○委員(土屋準君) 総務費におきましては、初めに今後の選挙管理業務の課題について、お伺いいたします。
まず、衆議院議員選挙の選挙区割りと投票区についてです。衆議院議員の任期が来月で切れまして、いよいよ総選挙が行われます。今回の選挙は、前回4年前に改定された区割りで行いますけれども、今後の選挙で注目されるのが、まず来年新たに改定される新しい区割りでございます。港区は、かつての中選挙区の時代から、千代田区、新宿区とともに東京都第1区を構成し、小選挙区に移行してからもその構成は変わりませんでした。
ところが、前回の区割り改定で、港区は歴史上初めて分割されることになりました。この区割りでは、芝地区総合支所管内のうち、区役所のある愛宕地区全域と芝一丁目から四丁目、芝浦港南地区管内のうち芝浦一丁目から三丁目、海岸二丁目と三丁目のうち1から3番地、14から19番地と22から33番地が東京都第2区に編入されました。一方、芝五丁目、芝浦四丁目、海岸三丁目のうち4から13番地、20から21番地と31から33番地は東京都第1区に残ることになりました。非常に分かりにくい区割りでございます。
問題なのは、この結果、総合支所の区域はもとより、芝浦三丁目、四丁目町会や海岸二丁目、三丁目町会といった地域コミュニティーが分断されることになったということでございます。この問題は、国会でも取り上げられていましたけれども、町会や自治会は、行政のパートナーとして地域のコミュニティーにおいて大きな役割を果たしており、市区町村の分割に当たっては、町会自治会などの地域のつながりを考慮すべきです。それにもかかわらず町会の2つの選挙区にまたがることになり、芝浦海岸地域の方は大変困惑しております。
そこで、まず質問は、この区割りで地域コミュニティーが分断されたということをどのように考えていますでしょうか。
○選挙管理委員会事務局長[選挙管理委員会事務局次長事務取扱](遠井基樹君) 前回の衆議院議員選挙の、紛らわしいのですが選挙区割りと選挙区がございますが、選挙区割りにつきましては、区割りの実施前に、総務省から区に対して、人口や地勢などのヒアリングを受けました。地域コミュニティーを分断することなく、従前からの港区の選挙区を基本としていただくよう、区としての意見をお伝えいたしました。その結果、選挙区割りは東京都第1区と東京都第2区に分割はされましたが、投票区の区割りについては、従前のとおりそのままになっております。選挙区割りによって地域コミュニティーが分断されたということは、選挙管理委員会としては考えてございませんが、今後、また選挙区割りの見直しが予定されている場合には、区として地域コミュニティーの重要性について、国に対してしっかりと意見を伝えてまいる所存でございます。
○委員(土屋準君) 本当に地域コミュニティーが分断されたということは、大変残念なことだと思います。区割りの分割状況を番地で言うと分かりにくいのですが、地図で見ると分かりやすくなっていますので、データで提出しておりますので御覧いただきたいと思います。サイドブックスを御覧いただいている方は、議員補足資料というところを御覧いただければと思います。インターネット中継で御覧いただいている方は、画面の右側に質問者一覧表というのがありますので、そこを一番下までスクロールしていただきますと添付資料というところがありますので、そこをクリックして見ていただければと思います。内容は、こういう投票区域の入った地図になっておりますので、御覧いただければと思います。
港区における現在の区割りを見てみますと、以前の東京都第2区である中央区に近い虎ノ門や新橋などの第1投票区から第7投票区まで、それと芝浦海岸地区の第9投票区の8つの投票区が東京都第2区に編入されております。投票区が8つとなれば、普通に考えれば第1から第8投票区となりそうですが、芝五丁目の第8投票区は東京1区に残りまして、芝浦海岸地区の第9投票区が東京2区に編入されました。この2つは有権者数に大きな開きがありますので、恐らく1票の格差を抑えるという至上命題があったからではないかと思います。
現在、第38投票区と第40投票区というのは、芝浦四丁目と海岸三丁目です。以前は第9投票区に入っていたのですが、近年の人口増加によって分割されていました。中央区に近い投票区から、恐らく有権者を少しずつ足しながら投票区を移していった結果、ちょうどそこが選挙区境になってしまったということではないかと思います。
国会の議論の中でも、市区町村分割に当たっては、原則として投票区を手がかりとし、案を作成したという答弁がありました。同じ投票所が2つの選挙区にまたがることがないようにということを優先したのだと思いますが、その結果、総合支所や町会が分割されるケースが生じたのではないかと思います。
そこで、質問です。投票区は、どこがどのようにして決めているのでしょうか。
○選挙管理委員会事務局長[選挙管理委員会事務局次長事務取扱](遠井基樹君) 投票区でございますが、原則として区市町村が決めております。私ども港区選挙管理委員会において、場合によって複数の投票区を設けることはできるということから、現在複数設けておりますが、基本的には、地域に一番身近な選挙管理委員会として町会自治会の意見を聞き、それから投票所の場所などを考慮しつつ投票区を定めております。
○委員(土屋準君) 区割り自体は国で決めることですが、国としては、区が定めた投票区に基づいて区割りしているのだということになるかと思います。昨年、国勢調査が行われまして、6月に発表された速報値に基づいて、来年の夏には新たな区割りが改定されるということです。
