土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

令和2年度 土屋 じゅん 定例会での発言

○十六番(土屋準君) 令和二年第二回港区議会定例会に当たり、自民党議員団を代表して、区長、教育長、選挙管理委員会委員長に質問します。
 質問に入る前に、新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方々の御冥福をお祈りするとともに、感染された全ての方々、御家族の皆様にお見舞い申し上げます。
 また、医療従事者の方々をはじめ、この新型コロナウイルス感染症拡大の中、社会を支えてこられた方々に深く感謝申し上げ、質問に入らせていただきます。
 「二〇二〇年、悪魔が世界にウイルスという矢を放ち、人類の文化を破壊しようとしている。家族の絆を、信仰を、音楽を、スポーツを、経済を、破壊しつつある。友好のあかし、握手、ハグ、キスをさせない。大好きな人たちを奪っていく」。これは、ある書家の言葉です。
 コロナ禍前の地球経済は、どんどん膨張と加速の方向に向かって行きました。人々は、より早くより遠くに出かけるようになっていきました。しかし、状況は変わりました。ステイホーム、家にいろ、人と会うな。これは私たちの生活や経済を一変させました。
 血流である経済が止まり、これまで順調であった産業も大きな打撃を受けました。コロナ産業革命と言われるように、これまでになかった観点も必要とされるようになりました。ビフォーコロナ、アフターコロナという言葉も生まれましたが、コロナ禍後は、全く以前と同じ状態には戻れない、新たな段階の世界に入ります。
 折しも進展しつつあったオンライン化は、その動きを加速させ、これからの様々な活動のキーワードになると思われます。オンライン会議も導入され、テレワークも広がっていきました。
 また、コロナ禍が家庭に及ぼした影響も大きく、家庭というものを改めて見つめ直す機会になりました。ステイホームにより、これまで取れなかった家族と過ごす時間ができたという声もあれば、家庭内暴力などが生じた事態もあります。新型コロナウイルス感染症対策は、世界レベルから、国、自治体レベルまで求められ、その力量が試されました。
 感染症は世界中の全ての人類に区別なく襲いかかり、先進国の首相や皇太子までもが感染し、世界一の大国には世界最大の被害をもたらしました。
 一方、他の先進諸国に比べ死者数の少ない日本に対しては、強制によらない自粛や日本人特有の衛生意識などにも関心が寄せられました。新型コロナウイルス感染症との闘いはまだ続きます。しかし、人類がこれほどまでに共通の目的に向かって闘ったことはかつてなかったことです。アフターコロナの世界はこれまでの争いを超え、世界中の人類が手を携えて家族のように暮らしていける世界になるよう願っています。
 さて、先日行われた港区長選挙では、武井区長が五選を果たされました。これは、新型コロナウイルス感染症の対策をはじめ、これまでの施策の成果が区民に評価され、今後の区政運営に大きな期待が寄せられているものと考えております。昨日の施政方針では、これまで取り組んできた施策に加えて、未来に向けた区政運営の基本姿勢などについても述べられておりますが、区長の今後の区政のかじ取りに期待しています。
 最初の質問は、区の新型コロナウイルス感染症対策の取組についてです。
 初めに、これまでの対策の検証についてです。東京都は、我が国で新型コロナウイルス感染症の患者数が最も多いですが、中でも港区は、緊急事態宣言が解除されるまで、人口比で都内最多の患者数をずっと擁していました。感染症対策の拠点であるみなと保健所の現場で、相談電話が殺到する中、医療機関との入院調整や患者の搬送などの対応に追われる状況は、メディアにも取り上げられました。現場で奮闘され、区民の命、健康、生活を守ってきた保健所をはじめとする職員の皆様に改めて感謝を申し上げます。
 そうした中で、港区は、これまで予備費の充用や補正予算により、感染の拡大防止とともに、区民生活や区内産業を守るため、区独自の様々な対策を行ってきました。区内事業者への支援策では、国や東京都に先駆けて、区独自の無利子・上限五百万円の特別融資あっせん制度やテナントオーナーへの賃料減額助成などを実施し、また、区独自のPCR検査などの実施や健康観察システム、「港区新型コロナこころのサポートダイヤル」の導入、外出に不安を抱える高齢者への買物代行の実施、妊婦への二万円の商品券の配布、介護事業所、障害福祉サービス等事業所の家賃助成など、区民生活の実情に応じた独自の対策を実施してきました。
