◯委員(土屋 準君) 衛生費におきましては、親への移行期のサポートとして2つの事業について質問いたします。
近年の少子化、核家族化、高度情報化、地域の連帯感の希薄化、あるいはライフスタイルの変化などにより、子育て家庭を取り巻く環境は大きく変化してまいりました。親への移行期、子どもが生まれる時期ですけれども、その時期に心身の不調や家族関係の問題など、母親が心にゆとりを持って豊かな愛情で子育てに接することが困難な家庭も増えているということでございます。アメリカのジェイ・ベルスキーという人は、父親を加えた家族システムについての研究をしまして、親への移行期に約50%の夫婦で結婚生活が悪化することを明らかにしたとのことです。親への移行期のサポートは家庭支援の第一歩として重要な役割を持っていると思います。
それでは最初に両親学級についてお伺いします。親となる心構えと育児の実際を伝えることにより、産後の円滑な育児開始を図れる両親学級は受講希望者が大変多く、区民に人気のある事業と聞いております。以前の委員会でも、希望者が多く抽選になる両親学級の落選者をなくしてほしいという質問がありました。その後、保健所で行われていた開催場所を愛育病院の研修所に移し、開催回数、定員を増やして対応しているということでございます。
そこでまずお伺いしますけれども、現在の開催状況はいかがでしょうか。
◯健康推進課長(西塚 至君) 平成23年度の決算特別委員会において、自民党議員団の鈴木たかや議員にお答えいたしたとおり、希望者全員が両親学級を受講できるような体制の強化に努めております。平成25年4月より会場を三田のみなと保健所から、南麻布にあります母子愛育会日本子ども家庭総合研究所棟へ移し、そのことで土曜日開催を18回から24回、1回の定員数を35名から45名へ増員いたしました。それ以降、落選者は出ておりません。
◯委員(土屋 準君) ありがとうございます。それでは、参加状況についてお聞きします。区には地区がいろいろありますけれども、その参加者の地区別の内訳はどうなっていますでしょうか。また、会場が南麻布となりましたけれども、それによってこの参加者の地区別の割合はどのように変化していますでしょうか。
◯健康推進課長(西塚 至君) 平成25年度の受講者数は1,388人で、居住地別で芝浦港南地区は388人で27.5%、高輪地区は346人で25.0%、麻布地区は276人で20.0%、芝地区は204人で15.0%、赤坂地区は174人で12.5%となっております。前年度と比べ、平成25年度は、芝浦港南地区で4.1%減少、高輪地区は逆に4.1%増加しております。平成25年度に、会場を三田から南麻布にかえたことと受講者の動向との関連については、現在考察を行っております。
◯委員(土屋 準君) それでは、開催場所の検討についてお伺いしたいと思います。両親学級はさらに受講しやすくすることが重要だと思いますけれども、現在の会場が南麻布にある愛育病院の研修所で、港区全体から見れば西側の方に位置しており、参加者の多くを占める芝浦港南地区にお住まいの区民は、不便を感じている方も多いのではないかと思われます。今度、愛育病院が田町に移転する予定ですけれども、この両親学級を田町で開催することは可能でしょうか。
◯健康推進課長(西塚 至君) 両親学級を現在の社会福祉法人恩賜財団母子愛育会に委託するにあたり、将来的に芝浦一丁目の新しい愛育病院で両親学級を開催することも期待しているところでございます。現在、新病院の施設において両親学級を開催することが可能かどうか、使用に適しているかどうか調査を行っているところでございます。
◯委員(土屋 準君) ぜひ、区民の方ですとか、実際にかかわる助産師会の方などから意向をよく聞いていただいて、さらによい事業にしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に、産後ケアセンター事業についてお伺いします。ことし2月に港区政策創造研究所がまとめました、港区における子どもと子育て家庭の生活と意識に関する調査報告によりますと、未就学児のいる家庭の過半数が居住年数3年以下で、また、家族構成は95%が親子だけの核家族でございました。孤立しがちな母親が育児不安から産後鬱に陥ったり、児童虐待を引き起こすケースも少なくなく、母親と新生児の心身の健康を守るために、社会全体で産後ケアの体制づくりが求められていると思います。世田谷区では、産後4カ月未満の母子が宿泊や日帰りで滞在でき、助産師らから支援を受けられる、産後ケアセンター桜新町を平成20年に開設していますけれども、費用は1泊2日で6,400円で、世田谷区民には補助もあるということです。こうした事業を行っている自治体は少数のようですけれども、それは産後ケアに対する認識が浸透していないことと、専門的な知識を持った人材の確保が困難なことが原因だと思われます。
そこでお伺いしますけれども、今年度みなと保健所におきまして、日帰りで滞在でき助産師から支援を受けられる産後ケアの試行事業を実施したと伺いました。どのような取り組みだったのでしょうか。また、利用者の反響はどのようなものだったのでしょうか。
◯健康推進課長(西塚 至君) 区が平成25年に3・4カ月児健康診査の対象者にアンケートを行ったところ、50%の産婦が母子の愛着形成に重要な期間とされる産後1カ月間に十分な支援を受けていないと回答しております。同じく平成25年度、こんにちは赤ちゃん訪問の問診で、産後1カ月から2カ月の母親の約8%に産後鬱の症状があらわれており、産後1カ月間が母子保健サービスの切れ目になっております。このため、区は、今年度から試行として、妊娠期から切れ目ない支援体制を構築するため、地域の助産師の協力を得て産後ケア事業を開始いたしました。第1回目の試行として、9月22日、みなと保健所で産後1カ月の産婦と乳児を対象に、日中滞在型いわゆるデイサービス型での産後ケア事業を行いました。区内の産後ケア施設などから助産師3名を招き、参加した16組に、骨盤等の母体ケア、産婦体操、母乳相談、ベビーマッサージなどを行い、また、子育てサロンとして、親子の遊び、母親同士の交流の場を設けました。参加者から、友達ができた、育児情報が得られた、気分が楽になったなど、好評をいただきました。
◯委員(土屋 準君) それでは、今後、区内におきまして産後ケアセンター事業を実施していくことについてはどのように考えていますでしょうか。
◯健康推進課長(西塚 至君) 産後ケアセンター事業は、厚生労働省のモデル事業として、横浜市など一部の自治体で実施されています。国のモデル事業の要綱では、産後ケアセンター事業を2種類規定しています。1つはショートステイ型で、もう一つはデイサービス型です。区内には既にショートステイを行う助産所などが2施設あり、みなと保健所はこれまでも、24時間体制で心身のケアが必要な母親に対して、日中はみずから相談に応じ、夜間は助産所のショートステイを利用できるよう調整するなど、助産所などと連携して支援を行ってまいりました。先ほど申し上げたとおり、現在、みなと保健所においてデイサービス型の産後ケアセンター事業の試行を開始し、産褥期の相談、講座の開催、交流会等のデイケアと、また、助産師による訪問指導等のアウトリーチに取り組んでいます。今後もショートステイ型産後ケアを行う区内助産所と、デイサービス型の産後ケアを推進するみなと保健所が連携して、産後も安心して子育てができる環境を整えてまいります。
◯委員(土屋 準君) それではよろしくお願いいたします。以上で質問を終わります。
◯委員長(林田和雄君) 土屋委員の発言は終わりました。