○委員(土屋準君) 総務費では、私から、港区が一番、あるいは港区が初めてといったものを取り上げていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
初めに、港区版ふるさと納税制度についてです。
昨日も質疑がありましたけれども、ふるさと納税による減収額を見ると、港区は23区では1人当たりの控除額では一番、総額では世田谷区に次いで2番目となっていますが、世田谷区は人口が多いですので、それを考慮すると、港区が一番影響を受けているのではないかというふうに思います。
一方、港区は、平成30年度より、港区版ふるさと納税制度を始めました。この制度は、返礼品によらず、寄付者が寄付の使い道を選んで区の取り組みを応援する制度です。
そこで質問ですが、この港区版ふるさと納税において区民以外の寄付、事業別の実績の特徴は、どのようなものでしょうか。
○企画課長・区役所改革担当課長兼務(大浦昇君) 平成30年度実績は、39件、349万7,000円で、うち港区民の方の寄付が24件、82万7,000円、港区外の方の寄付は15件、267万円となっており、港区民の方からの寄付件数が60%以上を占めています。
また、事業別では、台場の水質改善に向けた取組を推進するが6件、24万円、MINATOシティハーフマラソンが9件、117万5,000円、運河に架かる橋のライトアップが6件、6万5,000円、区政全般を応援が18件、201万7,000円で、区政全般を応援の実績が、件数、金額ともに多くなっています。
○委員(土屋準君) 今の状況を見ますと、区民以外よりは区民の件数が圧倒的に多いようですし、事業別では、特定の事業よりも区政全般を応援するというのが突出して多いように感じます。私はこの2点が課題ではないかと思っております。
まず1点目の区民以外よりは区民が多いという点については、区民の場合は、効果的ではないのではないかという課題です。区民の場合は、そのままでも区民税として納税されていますので、ふるさと納税として入るか、区民税で入るかというような違いになると思います。区民以外の場合には、寄付された分が、区の増収になると思います。よって、区民以外の人に港区版ふるさと納税をしてもらえるということが、財政にとっては効果的ではないかと思います。幸い港区は、昼間人口が政令指定都市を除き全国で一番多いという特徴がございます。以前にも取り上げましたけれども、在勤者など区民以外の人にふるさと納税をしてもらうような工夫をしていただければと思います。
2点目の特定の事業よりも区政全般を応援するというものが多い点につきましては、もしかしたら応援したい事業がないのではないかと考えられている可能性があるという課題です。返礼品がある自治体のふるさと納税でしたら、返礼品さえもらえれば事業は何でもいいということで、どこの自治体でもということも考えられる可能性がありますけれども、返礼品がないのに特定の事業でなく、区政全般を応援するというものが多いのは、もしかしたら応援したい事業がこの中にないのではないと考えられている可能性があるのではないかと思います。
そこで、まず区民以外の人に港区版ふるさと納税をしてもらえるように工夫をするということとともに、寄付者のニーズをアンケートなどで把握するような工夫をしてみたらいかがかと思います。いかがでしょうか。
○企画課長・区役所改革担当課長兼務(大浦昇君) 1点目の港区外にお住まいの方にも広くご理解、ご賛同いただける工夫として、さわやか信用金庫さんや芝信用金庫さんをはじめとする港区と連携する企業に協力を仰ぎ、内定者や従業員の方への周知を行うとともに、ふるさと納税サイトを通じて行うガバメントクラウドファンディングの活用をあわせ、港区内外への周知を強化してまいります。
2点目の寄付者のニーズを把握する工夫についてですが、昨年度は区の窓口などで意見募集を行いましたが、さらに広くニーズを収集するため、今後はインターネットアンケート等の活用も検討してまいります。引き続き、港区版ふるさと納税制度を魅力あるものとすべく充当事業の検討をしてまいります。
