土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

令和元年度決算特別委員会-09月24日

○委員(土屋準君) 総務費におきましては、初めにPCR検査の推進による安全の確保について、お伺いいたします。PCR検査の拡大につきましては、これまでもいろいろな質疑等で取り上げられてきたところでございます。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴いまして、PCR検査を積極的に行えるようにするべきではないかという意見をよく聞きます。しかし、PCR検査を公費で行えるケースは限られており、自費で行う場合は、費用が多額であると言われております。そこで、まず質問です。現在PCR検査を公費で行うのは、どのような場合でしょうか。また、その他の場合、費用の助成はどのようにしていますでしょうか。

○オリンピック・パラリンピック推進担当課長・全国連携推進担当課長・新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 区は、新型コロナウイルス感染症患者を早期に発見し、必要な医療へ速やかにつなぐため、感染症が疑われる方や濃厚接触者などに対して、感染症法に基づく行政検査としてPCR検査を公費で実施しております。現在こうした行政検査に基づかないPCR検査費用に対する助成制度はございませんが、高齢者や基礎疾患のある方は、特に重症化するリスクが高いとされております。区では、こうした高齢者施設等が主体的に実施するPCR検査の費用を助成するなど、効果的な支援策についての検討を進めております。

○委員(土屋準君) 行政検査以外、公費での助成というのは、今のところないということでございます。今ありましたように、これに関しては、重症化することが多いとされる高齢者の施設関係はもちろんですが、保育園など子ども関連施設でも検討されるようですが、一層の拡大を検討していただければと思います。
例えば乳児院というのがあります。産後の子育てが困難な場合も含め、精神的・身体的虐待、ネグレクト、母親の疾病等により、家庭で育てられない乳幼児を多く抱える乳児院でありますが、児童相談所からの入所の依頼も多いとのことです。入所受入れに際し、子どものPCR検査を依頼しても自費扱いになるということで、なかなか対応してもらえず。入所を受け入れられていないということでございます。そうすると児童相談所の業務も滞ってしまい、他の分野にも影響を及ぼすことになるのではないかと思います。そこで質問です。このような乳児院の入所時などでのPCR検査の費用助成など、効果的な支援策も検討していただければと思いますが、どのように考えますでしょうか。

○オリンピック・パラリンピック推進担当課長・全国連携推進担当課長・新型コロナウイルス感染症対策担当課長兼務(白石直也君) 国によれば、子どもは、高齢者や基礎疾患のある方と比べて、感染した場合に重症化するリスクは低いとされております。委員御質問の乳児院入所時におけるPCR検査費用の支援につきましては、その効果や必要性など、特に重症化するリスクが高いとされている高齢者等とも比較しながら、専門家の知見や東京都などの他の支援策、感染症の流行状況も見極め、検討してまいります。

○委員(土屋準君) ぜひ検討していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、民間団体との協働について、お伺いいたします。区長は、今年の2月の所信表明におきまして、皆さんとともに港区の輝かしい未来を実現する、企業の持つ先端技術やアイデアを募集し、区の課題解決につなげる仕組みをつくると述べられました。区内には多くの企業が集積しており、それは港区が持つ強みであります。その強みを区政に生かしていくことは、港区の魅力をさらに高めることにつながると思います。また、企業、事業者も、区と連携することにより社会的信頼性も得られるというメリットもあり、それが企業価値の向上につながっていくことになると考えますので、こうした区の取組には大変期待しております。
区では、平成30年9月に港区企業連携推進方針を策定しまして、SDGsの普及・啓発やがん闘病者の啓発イベントなど、民間の創意工夫を凝らした事業を創出してきました。そして、このたび港区企業連携推進方針に掲げる、企業と区が共に地域を支え、地域社会のさらなる発展につなげるという、目指すべき姿を実現する具体的な取組として、港区民間協創制度を創設しました。これは、企業だけでなく大学、NPO法人等の民間団体の持つ知識、ノウハウ、先端技術等の強みを最大限生かした取組を民間との協働によりつくり上げ、区の課題解決や民間の新たな価値の向上につなげることで、地域社会のさらなる発展を目指すことを目的とするものということでございます。
これは初めて創設する事業であるため、事業構築は手探りであったと思います。この事業は、区と事業者の共同作業で進めるものであるため、事業者側に立った視点での制度構築も必要ではないかと思います。そこで、お伺いします。事業構築に当たり、重視した点はどのようなものがあるか、お伺いいたします。

