土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

令和3年第1回定例会 土屋 じゅん 定例会での発言

○十六番(土屋準君) 令和三年第一回港区議会定例会に当たり、自民党議員団の一員として、区長、教育長に質問します。
 今回は「未来」をテーマにした質問をしたいと思います。
 今週からNHKの大河ドラマ「晴天を衝け」が始まりました。これは、日本経済の父と言われた渋沢栄一の生涯を描いたものです。渋沢栄一は、当時からすれば未来と言える、現代に通じる日本の礎を築いた人です。ところが、その生涯の中で意外と知られていないのが、当時の深川区の区議会議員を務めていたことです。勅撰の貴族院議員にも選ばれましたが、こちらは第一回帝国議会に出席するも、すぐに辞任してしまいました。しかし、区議会議員のほうは十五年務め、区議会議長まで務めたそうです。大蔵大臣としての入閣要請などは断りながらも、地域の発展には深く意を用いた姿には共感を覚えます。紙の紙幣は、今後どの程度使用されるのか分かりませんが、コロナ禍を乗り越えた後、渋沢栄一が一万円札の顔として流通する未来に思いをはせながら、質問に入ります。
 初めに、先端技術の活用についてです。
 人類は、狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会と、これまで歩んできた社会に次ぐ第五の新たな未来社会、ソサエティ五・〇を迎える時代に入りました。今年、国はデジタル庁を設置する予定で、東京都でもデジタルサービス局を設置する予定です。行政の場でもデジタル化は急速に進んでいます。
 区長の所信表明にもあるように、新型コロナウイルス感染症を契機に、急速に新しい生活様式が浸透し、キャッシュレス決済の進展やテレワークの普及など、暮らしや働き方が大きく変化していますが、区は、この変革の機運を逃すことなく、先端技術と区政を積極的に結びつけ、デジタルの力で区民生活の質を向上させていくとのことです。
 まず、次世代移動通信システム(5G)の活用についてお伺いします。
 区は、5Gの区政への活用可能性を開拓し、最先端の技術と通信環境を区民に提供する「未来都市みなとの実現のために、5Gの活用に取り組む」として、5Gを活用した実証実験に取り組むとしています。これは、行政サービスの利活用検討や区独自のローカル5Gの構築検討のため、みなと科学館における実証実験や連携自治体との遠隔交流を実施するとのことです。
 みなと科学館においては、5G通信環境を一時的に確保し、区立学校の児童・生徒や施設利用者に向けた5G通信による新しい学びの場を創出し、高精細の映像配信やロボットの遠隔操作、バーチャル施設見学など、5Gの強みを生かしたコンテンツを提供するとのことです。さらに、山形県舟形町など港区との連携自治体とオンラインによる遠隔交流を行い、名所・名産品のプロモーションや住民同士の交流など、映像配信や双方向でのコミュニケーションを通じて地域の魅力を発信し、自治体間の交流を深めるとのことです。
 そこで質問は、今後の5Gの活用について、どのように考えているかお伺いします。
 次に、介護ロボットの活用についてです。先端技術の活用は、介護分野においても大きな可能性を見出すことができます。区は、区内の介護事業所の協力を得て、様々な課題を調査・分析しながら、歩行アシストカーや見守りセンサーなどのいわゆる介護ロボットを導入する実証実験を開始するとしています。
 厚生労働省は、経済産業省とともにロボット技術の介護利用における重点分野として、移乗や移動支援、排泄や入浴支援、見守り・コミュニケーション、介護業務支援を定め、その開発・導入を支援しています。平成三十年度の厚生労働省委託事業の「介護ロボットのニーズ・シーズ連携協調協議会」の報告によれば、中でも見守り支援ロボットや介護業務支援ロボットの提案が多いとのことです。また、平成二十五年に公表された介護ロボットに関する世論調査結果によれば、「介護ロボットへの期待」で最も多かったのは、「介護をする側の心身の負担が軽くなること」で、「介護をする人に気を遣わなくてもよいこと」、「介護を受ける人が自分でできることが増えること」が続いています。
 そこで質問は、介護ロボットの導入による効果について、どのように考えているかお伺いします。
 次に、分身ロボットの活用についてお伺いします。区は、障害のある人の一般就労の機会の拡大を図るとともに、障害のある人が安心して働き続けられるよう、就労面と生活面の支援を行っています。しかし、意欲があっても就労に結びつかなかったりしたため、障害者の方が自宅から遠隔操作し、就労することができる分身ロボットの活用を試験的に実施するとしています。