○委員(土屋準君) ありがとうございます。港区は返礼品がないふるさと納税制度ということで、逆に考えると、寄付してもらえた分が丸々事業に生かせるという制度であります。港区は返礼品がないけれども、ふるさと納税制度がいいねと言われるような工夫をしていっていただければと思いますので、よろしくお願いします。
次に、公共施設将来経費試算ソフトについてお伺いいたします。
港区は、ことし23区で初、つまり最初に公共施設将来計画試算ソフトを開発しました。全国でも初かもしれませんけれども、確認はできませんで、とりあえず23区で初とさせていただきます。
これは学校や福祉施設など公共施設でいつ改修工事が必要か、どのくらい経費がかかるかなどの目安を簡単に試算するもので、延べ床面積や階数など、基本的な項目を入力するだけで試算でき、今後の修繕計画の策定や修正に役立てるとのことです。このソフトは、表計算ソフトエクセルで作成し、用途やエレベーターの台数など9項目を入力するだけで、今後、80年間で必要な経費の目安を自動的に算出でき、維持管理や大規模修繕などの項目ごとに色分けされたグラフでわかりやすく表にできるということでございます。
新築工事の場合、竣工までの期間に経費が集中しますけれども、地方債を起債したりする場合、どのように合わすことができるかシミュレーションできるようにしたそうです。
また、個別の施設のみならず、区内全ての公共施設を合算し、区全体の総合的な計画を立てる際にも参考にできるとのことです。
このソフトは、職員の創意工夫で開発しており、また、工事費など地域特性を踏まえてプログラムが変更可能なことから、他の自治体にも配布しているとのことです。
そこで質問ですけれども、他の自治体の反応はいかがでしょうか。
○用地・施設活用担当課長(高澤大輔君) 他自治体の反応についてでございますが、まず、全国連携の取り組みによりまして、特につながりのございます17自治体に対しまして、公共施設将来経費試算ソフトを周知しまして、配布いたしました。
また、これとは別に、報道を通じましてその他の自治体からも本ソフトを、例えば計画の策定でございますとか、改修費の算定に活用したいということで、お問い合わせを多く寄せられてございます。都県を含めまして、現在、75自治体に配布させていただいてございます。
これを機に、他の自治体と情報交換しながら、必要に応じました改善を行いまして、より有益なソフトを目指してまいります。
○委員(土屋準君) 他の自治体からの要望も結構あるようでございますので、期待をしたいと思います。
このソフトは、港区公共施設マネジメント計画に示す予防保全型管理の導入や、区有施設の長寿命化を実現していくに当たり、コンテンツを製作したものだと思います。
そこで質問ですが、このソフトにより得られるメリットや効果はどのようなものがありますでしょうか。
○用地・施設活用担当課長(高澤大輔君) メリット、効果でございますが、公共施設将来経費試算ソフトの活用によりまして、80年間にわたる各年度の工事費の概算と件数を把握することができます。そういったことで財政課や施設課、施設を所管する部署と連携しまして、各施設の整備時期や規模、基金の運用などにつきまして、毎年度、多角的に分析検討することができるといったことがメリットでございます。こうした取り組みによりまして、効果といたしましては、全施設において必要となる経費や工事量の平準化を図った工事スケジュールに調整しまして、予防保全管理型の継続や実効性を確保していくことが可能となってございます。本ソフトを介しまして、全庁で連携を図りながら、区有施設の長寿命化や財政負担の軽減を実現してまいります。
○委員(土屋準君) メリットや効果というのもさまざまな想定がされるということでございます。
工事スケジュールの調整を行った場合、平成30年度に定めた港区区有施設保全計画の8年間の行動計画は変わってくるのではないかと思いますけれども、そこで質問ですが、この計画の修正はどのようにしていくのでしょうか。
○用地・施設活用担当課長(高澤大輔君) 計画の修正でございますが、まず行動計画は令和8年度までの各施設の工事時期を示したものでございます。過去の工事実績や施設の規模に応じまして、想定しました工事手法や工事期間を前提として策定してございますので、現状に合わせたものに更新し続けるということが重要でございます。施設の状況や工事の実施状況、翌年度の予算措置状況などを確認しまして、平準化などの視点も含めまして、毎年度、公共施設整備検討委員会で総合的に調整しまして、計画的に整備が行えるよう更新してまいります。