○企画課長(大浦昇君) 事業の構築に当たっては、多くの企業にとって活用しやすい制度にするという視点を重視し、金融機関、メーカー、IT等の複数の分野の企業にヒアリングを行いました。企業からは、区役所は敷居が高いイメージがあるため、気軽に相談しやすい仕組みがあればいいという御意見や、漠然と提案を募集するよりも、課題を明示した方が応募しやすいといった声をいただきました。こうした御意見を踏まえ、企業が簡易に申し込めるようにするため、区のホームページ上に専用申込みフォームを開設するとともに、提案の募集に当たっては、区の課題を明示するテーマ指定型と、自由な提案を募るフリー型の2類型で提案を募集することとしました。

○委員(土屋準君) 事業者側から提案しやすい工夫をしていると思います。
8月からの開始でまだ日がたっていませんが、これまでの提案実績はどのようなものがあるか。また、成果としてはどのようなものがあるか、お伺いいたします。

○企画課長(大浦昇君) 事業開始から1か月半の間に、企業からの問合せや提案は17件寄せられております。例えば、これまで区と関わりのなかった、港区を題材にしたお菓子を販売する企業から、商品を用いて区の魅力向上に貢献できないかという提案があり、区のシティプロモーションシンボルマークの活用につなげた事例や、全区の複数の自治体から派遣者を受け入れている広告関係の企業からは、人材交流など区の全国連携の取組とのコラボレーションに関する企画が寄せられております。このほかにも協議を進めている提案もあり、引き続き企業との対話を重視し、区の課題解決や企業の新たな価値の向上につなげることで、地域社会のさらなる発展を目指してまいります。

○委員(土屋準君) まだ始めて間もないのですが、いろいろな提案が寄せられていると感じています。民間団体との協働は港区の強みだと思いますし、共に価値をつくり上げていくことは、地域社会のさらなる発展につながると思いますので、今度ともよろしくお願いいたします。
次に、広報戦略の工夫について、お伺いいたします。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、国や東京都が取り組んでいることはテレビで放送するので目にするが、港区がどういう対策を取っているのかは目にしないという声を、区民の方からよく聞きます。そんなときは、広報みなとに掲載していますと伝えますが、新聞を取っていないので見ないという方もいらっしゃいます。そこで、まず質問は、広報みなとは新聞折り込みで区民の方に届けていますが、現在どれくらいの世帯の方に新聞折り込みで届いていますでしょうか。また、新聞を購読していない方には、どのような対応をしていますでしょうか。

○区長室長(横尾恵理子君) 広報みなとは月に3回発行しており、1回当たり9万8,000部発行しております。新聞への折り込みによって広報みなとを受け取っているのは、約7万8,400世帯の方々です。新聞を購読していない方で広報みなとの配布を希望する方には、御自宅への配送も行っており、1回当たり約3,000人の方にお届けしております。広報みなとの紙面には、自宅配送に関する御案内記事を掲載し、いつでも御利用いただけるよう周知を図っております。このほか区有施設での配布や、区内の郵便局、区内のJRや地下鉄、公衆浴場やスーパーマーケットなどでも配布しているほか、広報みなとのデータは港区ホームページに掲載しており、月3回の発行日には、それぞれツイッターやフェイスブックで発行のお知らせとリンクを張った御案内を行っております。

○委員(土屋準君) いろいろな工夫もされていると思いますし、新聞を購読していない方には、申請すれば配達するということですが、そういう方法があるということも知らない区民も多いのではないかと思います。広報は、ただ発信しておけばいいというわけではなく、必要な人に必要な情報が効果的に届くということも重要なことだと思います。
ホームページも開設しているということですが、自分が必要な内容がどこに載っているのか分かりにくいという声もよく聞きます。施策を発表したときにタイミングよく必要な人がそれを見るということは、なかなかありません。最近各部署で、ツイッターを始めましたが、ツイッターをしていない人も多くいます。している人でも、港区の各部署でツイッターを始めたということを知らない人も多いと思います。広報戦略には、効果的に届く工夫が必要ではないかと思います。そこで質問は、これからの広報戦略の工夫について、どのように考えているのか、お伺いいたします。