 これは、区役所一階福祉売店「はなみずき」で分身ロボットによる商品案内等を時期や時間を限って実施するものです。分身ロボットの活用のメリットとしては、インターネットを通じて遠隔操作できる分身があれば移動の課題は消失し、距離や身体障害に影響されない心の外出が可能になる。分身がコミュニケーションを支援できれば、対話の負担は軽減する。従来のテレワークでは獲得困難だった肉体労働や接客など、より多くの選択肢から役割を獲得することが可能といったことが考えられます。これは健常者にも役立つ技術で、障害や住んでいる場所に関係なく、自分の能力を生かすことができる可能性を秘めていると思います。
 そこで質問は、分身ロボットの導入による効果について、どのように考えているかお伺いします。
 次に、教育のデジタル化についてお伺いします。
 区は、国の掲げるGIGAスクール構想の前倒しにいち早く対応し、昨年十月までに、区立小・中学校に通う全ての児童・生徒に一人一台のタブレット端末を整備しました。教育のデジタル化は、授業をはじめ教育の在り方を大きく変えていきます。デジタル教科書を活用した授業では、図形を平面だけでなく立体的に捉えることで、多角的な思考を深めるほか、音読読み上げや教材動画など多様な機能を活用し、子どもたちの学習効果を高められます。
 プログラミング学習など自分で課題を探求する学習が進められ、タブレットの画面を通して全員が意見を出し合い共有することで、自分の考えを伝えたり、多様な考えを学んだりすることができ、協働学習が充実します。さらに、翻訳機能を使い、リアルタイムで多言語に翻訳することで、外国籍の子どもが学びやすくなり、音声や動画、3Dなどの教材の活用により教員の授業も分かりやすくなるという効果もあります。また、タブレット端末を通して、学習記録から一人一人の定着度を把握し、個々の学習状況に応じた課題を示すなど、きめ細かい教育を行えます。
 加えて、家庭での学びや学校とのつながり方も変わります。オンラインを活用して宿題を受け取ったり提出したりできるほか、不登校児童・生徒に向けたオンライン授業も実施できます。学校からの配付物を電子データで配付したり、オンラインのコミュニケーションツールを活用して保護者等と面談もでき、自宅等からオンラインで保護者会等に参加できます。一方で、デジタル化の進展には家庭や通信環境による格差、ネット依存や視力低下などの健康への影響なども不安視されています。
 そこで質問は、教育のデジタル化を今後どのように進めていくかお伺いします。
 次に、今後の交通まちづくりについてお伺いします。
 茨城県では昨年、自動運転バスを運行させる取組が始まり、国内初の定時・定路線運行がスタートしました。自動運転バスを導入するメリットとしては、人による事故やミスをなくせる、運転士不足をカバーでき人件費も削減できる、労働時間の制限がなくなるということが挙げられます。このほか、世界各国で自動運転車が開発されていますが、自動運転車の商品化・普及により交通事故の減少、渋滞削減、CO2(二酸化炭素)の削減が見込まれています。
 また、有人ドローンの実験に成功したのをきっかけに、様々な企業が空飛ぶクルマの実現に向けて開発を行っています。東京都も十二日、臨海副都心にドローンや空飛ぶクルマ、自動運転などを実装し、二十二世紀型の未来都市を実現する「未来の東京」戦略(案)を公表しました。そうすると、未来の交通は空飛ぶ自動運転車で移動するのが日常になるかもしれません。
 さて、区は、港区版MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の導入に向けた検討を進めるため、モデル地区で民間活力を活用した実証実験に取り組むとしています。MaaSは、スマホアプリにより複数の公共交通や、それ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスです。また、区は、これまでの港区コミュニティバスや自転車シェアリングとは違った小型モビリティの導入に向けた検討を進め、民間事業者と連携し、実証実験に取り組むとしています。
 そこで質問は、今後の地域交通サービスの改善について、どのように進めるのかお伺いします。
 次に、今後の結婚支援についてお伺いします。