前回は、東京都の選挙区の数は変更されていませんが、次回の改定では、アダムズ方式が適用されますので、東京都の選挙区は5増。つまり選挙区が5つ増えるということになります。前回以上に大幅に選挙区が変更されることになると思います。前回の例によれば、区割り改定前年の10月には、東京都から区に対して小選挙区の改定案策定に当たっての意見照会があり、11月には、区から東京都に対して回答されたということだそうです。
当然、地域コミュニティーを分断することがない区割りとすることや、また、分かりやすい選挙区とすることなどを意見具申していただきたいと思いますが、投票区の設定自体は区で行うことでございます。投票区の設定に当たっては、1投票区当たりの有権者数ですとか地勢、交通事情、投票所とすべき公共施設の有無、他の投票区との均衡など、様々な状況を考慮しなければならないと思いますが、今度は選挙区の境界線となり得るということになった以上、地域のつながりも考慮に入れて、見直せるところは見直せないかと思っております。
そこで質問です。可能であれば、地域のつながりも考慮に入れて投票区の設定を見直してみてはと思いますが、どのように考えますでしょうか。
○選挙管理委員会事務局長[選挙管理委員会事務局次長事務取扱](遠井基樹君) 現時点では、今回の国勢調査の結果を踏まえた新たな選挙区割り、あるいは選挙区割りの変更の時期などについて、総務省から正式な話は伺っておりません。ただ、選挙区の設定に当たりましては、ただいまの委員御指摘のとおり、いろいろな状況を勘案するとともに、地域の要望や地域の実情、これは身近な区の選挙管理委員会としては当然把握しているところでございますので、こういったことをきちんと総合的に国に対して意見を申し述べ、また、ほかの区、自治体における投票区の設定方法も参考にしながら、投票しやすい選挙区の設定について調査研究してまいります。
○委員(土屋準君) 選挙制度の在り方というのは議会政治の根幹に関わる重要な問題でありますし、住民にとって、どの選挙区で投票することになるかは主権を行使する上で重大なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
次に、選挙のデジタル化について、お伺いいたします。今月デジタル庁が設置されまして、選挙の分野でも電子投票やネット投票といったデジタル化を進める議論があります。電子投票やネット投票は、いずれも紙の投票用紙を使わずに、機器の画面を通じて投票する方法ですが、電子投票は投票所に行って、設置されているタッチパネルを操作して投票するというものでございます。これは開票作業が迅速になり、疑問票もなくなる上、立会人もいるので不正投票も防げるといった長所が挙げられますけれども、コストも高く、日本では平成14年から地方選挙で認められて全国の10市町村で計25回行われましたが、サーバーダウンで投票ができなくなったケースなど、トラブルが相次ぎまして、現在は実施している自治体はないということでございます。
一方ネット投票は、投票所に行かずに自宅などでパソコンやスマートフォンなどを使って、専用サーバーにアクセスして投票するというものです。これは、外出が困難な高齢者や地方の人も投票が楽にでき、若者の投票率アップも期待される上、開票作業も迅速になるといった長所が挙げられますが、サイバー攻撃やシステムトラブルの危険性があり、立会人がいないため、望まない投票を強要されるおそれもあるというような課題も挙げられております。例えば、スマートフォンの使い方が分からない人に、「じゃ、俺が教えてあげるよ。この人に入れてよ」と言って、その人のところをポチッとやるとか。立会人もいないので、公平だったかどうかというのは分からないという問題があるのではないかと思います。
そういった様々な課題がデジタル化にはありますけれども、今後それでも選挙のデジタル化というのは進むと思います。どのような対応を考えているのか、お願いいたします。
○選挙管理委員会事務局長[選挙管理委員会事務局次長事務取扱](遠井基樹君) 選挙のデジタル化につきましては、先般23区の局長会がございました。コロナ禍における選挙をどうするか。投票所に行くことが感染につながらないかという中で、国として、諸外国の例も参考にしながら、インターネット投票について調査研究を進めているという報告を受けました。
投票の秘密の保持ですとか二重投票の防止、セキュリティー対策、インターネット環境がない方へどうするかということなどの課題があって、それについての対応が必要だということは聞いてございますが、具体的なスケジュールはまだ提示されてきておりません。手初めに、選挙人名簿が区によってばらばらということで、このシステムの標準化をするという動きを聞いてございます。選挙全体のデジタル化をどう進めていくかについては、まだ明示はされていません。
いずれにいたしましても、選挙のデジタル化の推進に向けて国の動向を注視するとともに、地域に最も身近な自治体の選挙管理委員会として、意見を申し述べてまいる所存でございます。
○委員(土屋準君) これから重要な課題になってくると思いますので、ぜひしっかり対応していっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
選挙のデジタル化の次には、一般行政の方のデジタル化です。マイナポータルについて、お伺いいたします。国は、自治体デジタルトランスフォーメーションの推進計画の重点取組事項としまして、自治体の情報システムの標準化、マイナンバーカードの普及促進、自治体の行政手続のオンライン化、テレワークの推進などを掲げております。
