◯委員(土屋 準君) 教育費におきましては、初めに、キャリア教育についてお伺いいたします。
初めに、これまでの取り組みについてであります。国立教育政策研究所は、小学校や中学校におけるキャリア発達を次のように説いています。小学校は進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期として、「自己及び他者への積極的関心の形成・発展、身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上、夢や希望、憧れる自己イメージの獲得、勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成」、中学校は、現実的探索と暫定的選択の時期として、「肯定的自己理解と自己有用感の獲得、興味・関心等に基づく職業観・勤労観の形成、進路計画の立案と暫定的選択、生き方や進路に関する現実的探索」というものであります。
このようにして見ますと、例えばサイン、コサイン、タンジェントなど、そのような知識を覚えるということも大事だと思いますけれども、このようなキャリア教育には単に知識を覚えるというよりも、社会に出るために重要な内容が含まれているのではないかと思っております。
そこでまず、キャリア教育の視点に立ったこれまでの港区の小・中学校の取り組みはどのようなものがありますでしょうか。
◯指導室長(平田英司君) キャリア教育では、子どもに将来への夢や希望を育み、望ましい勤労観・職業観を育成し、自分のあり方や生き方を考えられるよう、小学校から積極的に取り入れております。例えば小学校では、児童の発達段階や学校の実態を踏まえて、1年生ではお店屋さんごっこ、2年生ではまち探検、3年生ではお店体験、4年生では2分の1成人式、5年生では工場見学、6年生では職業体験などを実施している学校があります。また中学校1年生では、身近な職業を調べる学習、2年生では幼稚園や保育園、病院や介護施設での実習体験、さまざまなお店や駅、ホテルでの職場体験、あるいは消防署や郷土資料館、税務署での体験学習などの取り組み、3年生では高校見学から進路選択・進路決定を中心に実施しており、総合的な学習の時間のみならず、各教科、道徳、特別活動等との関連でも、キャリア教育の視点に立った取り組みが進められております。
◯委員(土屋 準君) キャリア教育を広い意味で捉えますと、例えば租税教室や消費者教育というものもありますし、ほかの区での事例ですと、年金教室に外部の人を講師に呼んで、社会に対する認識や働くことに対する認識を深めるというものもあります。
そこで今後のキャリア教育の拡充などの取り組みは、区としてはどのように考えていますでしょうか。
◯指導室長(平田英司君) 将来、社会の一員として、また職業人として、日本の社会を支えていく自分の役割に気づかせ、学校での学びが自分たちの将来と関連していることに気づかせることが、学校におけるキャリア教育にとっての重要な課題です。
そこで、子どもたちが、より具体的に日本の将来の社会に目を向け、社会の一員として支えられるよう、今年度より小学校6年生での租税教室を全校実施する計画になっております。今後もこのような視点から社会を支える仕組みについて学べるよう、キャリア教育の充実を図ってまいります。
◯委員(土屋 準君) ぜひよろしくお願いいたします。
次に、生涯学習センターについてお伺いいたします。初めに、現在の施設の課題についてですけれども、新橋駅の烏森口の近くに生涯学習センターがございます。これは旧桜田小学校の跡地を活用していますので、トイレも小学生サイズで、いろいろ不便を感じている人もいるようでございます。
そこで、現在のこの施設の課題というものをどのように考えていますでしょうか。
◯生涯学習推進課長(白井隆司君) 生涯学習センターは、平成10年4月に、旧桜田小学校の校舎を転用し、区民の生涯にわたる学習活動を総合的に支援する学習の機会、場、情報を提供する拠点施設として開設されました。学校としての設備を残しているため、構造上、事務室が2階となっている点や、エレベーターが出入り口から遠い点、またトイレ、手洗いなどの設備は大人が使用するには使いづらい面があると認識しております。
◯委員(土屋 準君) ほかの区などでも、生涯学習センターのような施設がありますけれども、学校施設を活用した施設ではなくて、本格的な施設になっているというところもございます。他区の整備状況はどのようになっていますでしょうか。
◯生涯学習推進課長(白井隆司君) 生涯学習施設として位置づけられている施設の整備状況として、23区中16区で整備されております。16区中、学校を活用した施設は、港区と荒川区の2区という状況です。ほかは専用に整備された施設となっている状況でございます。
◯委員(土屋 準君) この地域はアジアヘッドクオーター特区に指定される地域でもありますし、大きく変化する可能性もございます。また、港区でも生涯学習センターを本格施設とするか考える時期ではないかと思っております。
そこで、この生涯学習センターの今後の方向性についてはどのように考えていますでしょうか。
◯生涯学習推進課長(白井隆司君) 区民の生涯学習の活動のニーズが、講座に単に参加したいという意欲から、学びの成果をさまざまな場面で生かしたいという積極的な意欲へ変化していると感じています。また、情報発信についても、ICT化に対応できる設備面の充実や、ICTを効果的に活用した学習機会の充実を図っていく必要があると考えております。
今後、生涯学習推進計画の改定に向けた基礎調査に取り組みます。調査の中でこれからの生涯学習施設に望まれる設備・機能について検討を進めてまいります。
◯委員(土屋 準君) 生涯学習の中身についても、これから充実が求められるところであると思いますので、ぜひこれからも進めていっていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
◯委員長(風見利男君) 土屋委員の発言は終わりました。