なお、修正した行動計画につきましては、区ホームページ上で公表いたしまして周知を図ってまいります。
○委員(土屋準君) ありがとうございます。せっかく港区職員で開発したソフトですので、やはり港区が一番だねと言われるように頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次は、マイナンバーカードについてです。
マイナンバーカードの交付率は、港区は23区で一番だそうです。ことし7月1日現在の全国の自治体の区分別交付率を見ますと、町村は10.8%、政令指定都市を除く市は12.9%、政令指定都市は14.6%、特別区は18.8%、そして港区は23.4%ということで、都市部になるほど高くなっているような現状でございます。ただ、全国1位は宮崎県都城市で30%を超えて突出している数字ですけれども、都城市では、市側から出向いていって市民に交付を働きかけるなどの取り組みをしているということだそうでございます。
そこで質問ですけれども、マイナンバーカードの交付について、現在どのような工夫をしているのでしょうか。
○芝地区総合支所区民課長(安藤俊彰君) 各地区総合支所の窓口では、まず転入手続の際にマイナンバーカードをお持ちでない方に対しましては、マイナンバーカードについてご案内をし、申請手続の方法について説明しております。
また、マイナンバーカードの受取窓口を住所地の総合支所とするとともに、受取時間を予約いただくことで、近くの総合支所で待ち時間なくマイナンバーカードを受けとることができるように工夫をしております。
さらに、年数回ではございますけれども、休日に窓口を開け、平日に来庁できない方などのために、マイナンバーカードの受取窓口を設けております。
○委員(土屋準君) いろいろ工夫しているようでございますけれども、マイナンバーカードの普及には、そういった取得のしやすさというものも必要だと思いますけれども、取得のメリットを感じてもらうということも必要ではないかと思います。マイナンバーカードの取得のメリットとしては、例えばコンビニエンスストアでの各種証明書を取得することができるということが挙げられると思います。
そこで質問ですけれども、現在、コンビニエンスストア交付の実績はどの程度でしょうか。
また、取得のメリットを感じてもらうため、工夫していることはありますでしょうか。
○芝地区総合支所区民課長(安藤俊彰君) 平成30年度のコンビニエンスストアにおける証明書交付件数でございますけれども、6万251通でございまして、対前年度比で23%、1万1,268通増加しております。
コンビニエンスストアでの交付は、区役所の窓口が閉まっている休日や早朝、夜間の時間帯でも利用できる便利なサービスでございまして、港区の場合は、特に他の自治体と比べて、住民票の写しや印鑑登録証明書だけではなく、住民税の納・課税証明書、戸籍の証明書など、多くの種類の証明を取得することができるようにしております。
また、戸籍の証明書につきましては、本籍地が港区で区外にお住まいの方でも戸籍の証明書を取得することができるようにしております。
さらに、コンビニエンスストアで証明書の交付を受ける場合については、窓口の交付に比べて手数料を安くするような形で、さまざまなメリットを感じていただいております。
○委員(土屋準君) さまざまな工夫をされていることと思います。
国では、今月3日にデジタル・ガバメント閣僚会議を開きまして、マイナンバーカードの普及促進に向け、今後のスケジュールや普及促進のポイントを示したと聞いております。
そこで質問ですが、その概要はどのような内容でしょうか。
また、港区はどのように取り組んでいますでしょうか。
○芝地区総合支所区民課長(安藤俊彰君) 国は、9月3日に開催されましたデジタル・ガバメント閣僚会議におきまして、マイナンバーカードを活用したマイナポイントの実施や、また、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための環境整備など、マイナンバーカードの普及促進策を示しております。