 議会との関係でも、新型コロナウイルス感染症に関する連絡会議を設置し、議員からの様々な要望事項等にも応えていただきました。現在は、緊急事態宣言も解除され、一旦落ち着いた段階であるかと思います。しかし、今後、第二波や第三波が発生するかもしれませんし、新型の感染症の流行もあるかもしれません。
 そこで今、様々な対策を振り返って有効性を検証する必要があると思いますが、区長はどのように考えているかお伺いします。
 次に、今後の取組についてです。緊急事態宣言が解除され、これからは自粛から自衛へ、新しい生活様式が求められる段階になりました。しかし、気が緩むと大きな第二波や第三波に見舞われる危険性があります。人と人との距離を取ることや、適切なマスクの着用など注意喚起の啓発活動などは引き続き行う必要があります。
 これまでも、区有施設や公園等でのポスター掲示、広報みなとや区ホームページにて新しい生活様式について掲載するなど啓発を行っていることと思います。今後は、委託業務を見直すことになるかもしれませんが、青色防犯パトロール、港区生活安全パトロール隊などでも、放送だけでなく、徒歩巡回による啓発活動を行うなど、今後の取組を工夫していってはと思います。
 そこで質問は、新型コロナウイルス感染症への今後の取組について、区長はどのように考えているかお伺いします。
 次に、具体的な産業・地域経済の支援策についてお伺いします。
 昨日の区長の施政方針にもありましたが、新型コロナウイルス感染症により、区民生活や地域経済は大きな打撃を受けました。緊急事態宣言の解除後、社会経済活動は徐々に再開してきましたが、区民生活や地域経済は再建の途上であり、区民の暮らしや区内産業の早期回復に向け、全力で取り組んでいただきたいと思います。そこで、産業・地域経済に関わるものから具体的な支援策について質問させていただきます。
 初めに、プレミアム付き区内共通商品券発行支援事業についてです。今回の新型コロナウイルス感染症拡大の区内経済への影響は、平成二十年九月のリーマンショックに伴う影響よりもさらに広範な業種が影響を受けており、その規模は、既にリーマンショック時をはるかに凌駕しているのではないかと思います。
 所管部署に融資あっせんの実績を確認させていただいたところ、今年三月四日から六月十七日までの三か月半で、五百万円まで無利子融資あっせんをする特別融資と二千万円までの緊急融資を合わせて七千七十八件、六百六億円強のあっせんを行っており、現在も日に百五十件程度の郵送による申請が続いているということでした。特別融資あっせんについては、今年八月三十一日まで延長すると発表されておりますが、我が会派としても、区内中小企業への直接的な支援として非常に高く評価させていただいております。
 また、いっときは区役所三階にあっせん希望者があふれ返っておりましたが、九階大会議室への移転、五月の連休明けからの段階的な郵送による申請へのシフトなど、我が会派からの要望や意見なども取り入れていただき、これまで新型コロナウイルス感染症を発症した方も聞かず、中小企業への手厚いサービスが連続的に提供されていることに感謝申し上げます。
 リーマンショック時の状況と比較するため、平成二十年九月から平成二十一年八月までの一年間の融資あっせん件数についても所管部署にお聞きしてみました。それによると、緊急融資あっせんが四千二百六十七件、四百二十九億円強ということですので、今回のコロナ禍の影響の大きさがこのことからも分かります。当然、これに伴って今後発生する利子補給金や信用保証料補助金も相当の額になろうかと思いますが、ぜひとも必要な措置を今後も継続していただきたいと思います。
 ここで、区内の商店街、区民生活に目を転じますと、消費の落ち込みにより、特に飲食店などは極めて厳しい状況が続いております。区では、商店街振興の推進、区民生活の支援を図る観点から、リーマンショック後の平成二十一年三月には、プレミアム付き区内共通商品券の三億三千万円発行を支援しております。今回の補正予算では、これまで一回の発行支援額では最大であったこのときをはるかに上回る規模の十億円分のプレミアム付き区内共通商品券の発行を支援するということです。我が会派としても、区内経済が落ち込む中、時宜を得た、まさに起爆剤としての規模を持つ取組であると考えております。
 そこで質問は、今回のプレミアム付き区内共通商品券発行支援事業に対し、区長はどのような考えでいるかお伺いいたします。
 次に、観光需要の回復に向けた取組についてです。日本政府観光局(独立行政法人国際観光振興機構)によると、昨年の訪日外国人は前年比二・二%増の三千百八十八万二千人で、七年連続で過去最多となり、日本政府観光局が統計を取り始めた昭和三十九年以降最も多くの方が日本を訪れました。連動して、東京都を訪れる外国人旅行者も千五百十七万六千人で過去最多となり、その消費額も前年比五・七%増の約一兆二千六百四十五億円で、まさに観光立国の名にふさわしく、東京都には観光の一大産業が生まれている状況となりました。
