◯委員(土屋 準君) それでは、初めに特別区制度の課題についてお伺いしたいと思います。
先般、国会で大都市地域特別区設置法が成立いたしまして、東京以外でも特別区が設置できるようになりました。これを機に、現在、特別区制度のあり方が問われているのではないかと思います。その際、さまざまな課題も取り上げられております。例えば、今回の法律では人口200万人以上の政令市と隣接自治体に特別区を設置するという規定が設けられましたけれども、逆に特別区を市にする規定はありません。一般的な自治制度となるのであれば、一方通行ではなくて、特別区が一般市になる規定もあわせて整備することが望ましいのではないかといった考えもございます。そこで、区としては、現在の特別区制度にはどのような課題があると考えていますでしょうか。
◯企画課長(新宮弘章君) 平成24年9月、大都市地域における特別区の設置に関する法律が成立しました。この法律により、東京都以外の道府県においても人口200万人以上の指定都市、関係市町村の住民投票等諸条件を満たしていれば、特別区の設置が可能となりました。ただし、この法律により特別区が設置されるには、道府県と特別区の事務分担、税源配分、財政調整等に関して合意した上で協定書に掲げる必要がございます。そして、これらは、これまでも東京都と特別区の間で長年議論を積み重ねてきた重要な課題でもあります。
平成12年の都区制度改革以降、東京都と特別区は役割分担に基づく財源配分等の議論を重ね、平成18年2月には、都区協議会の合意に基づき、都区の事務配分、特別区の区域のあり方、税財政制度などに関して検討するため、都区のあり方検討委員会を設置しております。区は、区民に身近な事務は基礎自治体である特別区が担うという基本的な考え方に基づき協議を進めてまいりましたが、いまだに都区制度改革は完結したとは考えておりません。今後もさらなる自治権拡充に向けて取り組んでまいります。
◯委員(土屋 準君) それでは、都区のあり方検討委員会におきます事務配分の議論についてですけれども、現在、一定の整理がされたと聞いておりますけれども、今後の具体化の検討はどういう予定でしょうか。
◯企画課長(新宮弘章君) 都区のあり方検討委員会による東京都と特別区における事務配分の検討は、平成19年の第1回開催以降、約4年間にわたって議論され、検討対象444項目の方向づけが全て終了し、53項目が区へ移管する方向で検討する事務となりました。また、昨今の都内における児童虐待事件や児童虐待相談対応件数の急増を受け、本年2月から児童相談所のあり方等児童相談行政に関しては、東京都と特別区において、都区のあり方検討委員会とは切り離して検討が進められております。児童相談行政の検討とあわせ、今後とも東京都と特別区における事務配分の協議を進め、自治権拡充に向け取り組みを強化してまいります。
◯委員(土屋 準君) ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
次に、民間委託の効果としまして、区民の声センターについてお伺いいたします。
ここ数年、民間委託により、それまで区役所の職員が担ってきた分野を民間が担うようになってきております。今年度からは、窓口業務や区民の声センターが民間委託されております。中でも、区民の声センターの民間委託というのは先駆的ではないかと思います。そこで、区民の声センターについて、民間委託による効果はどのようなものがあるか。また、その効果の検証はどのような視点で行われるか、お伺いしたいと思います。
◯区長室長(波多野 隆君) 区民の声センター業務委託は、来庁や電話などによる区民の声に対して、傾聴スキルや接遇スキルが養われた受付員が丁寧にお伺いした上で、的確に関係部署をご案内するなど、広聴業務の初期対応と広聴データベースの入力などの典型的な事務を民間事業者に業務委託し、区民へのサービスレベルの平準化や事務処理の迅速化を図るものです。この委託によりまして、区長室の広聴担当の職員が、区に寄せられた区民の声への迅速で的確な対応と、その解決に専念できる環境が整うことになります。その結果でございますけれども、担当課が行う区民の声への原則2週間以内の回答の進捗管理、これがおくれている課があれば、催促等するということでございます。