 内閣府は、人工知能(AI)やビッグデータを使った自治体の婚活事業支援に力を入れています。これはAIが膨大な情報を分析し、相性のよい人を提案するもので、お見合い実施率が高まるといった効果が出ている例もあり、来年度から自治体への補助を拡充し、システム導入を促すそうです。未婚化、晩婚化が少子化の主な要因とされていますので、結婚を希望する人を後押しします。
 これまでは、本人が希望する年齢や身長、収入などの条件を指定し、その条件に合った人を提示する形が主流でした。ところが、AI婚活では、性格や価値観などをより細かく膨大な会員情報を分析し、本人の希望に限らずお薦めの人を選び出し、お見合いに進むというものです。民間ではAI婚活が広がり、一部自治体でも導入が始まっています。
 内閣府の集計では、AIやビッグデータを活用した婚活事業を行っているのは、十九府県とのことです。愛媛県が業務委託するえひめ結婚支援センターは、平成二十七年から通常の条件検索に加えてビッグデータを使った婚活を展開したところ、お見合いを申し込んだ相手に会ってもらえる確率が一三%から二九%に上昇したそうです。また、平成三十年にセンターを設置した埼玉県では、成婚した七十一組のうち三十三組がAI婚活で出会ったそうです。
 内閣府は同様の取組を広げる方針で、自治体へのシステム導入・運営費の補助を現行の二分の一から、複数自治体単位でAIやビッグデータの婚活を実施した場合には三分の二に引き上げるとのことで、AI婚活を含め少子化対策に使える自治体向け交付金二十億円を来年度予算案などで確保したそうです。
 参加する自治体が増えれば、それだけ多くのビッグデータとなり、全国の自治体が参加すれば全国レベルに、国家単位の参加となれば世界レベルになるかもしれません。これまでは、たまたま職場が同じだったとか、知人の紹介で知り合ったという人間の狭い行動範囲の出会いをよく聞きましたが、未来の結婚は、AIが世界中から相手を探してくるという形に変わるかもしれません。
 さて、港区では、出会い応援プロジェクトが廃止になりました。これは、若い世代の結婚への動機づけと出会いの機会を提供し、結婚を希望する若者の将来的な結婚を支援する目的で、平成二十八年から実施してきたもので、異性との出会いから結婚に至る上で望まれるマナーや身だしなみ、会話術等に関する事前セミナーと、出会いの機会を提供する交流イベントをセットにして開催されてきました。
 行政が主催する婚活イベントは信頼があるようで、毎回定員に対し、男女ともに三倍から四倍の応募があり、イベント中でのカップル成立率は高く、出会いの機会の創出に一定程度効果があったようですが、結婚まで至った例はありませんでした。今年度実施された事務事業評価では、成婚率の低迷や民間での同種の事業が多数展開されている社会的状況を踏まえるとともに、民間のブライダル関連事業者との連携も視野に入れた、より効果的な若者の結婚支援を図ることを前提に、廃止と評価されたところです。
 そこで質問は、今後の結婚支援について、どのように考えているのかお伺いします。
 未来を担うのは子どもであり、その子どもを育む第一の場が家庭です。次は、今春開設される港区子ども家庭総合支援センターについてお伺いします。
 まず、施設についてです。いよいよ本年四月に、子ども家庭支援センター、児童相談所及び母子生活支援施設の複合施設として、港区子ども家庭総合支援センターが開設されます。区長は所信表明において、「複合施設、港区子ども家庭総合支援センターとして整備することで、子どもと家庭のあらゆる相談に迅速、丁寧に対応し、妊娠期から子育て期、思春期、そして児童の自立まで一貫した支援を行っていく」と述べられており、港区の新たな児童相談所が、これまでにない児童相談所像をつくり出していってくれるものと期待しております。
 さて、南青山五丁目に建設してきた港区子ども家庭総合支援センターは、今月十五日に竣工を迎えたということです。先日、私も現地を見てまいりましたが、青山の町並みに似合うすばらしい施設ができました。ハード面での工夫が様々行われたものと思います。
 そこで質問は、港区子ども家庭総合支援センターの建物の特徴はどのようなものか。また、環境や町並みへの配慮をどのようにされたのかお伺いします。
 次に、関係機関との協働についてです。今度は運用面についてお伺いします。児童相談所に必要となる専門人材の確保・育成が進められ、常勤職員五十八名、会計年度任用職員が二十五名、そのほか委託でも専門職が配置され、合計では九十人を超える職員体制を予定していると聞いております。専門職の皆さんが開設後も自ら成長しつつ、何より子どもと家庭への温かく確かな支援を十分に提供していくことを強く願っております。