 政府は観光を地方創生の切り札、成長戦略の柱として、訪日外国人数を今年は四千万人とする目標を掲げ、また、東京都も東京オリンピック・パラリンピック競技大会も見据え、今年の訪都外国人旅行者の目標を二千五百万人として、まさに「勝負の年」となっていましたが、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、状況が一変しました。
 四月の訪日外国人旅行者数は二千九百人で、前年同月比九九・九%減という驚くべき数字でしたが、先月五月は、さらに旅行者数が減り、僅か千七百人で、日本政府観光局が統計を取り始めて以来過去最少となっています。先ほど述べましたように、昨年は過去最多となりましたが、僅か一年足らずで九九・九%減の過去最少になるとは、誰も予想だにしていなかった事態に陥りました。
 東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の延期も相まって、大会関係者や競技の観戦者が予約していた区内のホテルはキャンセルが相次ぎ、ホテル・旅館の客室数が都内で最も多い港区としては、大きな影響を受けています。浜松町から増上寺・東京タワーへとつながる大門通りでスーツケースを引いた外国人と擦れ違うこともなくなり、ナイトタイムの代表である六本木・赤坂・新橋は、夜間の外出自粛の影響もあって閑散とし、運河から東京湾へと行き交う屋形船やクルーズ船を見かけることもなくなり、街の様子、人の流れが大きく変わりました。外国人観光客のみならず、日本人観光客も同様の状況であり、また、ビジネス客の往来も激減した港区の観光は、今、極めて危機的な状況となっています。
 現在、全ての地域からの入国者に対する十四日間の待機、入国管理法に基づく特定地域からの上陸拒否、航空機の到着空港の限定、国際線の運休や減便等により、インバウンドの需要が見込めない状況になっています。このように区の観光事業は非常に厳しい状況に置かれていますが、このままインバウンドの回復を待ち続けているわけにはいきません。制限が解除されるまでは、まずは目線を国内に移し、「新しい生活様式」の中で新たな観光の需要を喚起させ、この数か月で区が失ったにぎわいをV字回復させ、かつてのにぎわいのある街を取り戻すことが必要ではないでしょうか。
 また、二十六万区民をはじめ、九十万人を超える港区で働く方等にも、この機会に改めて区内の観光施設、神社・仏閣、美術館・博物館、商業施設等港区の多彩なスポットへ足を運んでいただき、魅力を再発見していただくとてもよい機会になるのではないかと思います。これまでにない視点、切り口で、区民等も含めた広い意味での観光客による観光振興を行うことで一人でも多くの方に港区を訪れていただき、区内での消費活動を促して経済を好転、発展させていくべきです。
 そこで質問は、観光需要の回復に向け、区はどのような取組を行うのかお伺いいたします。
 次に、沿道飲食店等の道路占用許可基準の緩和についてです。今月五日に道路を所管する国土交通省が新型コロナウイルス感染症対策としての道路占用の許可基準の緩和の取扱いについて発表いたしました。これは、今年十一月三十日までの暫定的な措置ですが、新型コロナウイルス感染症により営業ができず休業に追い込まれるなどの影響を受けた飲食店等を支援するため、自治体または関係団体による一括占用を要件にした緊急的な路上利用の緩和措置であり、その活用の可能性が期待されているところです。
 東京都内も先月二十五日に緊急事態宣言が解除されて以降、自粛要請も順次解除になり、飲食店の多くが営業を再開しています。営業を再開した飲食店等では、新しい生活様式に対応するため、店舗内における三密を回避するための対策や、さらには収入を補填するために新たにテイクアウトの導入等に力を入れるなど、それぞれの店舗において工夫と努力がされていますが、経営はいまだに厳しい状況であることは御承知のとおりと思います。
 これまでは、道路上での飲食の占用許可については、一時的なイベントや祭礼以外は道路占用許可が出ませんでした。これに対して、今回、国土交通省から国道における占用許可基準の緩和が示されたことから、道路上でのテイクアウトやテラス営業が可能となれば、経営の立て直しに向けて手だてを考える範囲が広がるものと考えます。しかしながら、国が示した緩和の基準を見る限りでは、港区が管理している区道は全体的に道路幅が狭いところが多いなどの制約もあり、なかなか許可を得るには厳しい状況と考えます。