次に、3カ月ごとに実施する区民の声の公表案件の選定と公表の実施、区への苦情で長期化した案件や担当部署が複数にまたがるような複雑な案件などの早期解決に向けた担当課間の調整、広聴データベースの再構築、それから区民ニーズに合った広聴制度のあり方の検討など、広聴業務を充実・強化することができる体制になったことが大きな効果として挙げられます。本業務につきましては、今後、内部での検証のほか、区民の声センターの利用者へのアンケート調査、あるいは区民世論調査を活用するなどして、その効果を検証し、改善につなげてまいります。
◯委員(土屋 準君) ありがとうございます。それでは、今度は、民間委託ですとか、指定管理等によりまして、職員の構成についても変化があらわれているのではないかと思いますけれども、そういった民間委託や指定管理等によりまして、職員の定数配置ですとか、あるいは効果的な人員配置といったことなど、職員構成にどのような変化がありましたでしょうか。
◯人事課長(浦田幹男君) 現在、区では、平成18年12月に策定しました第2次港区職員定数配置計画に基づき、指定管理者制度や業務委託の活用などにより、簡素で効率的な区政運営に取り組んでいます。これまで、いきいきプラザや障害保健福祉センターなどへの指定管理者制度の導入、保育園や学校給食の調理業務委託などにより、主に技能系職員を中心に職員定数の削減を進め、本年4月時点で、累計で306人の削減となり、計画目標に対する進捗率は約85%となっております。
一方で、近年の人口増に伴う行政需要の増加や総合支所の設置、待機児童の解消、地方分権の推進に伴う区への権限移譲などに対応するため、行政系職員を中心に必要な人員を配置してきました。今後とも、区民生活の安全・安心の確保、サービスのさらなる質の向上を目指し、どのような社会情勢の変化にも揺らぐのことのない、簡素で効率的な区政の実現に向け、職員定数の適正化に努めてまいります。
◯委員(土屋 準君) 次に、職員の専門性向上についてお伺いします。
他の区では、特定の専門領域で力を発揮している職員をエキスパート職員として認定する複線型人事制度を導入したり、若手管理職などを対象に、管理職に求められる政策形成能力の向上を目指す経営幹部養成塾を立ち上げるなどさまざまな工夫をしております。職員の専門能力の向上を図ることは大事なことだと思いますけれども、港区ではどのような工夫がなされていますでしょうか。
◯人事課長(浦田幹男君) 行政需要が多様化、複雑化する中、基礎自治体である区が担う役割もより高度な専門性が求められています。こうした状況を踏まえて、区は、各分野における専門的な知識を持ち、意欲と適性を有する職員の効果的な活用を図るため、異動年限の弾力的な運用や、生活保護や税務、文書といった分野を対象として、庁内公募制や自己申告制度によるスペシャリスト申告による配置を行っています。また、若手職員を中心に、東京都をはじめとする他団体への派遣制度や専門職種を対象とした区間での派遣交流制度を通じて、各分野での中核を担う人材の育成に努めており、今年度は、例えば東京都の児童相談センター等に職員を派遣しています。
さらに、平成23年2月に設置しました港区政策創造研究所では、庁内の若手職員から特別研究員を募り、さまざまなデータを分析して、課題を抽出し、把握するといった政策形成能力の向上に向けた取り組みも実施してございます。今後とも、これらの取り組みを推進し、適材適所の配置管理による職員の専門能力の向上に一層努めてまいります。
◯委員(土屋 準君) ぜひよろしくお願いします。
次に、防災訓練についてお伺いいたします。
各地域の防災協議会がいろいろな防災訓練など行っていますけれども、そういった防災訓練の中で、実際に避難所に宿泊して、さまざまな状況に対応してみることは重要なことだと思いますけれども、現在、そういった訓練を含めまして、地域では、どのような防災訓練がなされていますでしょうか。また、今後はどのような訓練をしていきたいと思われていますでしょうか。
◯芝地区総合支所協働推進課長(荒川正行君) 防災計画の実施内容については、各地区の町会・自治会など地域の方々が運営している地域防災協議会が、消防署等の関係機関の意見を踏まえながら自主的に計画しております。主に避難者誘導訓練、炊き出し訓練、初期消火訓練、応急救護訓練などを行ったり、より多くの区民が訓練に参加できるよう訓練を休日に行うなど、それぞれ地域性に応じた目的に合った訓練を行っております。