○区長室長(横尾恵理子君) 区は、広報みなとをはじめとする各種刊行物、区のホームページ、ケーブルテレビ及びSNSなどの様々な媒体で、区民生活に必要な情報を発信しております。本年10月1日から、LINEを活用し、事前登録の上、欲しい情報をあらかじめ選択した利用者に対して、利用者が自分で別途検索することなく、必要とする情報を適切なタイミングで自動的に届けるプッシュ型の情報発信を開始いたします。併せてLINEのほか、区民の方に広く周知したい情報が一目で分かりやすいよう、区のホームページのトップページにLINEのマークのボタンを表示するなど、デザインを変更いたします。今後は、SNSになじみがない方にも周知が行き届くよう、現状での周知方法に加えて、デジタルサイネージや区設掲示板でのポスターの掲示など、広く、きめ細かな情報の提供を徹底し、効果的な広報戦略の工夫を重ねてまいります。

○委員(土屋準君) LINEを活用した仕組みは、このような観点からは適した方法だと思います。区がこのような取組をしているということが、どこまで伝わるかということもありますし、どれだけの人が活用するかという課題もあるのではないかと思います。まだまだ広報戦略は工夫しなければならないと思いますので、さらなる工夫をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、性的少数者に関する課題について、お伺いいたします。性的少数者に関する課題については、これまで何度か取り上げてきました。今回は、この春に導入されましたみなとマリアージュ制度について、取り上げてみたいと思います。全国に類似の同性パートナーシップ制度がありますが、港区の特徴は、条例で設けていること、公正証書の作成を要件としていることだと思います。そこでまずお伺いします。同性パートナーシップ制度については、現在、全国でどれくらいの自治体が導入しているのでしょうか。そして、その中で条例により実施している自治体、公正証書の作成を要件としている自治体はどれくらいありますでしょうか。

○人権・男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) 9月1日現在、制度導入自治体は59自治体でございます。そのうち、根拠規定が条例によるものは、港区をはじめ、渋谷区、豊島区、岡山県総社市の4自治体です。また、公正証書または私文書認証を受けた契約書などを必要書類としている自治体は、都内の4自治体となっております。

○委員(土屋準君) 全国でそれだけの自治体が導入しているということであります。条例により実施している、あるいは公正証書の作成を要件にしているというところは結構少ないのだなと思っております。
この制度については、婚姻制度とどのように違うのかということをよく聞かれます。そこでお伺いします。例えば一方が亡くなった場合、その人の財産はどうなるのかという問題です。もう一方に財産を残すためには、公正証書の作成で足りるのでしょうか。また、民事信託と言われる制度があります。信託は用い方によっては柔軟に財産を残すことができると言われております。遺言以外に、信託制度を利用するという方法もあるかと思いますが、どのように考えますでしょうか。

○人権・男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) 相手の方に財産を残したい場合には、みなとマリアージュ制度で確認する公正証書や私文書認証の契約のほかに、遺言書を作成する必要がございます。また、民事信託は、本人の特定の財産を信託財産として、本人を受益者とし、本人死亡後は相手方を受益者に指定しておくもので、財産の継承の方法の一つとなっています。こちらも信託契約を結ぶための書類の作成が必要です。お二人で事業を営んでいる場合にも、この仕組みを利用して継承することが可能となっております。

○委員(土屋準君) 要するに、他人同士の関係と同じことが必要とされるということだと思います。
もう一点、同性パートナー同士では生物学的には子どもを設けることは不可能ですが、このみなとマリアージュ制度では、2人が養子を迎えるということはできるのでしょうか。また、連れ子養子のように、2人が親権を持つということはできるのでしょうか。

○人権・男女平等参画担当課長(中村ゆかり君) みなとマリアージュ制度を利用するお二人で養子を迎えることはできますが、養子を迎える場合、どちらかが親権を持つことになり、お二人で親権を持つことはできません。もし、一方が相手方の連れ子と養子縁組をすれば、実の親である相手方は、子どもの親権者ではなくなるということになります。

○委員(土屋準君) ここでもやはり他人同士の関係と同じという前提で考えなければならないということではないかと思います。
婚姻といいますのは個人の権利であって、当事者同士が合意すれば認められるということは共通して言えることだと思います。一方で、法律は婚姻関係だけを特別に保護していますが、そこには子どもの福祉という観点があるからだと思います。例えば民法には、生物的な婚姻障害が設けられております。当事者の合意だけで認められるのであれば、兄弟で結婚してもいいことになります。また、女性を対象にした再婚禁止期間が設けられています。これも生まれてくる子どもの福祉のために父子関係を法的に明確にする必要性から定められたものだと言われております。同性カップル関係は、男女の婚姻関係と同じ権利を得られないのかという意見もありますが、このような立法趣旨も理解されていけばと思います。
以上で質問を終わります。

○委員長(杉浦のりお君) 土屋委員の発言は終わりました。

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