 今後、区に対しても、飲食店等の営業を支援する地元関係者団体や商店会などからの相談もあると思いますが、今回、国が示した道路占用許可基準の緩和を捉え、区道の道路管理者として区はどのように対応していくのか、区長にお伺いします。
 次に、福祉総合窓口についてお伺いします。
 まず、設置に向けた検討の在り方についてです。施政方針にもありましたが、区長は、福祉総合窓口の設置を目指す考えを発表しました。これまでの福祉に関する相談体制を新たにし、身近な総合支所においてワンストップであらゆる相談を受け止めることにより、専門職を加えたチームで早期の課題解決につなげたいという強い希望に向けて、ぜひ積極的に取り組んでいただきますようお願いいたします。
 それには、多岐にわたる専門職が関わることから、運用を見据えた連携が滞ることなく実施できる体制を構築することから始めていく必要があります。遠隔による相談・連携はもちろん、個人情報の管理、突然の人事異動による混乱を防ぐ情報共有など、相談者が被るリスクを可能な限り減らしていただきたいと思いますが、また、区としても複数の部署をまたぐものであるため、質と利便性は向上させていかなければなりません。この福祉総合窓口は、区役所職員における多職種連携の根幹となりますので、他自治体でも手本となるスムーズな運用となるよう設計をしていただきたいと思います。
 福祉総合窓口の設置は令和四年度を計画しており、組織体制の検討やシステムの導入などは来年度を予定しています。これまでも様々な分野で各地区総合支所と支援部の間で連携が困難だったこともありましたが、今回は実際に相談者が訪れてシステムを運用する各地区総合支所を中心として、動きやすい、動いてもらいやすい体制を構築していただきたいと思います。
 相談機能の向上に向けた取組については、着実な運用を見越し、今の段階から現場の意見を可能な限り尊重できるようヒアリングをしていただきたいのですが、福祉総合窓口の設置に向けた検討をどのように進めていくのか、区長にお考えを伺います。
 次に、福祉総合窓口における保健師の活用についてです。この福祉総合窓口体制の一番の要員は保健師です。このたびの新型コロナウイルス感染症の状況においても、保健師の存在がどれだけ重要であるかを思い知らされることになりました。区の保健師は、出生前の妊婦から新生児、そして高齢者までの保健活動を担い、それこそ感染症対策や健康づくりを含めて、保健師には区民の健康を守る重要な役割があります。必要な支援を進めていくためにも保健師は欠くことができません。
 ところが現在、保健師の人員は不足しています。精神保健分野でも保健師の活用体制が重要となる中で、これまでも我が会派は、保健師の人員確保や育成を積極的に進めるようお願いしています。国のガイドラインを参考にすると以前に答弁がありましたが、このガイドラインの運用は都道府県レベルの調整が必要で、東京都の体制整備が整うまで待たなければならない可能性があるということでしたが、昨年度末にようやく完成したと聞いております。国、東京都、そして区の連携は非常に重要であります。しかし、このたびの新型コロナウイルス感染症対策で、東京都と区の保健所では法律上の関係性がとても複雑であることが改めて露呈し、連携においても課題が残りました。
 精神保健の分野おける保健師の活用は想定されているものですが、今後の福祉総合窓口設置に向けても保健師自体の存在は要となります。港区は独自に保健師を積極的に登用し、区民のための保健活動の向上につなげるための体制はもとより、専門性を発揮し職務にあたれる環境をつくっていただきたいのですが、区長の見解を伺います。
 次に、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける高齢者の支援についてお伺いします。
 高齢者は、新型コロナウイルス感染症にかかると重症化しやすいとされているため、高齢者の外出は特に注意が必要と言われています。しかし、高齢者は宅配サービスなどに慣れていない人が多く、買物に行き、スーパーで密になる姿がメディアでも報道されていました。
 区では、高齢者を見守るふれあい相談員は、新型コロナウイルス感染症の影響により、相談業務を訪問から電話に切り替え、高齢者のお宅に電話をかける電話相談を実施していますが、そうしたふれあい相談員の電話相談業務や高齢者相談センター等で相談を受ける機会を捉え、これまで区でまとめてきた地域情報マップに掲載されている配達可能な店舗等の紹介や、必要な方には配食サービスや家事援助サービスを案内することにより、外出機会を抑制できるように周知し、高齢者の感染リスクを減らしているとのことです。また、外出に不安を抱える高齢者の不安を解消し、生活支援を行うため、食料品や生活雑貨の買物を代行する事業も始めました。