また、令和4年度末までには、ほとんどの住民の方がマイナンバーカードを保有することを想定したマイナンバーカード交付スケジュールを示しております。
今後、各区市町村は、デジタル・ガバメント閣僚会議で示されましたスケジュールを踏まえまして、個々にマイナンバーカード交付円滑化計画を策定することになっております。港区といたしましては、これまでのマイナンバーカードの交付への取り組み実績を踏まえまして、この計画の策定に取り組み、引き続き、マイナンバーカードの普及促進に努めてまいります。
○委員(土屋準君) 港区はいろいろな工夫をしていると思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。
次に、港区AI元年におけるRPAの取り組みについてお伺いさせていただきます。
港区は、平成30年度をAI元年と位置づけ、区民サービス向上と働きやすい職場づくりに向けた業務効率化のため、全国に先駆けてAIやRPAの導入を推進してきたそうでございます。よって、この分野では、最も進んでいるのではないかと言われてまいりました。確認できませんので、今ではどうかわかりませんけれども、このRPA、Robotic Process Automationは、人がパソコンを使って手作業で行う単純反復的作業をソフトウエアが代行し、自動で行う技術です。働き方改革の中で注目されまして、当初はメガバンクなどの民間企業から徐々に自治体の業務においても実証実験などが始まり、今では全国の自治体において脚光を浴びているということでございます。
自治体では、港区のほか、茨城県つくば市、熊本県久喜市、愛知県一宮市、石川県加賀市などが先行して実証実験に着手しました。特別区でも文京区、葛飾区で実証実験が行われ、共有の動きが進んでいるようです。
そこで質問ですが、AI元年を終えて、RPAに関する取り組みは、現在どのようなものでしょうか。
○情報政策課長(若杉健次君) 区では、平成29年11月に実証実験を実施した上で、平成30年度から本格的に区の業務でRPAを導入しております。現在、庁内各課における9つの業務で本格導入を行いまして、日常の業務で活用しております。
土屋委員ご紹介のとおり、全国のうち一部の自治体においては、実証実験が開始され、本格導入も始まっていますが、平成29年度半ばの実証実験や9つの業務での本格導入は全国自治体でも非常に先行した事例となっておりまして、数多くの行政視察、問い合わせをいただいている状況でございます。
○委員(土屋準君) ほかの自治体からの視察が来ているようでありますし、見ますと、総務省でも活用事例として港区の活用を紹介しているようなこともあるようでございますので、さまざまな先進的な取り組みをしていることと思います。
そこで質問ですが、RPA導入の効果はどのようなものでしょうか。
○情報政策課長(若杉健次君) RPAの導入により、パソコンを使った作業を自動化することで、現在導入済みの9つの業務の合計で、年間約5,500時間の削減が可能となっております。また、自動化による作業時間の削減以外の効果としまして、RPAによる正確な処理によって、入力ミス等を防ぐことができ、適正な事務執行が行えるということ。また、手作業が紙を使っていた事務をRPA化することで、紙の削減が実現できるということ。RPAの導入を機に、自分の事務を見直すことで効率化を実現することなどの効果も挙げられております。
実際に導入した所管課の職員からの声をご紹介させていただきますと、RPAがシステムに自動で入力している間の時間を、ほかの区民サービスの事務で有効に使えた。また、異動した後のなれないシステム処理でも、RPAにより間違いなく正確に処理ができた。驚いたというような声が届いているところでございます。
○委員(土屋準君) いろいろな効果もさまざま出ているようでございます。
また、導入してみて課題といったものも発見できたのではないかと思います。そこで質問ですが、RPAに関する今後の展開と課題はどのように考えていますでしょうか。
○情報政策課長(若杉健次君) 今後さらにRPAを普及させていくためには、庁内で広く存在を知ってもらい、適応する業務へのイメージを共有していくことが重要と考えております。これは各自治体で課題となっていると聞いております。