区におけるマイナンバーカードの交付率は、今年8月末時点で47.9%となっており、23区で2番目に高い交付率となっております。マイナンバーカードの普及と併せて、マイナンバーカードの活用の機会が今後さらに広がっていくことが期待されています。マイナンバーカードを活用したサービスとしては、マイナポータルがあります。マイナポータルには、電子サービスができるぴったりサービスや、区民税などの自分の情報を必要なときにいつでも見ることができる、わたしの情報などの機能もあり、区民にとってもその利用のメリットは大きいのではないかと思います。そこで質問です。マイナポータルは、令和2年度に区民の利用はどの程度あったのでしょうか。
○情報政策課長(山越恒慶君) 区では、平成29年11月のサービス開始当初から国のマイナポータルサイトを積極的に活用し、マイナンバーを必要とする手続のオンライン化を進めております。令和2年度は、特別定額給付金など44の手続でぴったりサービスを利用した電子申請を可能としており、令和2年度で1万5,625件の電子申請を受付しております。また、わたしの情報の閲覧件数ですが、1か月当たり約1,500件利用されている状況となっております。
○委員(土屋準君) ありがとうございます。マイナンバーカードの交付が進む中、区としても、マイナポータルを活用したサービスを充実していくということが、今後ますます重要になってくると思います。
さらに実際に利用していただくということは、もっと大切なことだと思っております。そのためには、マイナポータルでどんなことができるのか、なかなか区民に分かっていただけないところも多いかと思いますが、区民にもっと知っていただくことが必要だと思います。そこで質問は、今後マイナポータルの利用を推進していくため、どのように周知を図っていくのか、お伺いいたします。
○情報政策課長(山越恒慶君) 区では、マイナポータルの利用について周知をするため、区有施設等でのポスターの掲示やチラシの配布を行うとともに、広報みなとや区ホームページに案内記事を掲載し、幅広い世代への周知を図ってまいりました。
今後、ぴったりサービスを利用して、電子申請ができる手続を拡充するとともに、区ホームページの案内の充実やツイッターの活用、マイナンバーカード交付時のマイナポータルの紹介などにより周知を行い、区民の利用を促進してまいります。
○委員(土屋準君) ぜひこれから有効な活用ができるようになっていけばと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、女性活躍推進と性的少数者に関する課題について、お伺いいたします。今回行われた東京オリンピック女子重量挙げで、性別適合手術を受けた元男性のトランス女性が史上初めて出場いたしました。結果は記録なしに終わりましたけれども、公平性をめぐる議論も起こりました。現在IOC国際オリンピック委員会が定める五輪参加の基準を見ますと、元男性であっても、テストステロン、これは男性ホルモンですが、1年間基準値が一定以下であれば、女子種目への参加が認められています。
しかし、テストステロン値など、身体的要因の基準は、まだ科学的根拠が少ないという指摘もあり、たとえテストステロン値が一定基準を下回ったとしても、男性として生きてきた期間に形成された骨格や筋肉量などで優位性があるとの疑問は残ります。元男性の出場は、五輪の出場やメダル獲得などの機会を失う女性選手が出てくるという批判があります。
ところで、国会では今年6月、政治分野における男女共同参画推進法の改正法が成立し、政党に対して、男女の候補者数の目標設定や候補者の選定方法の改善、候補者の人材育成などに取り組むよう、求めています。港区では、今年3月に第4次男女平等参画行動計画を策定し、審議会委員の女性委員比率を向上させたり、課長級以上の管理的地位にある女性職員の割合を向上させたりする目標を定めています。
一方、厚生労働省は、今年4月、厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会の分科会を開き、就職活動などで用いる履歴書の性別欄について、男女別の選択肢を設けず、記載を任意とする様式例の案を初めて示しました。これは、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人々の要望に応えたと言われております。
女性活躍推進の立場からすれば、公職の候補者や審議会委員、管理職員の割合を高める目標を設定するならば、男女の区別を明確にする必要がありますが、性的少数者に配慮する立場からすれば、男女の区別を明確にしないという矛盾することが起こります。そこで質問です。女性活躍推進と性的少数者の配慮は、どちらを優先するのでしょうか。
○総務課長・人権・男女平等参画担当課長兼務(荒川正行君) 区は、女性活躍推進及び性的少数者への配慮について、いずれも区政の重要課題であると捉え、積極的に推進しているところでございます。女性の活躍推進のためには、区の政策、方針決定過程に女性の意見を反映させることが重要です。第4次港区男女平等参画行動計画では、審議会などの女性委員の割合を、令和8年度に50%を達成することを目標に掲げており、達成状況を把握するためには、審議会等の委員を男女比で把握する必要がございます。
一方、こうした中におきましても、性的少数者、特にトランスジェンダーの方については、自らが認識する性別を申告いただき、それにより男女を把握するなど適切に対応することにより、女性活躍推進と性的少数者への配慮を両立させて取り組んでまいります。
○委員(土屋準君) 難しい問題だと思いますので、また、これからも取り上げていきたいと思います。よろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。