 一方、緊急事態宣言が解除されるまでは外出を控える中でもあり、今年三月から五月まで、いきいきプラザ等での事業は休止されていました。そうした中で区は、五月二十一日からケーブルテレビの広報番組において、自宅でできる介護予防運動を紹介しています。今月一日から区有施設では段階的に事業を展開していますが、現状では新型コロナウイルス感染症の終息が見込めない状況で、今後、運動不足になりがちな高齢者の介護予防事業をどのように進めていくのかということも課題になると思います。
 そこで質問は、新型コロナウイルス感染症を踏まえた今後の高齢者の支援をどのように進めていくのかお伺いいたします。
 次に、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける家庭の支援についてお伺いします。
 まず、子どもや家庭の支援についてです。新型コロナウイルス感染症が拡大し、外出自粛が求められていた中、親が子どもに暴力を振るうなど虐待に関する相談が、児童相談所に相次いで寄せられているという報道を耳にしました。自宅で共に長時間過ごしていることがストレスになっていると見られており、夫婦げんかなど親同士の争いを子どもが見ることによる心理的虐待が多くなっていたそうです。外出できずにいらいらが募っている上に、家族全員が家にいて逃げ場がないことが要因ではないかと分析されています。
 こうした虐待事案の増加を懸念し、厚生労働省は四月十日、全国の自治体に対し、児童相談所と学校の連携を強化し、虐待リスクのある子どもの状況を把握するよう求めました。しかし、児童相談所職員が家庭を訪問すると、感染拡大を理由に面会を断られるケースが続出し、無料通信アプリLINEのビデオ機能で子ども本人の姿を確認する試みをした自治体もあるそうです。このようなことから、行政や学校は家庭訪問や電話、ビデオ通話などあらゆる手段を組み合わせ、虐待リスクの高い家庭を支援していかないといけないと言われています。
 そこで質問は、ステイホームを契機としたコロナ禍における虐待対応などで区はどのようなことを行い、課題をどのように考えているかお伺いいたします。
 次に、ベビーシッター利用支援事業についてお伺いします。コロナ禍での保育園登園自粛や、子育てひろばや一時預かり施設の利用停止、また保護者のリモートワークにより、ベビーシッターを必要とする声が急増しています。実際、港区でも急遽導入していただいた六月三十日までの新型コロナウイルス感染拡大に伴う保育所等の臨時休園等への対応に係るベビーシッターの利用支援事業では、港区への問合せは百件以上あり、最終的にアカウント発行に至った家庭は六十三件ほどの実績があったそうで、これは他自治体と比べても大変多いと聞いております。
 さて、このたび、東京都が令和二年度予算で制度化したベビーシッター利用支援事業は、日常生活上の突発的な事情や社会参加などにより一時的に保育を必要とする保護者やベビーシッターを活用した共同保育を必要とする保護者に対し、ベビーシッターによる保育を提供する区市町村を支援するもので、対象児童は〇歳から二歳児クラス、利用上限は児童一人当たり一日八時間、多胎児の場合は、児童一人当たり月百六十時間掛ける子どもの数が上限で、一時間当たり二千五百円の補助がされるため、保護者にとっては、ほとんどの事業者がかなりの低額で利用できることになります。
 また、港区の家事サポート制度とは違い、この制度の事業者数は国と東京都の審査を経た八十団体程度があり、選択の幅も広く、シッターの要件もあるので品質も高いと見られており、利用のために窓口に行って説明を聞き、アカウントを発行してから利用するというような煩雑な手続が要らず、対象事業者の中から利用して、領収書を提出すれば助成が振り込まれるスキームなので大変便利です。しかも、都区の負担割合は東京都の十分の十です。
 そこで、東京都が令和二年度予算で制度化したベビーシッター利用支援事業を港区でも導入できないかと思いますが、区長はどのように考えますでしょうか。
 次に、オンライン教育における家庭支援についてお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症の拡大により、小・中学校が休校になったことで、児童・生徒や保護者には大きな影響がありました。教育は家庭で担われる部分が多くなり、多くの児童・生徒や保護者は困惑したことと思います。特に保護者は、児童・生徒の学習に遅れが生じないよう、様々な手法で家庭での学習支援を行っていたと聞いています。