これに対しまして、区では、これまで職員向けのICT研修といった場でRPAのデモを実施したり、また、庁内でICTの展示会を行って技術を紹介したり、また、情報政策課から所管課へ出向きまして周知活動、こういった活動を行ってきております。
さらに、導入済みの業務が増加していくということで、全庁統一の会議の手法、また、運用ルールを定めていくことも必要だと考えています。これらの課題も踏まえ、今後もさらにRPA活用に取り組んでまいります。
○委員(土屋準君) ぜひ港区が一番進んでいるなと思えるように頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、性的指向・性自認に関する課題についてお伺いいたします。
初めに、人間の性的指向と遺伝子のかかわりについての研究についてご紹介をしたいと思います。
先月29日、アメリカの科学誌Scienceに掲載された論文があります。これはオーストラリアのクイーンズランド大学などのチームが、イギリスのバイオバンクやアメリカ企業の持つ約47万人分の遺伝子情報、ゲノムデータをもとに、同性と性的行為をしたなどと答えた人と、そうでない人との違いを調べた結果、同性との性的行為に強く影響を与える単一の遺伝子は存在しないことが確認されたというもので、専門家は性的指向は遺伝よりもさまざまな要因が影響していることが示されたとしています。
それでは、性的指向はどのような要因で決まるのかということになりますと、昨年行われた港区議会での学習会でも、今のところわかっていないということでございました。つまり、わからないままさまざまなことが進んでいるようでございます。
港区では、このたび、港区男女平等参画推進会議から「性的指向・性自認に関して条例に盛り込むべき内容について」と性的指向に関する制度についての答申がありました。会議では、人権に関する区民意識調査の結果などを用いて検討されたようでありまして、答申には、規定されれば全国初になるという性表現の自由なども盛り込まれています。
そこで、まず、性的指向・性自認に関して条例に盛り込む内容について見てみますと、当然ながら、性的少数者当事者に関する人権の尊重が盛り込まれています。それはもちろん必要ですが、私は当事者以外の人の人権にも配慮することが必要ではないかと思います。
例えば、以前にも紹介しました女子トイレ使用裁判といったものもあります。性的少数者当事者だけの人権を考えるのであれば、本人の望む性のトイレなり、更衣室を使わせるべきということになるかもしれませんが、私は他の利用者への人権への配慮も必要だと考えています。ましてや男性から女性への性別変更を希望しているが未実施の男性や、さらには、性的指向の対象が女性となれば、ほかの利用者の不安は大きいのではないかと思います。
そこで質問ですが、性的指向・性自認に関する人権の尊重については、性的少数者当事者だけでなく、当事者以外の人の人権も盛り込むなり、配慮する必要があるのではないかと思いますが、どのように考えていますでしょうか。
○人権・男女平等参画担当課長(江村信行君) 港区男女平等参画条例は、全ての人の人権を尊重することを基本理念としております。このたび、港区男女平等参画推進会議は、条例の条文に性的指向や性自認を明示して区の姿勢を明確に示すことを答申に盛り込みました。正式にマイノリティ当事者のみではなく、当事者以外の性的マジョリティの方も含めたあらゆる人の性的指向と性自認のあり方を尊重する趣旨でございます。
今後、性的指向に関する制度の導入と条例改正に向け、11月にパブリックコメントを予定しております。当事者の方だけではなくて、当事者以外の方々、企業、学校、病院など事業者の方からも幅広くご意見をお寄せいただきたいと考えております。ご意見等については、十分に検討し、庁内で共有いたしまして、条例改正、性的指向に関する制度の検討など、さまざまな区の取り組みに生かしてまいります。
○委員(土屋準君) 性的指向に関する制度の導入は、我が国の家族のあり方を問うことにもなります。当事者も当事者以外の方も区も自由に意見を表明して議論を重ねていくべきだと思います。これから性的指向・性自認について、条例を改正することになると思いますけれども、その際には、異なる意見をも尊重していただきたいと思っております。