 一方で、港区児童相談所は基礎自治体の強みとして、地域との連携を土台に業務を行っていくことを当初からうたっています。区は一月には、児童虐待対応の連携強化に関する協定書を警視庁と締結し、児童虐待対応の連携強化に関する覚書を港区内の六警察署と取り交わしたことを発表しています。協定により、丁寧・迅速な対応のための情報共有、定期的・随時の意見交換、要保護児童対策地域協議会における連携促進、普及啓発活動の推進、研修等における相互協力の推進が行われるとのことです。このほかにも医療機関、その他の地域の関係機関との連携も重要になってくると思います。
 そこで質問は、地域とともに歩む港区児童相談所として、警察や医療機関、その他の地域の関係機関との協働をどのように進めていくのかお伺いします。
 関係機関との協働の次は、ボランティアとの協働についてお伺いします。港区児童相談所は、みなとハートフレンド事業という有償ボランティア制度を開始することになりました。これは、地域や家庭の中で子どもに寄り添い、悩みや不安の解消を手助けするもので、児童福祉に関心と情熱を持つ学生等によるタイプのほか、一定の資格を有する人のタイプもあり、このタイプのボランティアは保護者の子育て不安の相談や、地域の子育て支援施設等とのつながりをつくる支援も行うとのことです。広報やホームページで募集が行われましたが、学生からシニアまで募集人員二十人を大幅に超える三十六人の方から申込みがあったとのことです。
 そこで質問は、港区児童相談所が開始するみなとハートフレンド事業の狙いはどのようなものか。子どもと家庭への関わり方はどのように考えているのか。また、応募された方の抱負にはどのようなものがあるかお伺いします。
 港区の児童相談体制は、新たなページを開いていくことになります。これまで子ども家庭支援センターを中心に、地域とともに積み上げてきた支援体制を、児童相談所の設置により一層充実させ、区民が一丸となって社会の宝である子どもを守っていくため、私たちも力を合わせていきたいと思っております。
 最後に、今後の家庭相談についてお伺いします。
 区は、子ども家庭課内に港区家庭相談センターを設置し、配偶者等からの暴力被害の相談を受け付けるほか、家庭内で発生する夫婦・親子・嫁しゅうとめや結婚・離婚等の問題をはじめ、職場の人間関係などについても相談を受け付けてきました。
 昨年度までの港区家庭相談センターは業務委託により運営を行っていましたが、相談の解決に当たっては庁内のみならず、警察や弁護士など他機関との連絡調整も増加しており、業務委託による運営では臨機応変さに欠けるとともに、対外的な交渉には委託事業者ではなく、職員の関与が強く求められるなど、従前の執行体制には多くの課題が生じていたため、今年度から会計年度任用職員として、社会福祉や心理などの専門知識を有する家庭相談支援員を採用し、体制の強化を図ったとのことです。来年度には子ども家庭支援センターへの移管を予定しており、子どもと家庭の総合的な相談窓口として、これまで以上に関係機関や地域と連携しながら、相談者が抱える問題に寄り添った相談体制の充実が図られることと思います。
 旧赤坂小学校の跡地に開設された国際医療福祉大学の赤坂心理相談室では家族療法という手法を用いていて、家族の構成員個人を見るだけでは分からなかったことが、家族全体を見ることで分かるようになることがあると言います。日本ではまだ少ないという家族心理士や家族相談士といった専門職も養成し、「家族まるごと支援」にも取り組んでいます。今後は、こうしたところとの連携も検討してみてはと思います。
 そこで質問は、移管を機に家庭相談の充実を図れればと思いますが、どのように考えるのかお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症が拡大して一年がたちました。いよいよワクチンの接種が始まりましたが、新型コロナウイルス感染症との闘いはまだ続きます。しかし、人類がこれほどまでに共通の目的に向かって闘ったことはかつてなかったことです。アフターコロナの世界は、これまでの争いを超え、世界中の人類が手を携えて家族のように暮らしていける未来になるよう願い、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

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