないようにする必要があるということで、学校で正しく教えなければ、誤った知識で性体験を急いだり、自分やパートナーを傷つけることがあるということで、若年層の望まない妊娠というものは貧困につながるというようなこともあります。そういったことを防がなければならないという問題意識があります。大体こういったところは、子どもを守るという観点で共通しているのではないかと思います。
また、教える内容が問題になっているところで、不安視する意見としては、性交や避妊を教えるのであれば、避妊すれば性行為を行っていいと受け取る生徒が出てくるのではないかということです。例えば子ども同士で、実習をしようよなどと言って性交に及んで、それが子ども同士の性被害になる可能性があるというようなものでございます。学習指導要領を論点としておりますけれども、要は性交を助長することになるのではないかという不安感があるのではないかと思います。そのため、こうした意見では、産み育てられる状況になるまでは性行為は避けるのがベストであり、安易に性交渉しない自己抑制教育、性道徳が必要である。性に関する教育の本質は次世代の命に関わることであり、性は新しい生命が誕生する神聖なことにつながるもので、性を考える場合、命の尊厳とどう結びつけて考えることができるか、そのようなことを大切にすべきであるといった意見です。
そこで質問ですけれども、こうした意見があることを踏まえ、性に関する教育の今後の方向性について、どのように考えているかお伺いいたします。
○教育指導担当課長(篠崎玲子君) 子どもはそれぞれ性に関する知識、身体の発達の差異が大きいことから、教育委員会は、授業等で一律に指導する内容については、学習指導要領に基づいた指導を行っております。その中で、児童・生徒が性情報の氾濫、未成年の性感染症や人工妊娠中絶の未然防止、性自認、性的指向等への正しい理解を身につけられるよう、生命を尊重することと関連づけて指導しております。
また、異性との関わりや身体の発達、性自認については、児童・生徒の個別の悩みについて丁寧に対応するよう、各学校に働きかけております。
今後は、性教育について様々な意見があることや、保護者の理解と協力が必要であることを踏まえ、学校と保護者が一体となって性に関する指導をしていけるよう、保護者懇談会の際に性教育に関する議題を取り上げるなどの取組をしてまいります。
○委員(土屋準君) 性に関する教育をしなければならないということは共通していると思いますけれども、いろいろ不安な声があるですとか、あるいは保護者の理解を得ることにぜひ丁寧に対応していっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。