ただ、渋谷区の渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例、いわゆる同性パートナーシップ条例では、指導勧告に従わない者の名前等を公表するといった制裁措置を設けているものがあります。こうして考えますと、今回の答申では、条例の改正について、性的指向・性自認に関する人権侵害の禁止等の実効性が担保されるよう、適切に運用することが必要であると記されております。仮に制裁措置を設けるとなれば、区民は萎縮し、自由な意見は述べられないのではないかと考えられます。
そこで質問ですが、条例に制裁のような条項も設けることがあるのかお伺いします。
○人権・男女平等参画担当課長(江村信行君) 港区男女共同参画推進会議から受けました答申は、港区男女共同参画条例に罰則等を設けることは盛り込まれておりません。この答申の考え方を踏まえまして、現在、条例改正についての検討を行っております。
○委員(土屋準君) 多様性についてはさまざまな見解を持つ人がおりますので、真の意味で多様性を認める社会は、思想、良心の自由、あるいは議論や意見の多様性をも許容する社会であっていただきたいと思っております。
次に、性的指向に関する制度についてお伺いいたします。
港区では、性的指向に関する制度の導入に関し、港区男女平等参画推進会議から契約モデルで制度を設計するように答申を受けました。他の自治体の類似の制度を見ると、渋谷区の条例では、パートナーシップ制度を行う場合には、当事者双方が相互に相手方当事者の任意後見受任者の一人とする任意後見契約に係る公正証書を作成し、登記を行っていることを確認するものとしております。また、千葉市の場合は、男女のいわゆる事実婚を含んだ制度にしております。
そこで質問ですが、区が導入を検討する性的指向に関する制度は、他の自治体の制度と比べ、どのような違いがあるのでしょうか。
○人権・男女平等参画担当課長(江村信行君) 区が導入を検討しております性的指向に関する制度は、当事者が交わす契約を基礎にしております。特徴的な部分といたしましては、当事者の契約に基づいて共同生活関係をとらえる契約モデルの制度で、司法上の契約に基づく仕組みと考えております。このため、他の自治体の制度とは異なり、区外に転出しても契約自体は有効でございます。
○委員(土屋準君) 答申では、契約モデルで共同生活関係をとらえる仕組みとして、仮称ではありますが、契約婚という制度を導入することを提案しております。しかし、我が国の法体系では、婚姻は男女によるものとして、さまざまな制度が構築されております。性的指向に関する制度が婚姻のような制度になると、民法等の既存の法制度の趣旨との関係を考える必要があるのではないかと思います。男女の婚姻と同性の恋愛感情に基づく結びつきとは制度的に異なります。よって、区が導入する性的指向に関する制度が婚姻のような制度になると、婚姻制度を規定する民法等の既存の法制度の関係を考える必要があるのではないかと思います。
そこで質問ですが、性的指向に関する制度が婚姻のような制度になると、既存の法制度の趣旨との関係を考える必要が出てくるかと思いますが、どのように考えますでしょうか。
○人権・男女平等参画担当課長(江村信行君) 区が導入を検討しております性的指向に関する制度は、民法上の婚姻とは異なる制度です。異なる点といたしましては、当事者の契約に基づいて共同生活関係をとらえる契約モデルの制度で、司法上の契約に基づく仕組みであるという点でございます。既存の法制度に抵触するような懸念が生じないよう、十分留意しながら検討を進めてまいります。
○委員(土屋準君) 婚姻制度が揺らいできましたら、社会は安定性を欠き、無用な混乱が多発するのではないかという見方もあります。家族や婚姻のあり方は時代とともに変わる面もありますが、守らなければならない面もあると思います。性的指向に関する制度を導入する際には、十分な検討と幅広いビジョンを考えていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。