例えば、芝地区では事業所が多いことから、地域と事業所とが連携した訓練を実施しており、多くの在勤者が訓練に参加するなど、地域ごとに訓練方法ですとか、参加者層の違いがあるなどの特徴がございます。現在、各防災協議会による避難所宿泊訓練は行われておりませんが、ご意見も参考にしながら、地域や消防署等の関係機関と連携し、地域防災協議会の自主性を尊重した、より実践的な訓練となるよう、引き続き地域防災協議会を支援してまいります。
◯委員(土屋 準君) よろしくお願いいたします。
もう1点、自衛隊との連携についてお伺いいたします。
首都直下型地震が起きれば、現実に自衛隊との連携が必要になると思われます。以前にも同様の質問をいたしましたけれども、その後、自衛隊との防災訓練や協力体制はどのようになされていますでしょうか。
◯防災課長(遠井基樹君) 災害発生時における自衛隊の活動につきましては、自衛隊が救助や救援用の資機材、航空機や船舶などの機動力を有することから、その役割は大きいと認識しております。本年7月17日には、災害発生時に港区の災害対応を担当いたします陸上自衛隊第一普通科連隊が区役所本庁舎屋上で通信訓練を実施するなど、区としても協力をしてまいりました。また、昨年度実施した港区防災学校では、防災学校に参加された地域防災協議会の方々からのご希望に基づきまして、陸上自衛隊の朝霞駐屯地を見学するとともに、東北地方の被災地に災害派遣されていました部隊の隊長から直接、災害派遣の状況の説明を受けました。今後とも、区は、警察、消防などの防災関係機関をはじめ、自衛隊との連携・協力を進め、より実効性のある防災体制の強化を進めてまいります。
◯委員(土屋 準君) ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
最後に、防犯カメラについてお伺いいたします。
港区では、町会や自治会、商店会等が、地域住民の安全確保、犯罪の未然防止を目的として、防犯カメラを設置する場合に補助金を交付していますけれども、設置した防犯カメラが犯罪の捜査等で効果があった事例はありますでしょうか。
◯危機管理・生活安全担当課長(児玉 宏君) 区の補助により設置された防犯カメラが犯罪捜査で効果があった事例といたしましては、平成24年2月に新橋地区におきまして、公園で寝込んでいた人の衣服に火をつけるという殺人未遂事件が発生した際に、現場付近に設置されておりました防犯カメラの映像が警察の捜査に活用され、逮捕、起訴に至った事例がございます。そのほかにも交通事故や客引きの行為、車上狙い、窃盗、ひったくり、詐欺、強盗、傷害など、多くの犯罪捜査の際に、町会等の防犯カメラの映像が決め手となり、事件解決につながったものもあると聞いております。
◯委員(土屋 準君) ありがとうございます。また、そもそも防犯カメラはどこに設置してもいいということではないかと思いますけれども、補助の基準としては、どのような場所に設置する場合に補助をしていますでしょうか。
◯危機管理・生活安全担当課長(児玉 宏君) 防犯カメラの設置に関する補助基準として、港区防犯カメラ等整備補助基準がございます。この基準では、防犯カメラを整備できる地域といたしまして、犯罪の発生率が高いと見込まれる地区、商店街等不特定多数の人々が集まる地域という条件を定めております。
◯委員(土屋 準君) それから、今度、愛宕防犯カメラ設置協議会が愛宕地区全域に防犯カメラを設置するという計画があるようですけれども、今後、そういった地域を拡大していく計画がありますでしょうか。また、防犯カメラに関する補助は今後も継続していく予定でしょうか。
◯危機管理・生活安全担当課長(児玉 宏君) 来年度は、愛宕防犯カメラ設置協議会以外に、1団体から防犯カメラの設置について既に相談を受けてございます。また、防犯カメラの設置に関する補助事業につきましては、犯罪捜査の際に防犯カメラの映像が事件解決につながるとともに、防犯カメラが犯罪を抑止するために有効であることから、安全で安心できる港区の実現のため、今後も事業を継続していきたいと思います。
◯委員(土屋 準君) ぜひ港区の安全・安心のためによろしくお願いいたします。
以上で質問を終わります。
◯委員長(樋渡紀和子君) 土屋委員の発言は終わりました。