 このような状況において、保護者からの重要度が高まったのがオンライン教育ではないでしょうか。教育委員会では、オンライン教育を推進するために、インターネット環境のない家庭にいち早くタブレット端末やWi-Fiルーターを貸出しするなど、各家庭においても学びを止めないための取組を進めました。
 しかし、実際にオンライン教育を進めていく上では、それぞれの家庭において保護者の方の負担が様々あったと聞いております。「どのような手順でオンライン上にアクセスしたらよいか分からない」、「我が子に対してどのように学習のアドバイスをしたらよいか」など、保護者の困り事があったようです。教育委員会としても、オンライン教育を推進するに当たり、保護者が抱えた課題について御理解いただいていることと思います。
 そこで質問は、休校により、オンライン教育について児童・生徒や保護者にどのような支援を行い、課題をどのように考えているか、教育長にお伺いします。
 次に、これからの防災・危機管理体制についてお伺いします。
 まず、新型コロナウイルス感染症を踏まえた防災対策の見直しについてです。政府の中央防災会議は先月、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、国の防災基本計画を修正しました。被災者が集まる避難所で感染が広がるのを防ぐため、必要に応じて、ホテルなど宿泊施設の活用を検討することなどを盛り込みました。自治体は今後、修正された基本計画に沿って地域防災計画の見直しを進めることになると思います。
 新型コロナウイルス感染症をめぐっては、密集・密接・密閉の三密を満たす条件下で感染リスクが高まるとされ、体育館など多くの人が身を寄せる避難所での感染爆発が懸念されています。
 内閣府は四月に、各自治体に対し、災害時は可能な限り多くの避難所を開設して、避難者のスペースを十分確保するよう求めていました。新しい基本計画では、新型コロナウイルス感染症の発生を踏まえ、「避難所における避難者の過密抑制など感染症対策の観点を取り入れた防災対策を推進する必要がある」と明記しました。その上で、自治体の防災担当者と保健福祉担当者が連携して避難所感染症対策にあたり、「必要な場合は、ホテルや旅館などの活用を含めて検討するよう努める」としています。
 そこで質問は、区でも、新型コロナウイルス感染症を踏まえ、防災対策を見直していく必要があると思いますが、区長はどのように考えているかお伺いします。
 次に、業務継続計画(新型インフルエンザ編)の改定についてお伺いします。新型インフルエンザが発生すると、区職員が感染により出勤困難となるなど、平常時における人員体制や執務環境で区の業務を行うことが困難になります。そこで、緊急時に優先して行うべき業務をあらかじめ定め、人員など限られた資源を有効活用し、区民サービスの継続を図るとともに、最短期間で平常の業務体制に戻ることができるよう業務継続計画を策定しています。
 港区では、業務継続計画(新型インフルエンザ編)を平成二十二年に策定していますが、これは策定から十年がたち、見直しの時期を迎えているのではないかと思います。それに加え、今回の新型コロナウイルス感染症の発生により、これまでになかった課題も見えてきたのではないでしょうか。
 そこで質問は、業務継続計画(新型インフルエンザ編)の新型コロナウイルス感染症を踏まえた改定を行うべきと考えますが、区長はどのように考えているかお伺いします。
 次に、新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた選挙執行についてお伺いします。
 緊急事態宣言解除後、都内で初めて行われた首長選挙が六月七日に執行された港区長選挙でした。宣言が解除されたとはいえ、また、選挙は不要不急の外出にはあたらないとの政府見解があるとはいえ、有権者である区民の多くが投票所に行くこと自体に感染リスクの不安を相当強く感じていたのではないかと思います。そうした中で、港区長選挙において投票率が三〇%を超えたことは、平成四年六月以来二十八年ぶりのことであり、大きな成果であったと思います。
 緊急事態宣言が発令された直後には、目黒区長選挙や福生市長選挙が都内で執行されていますので、選挙管理委員会も先発したこうした選挙における新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について調査研究され、今回の区長選挙に応用されたと思います。
 また、来月五日には東京都知事選挙の執行が予定されていますが、今後も様々な選挙が行われます。そこで必要になるのが、感染を防ぐ対策です。それには、究極的にはオンライン投票が最も確実だと思います。しかし、これはもちろん区だけでできることではありませんし、技術的な課題も大きいです。
 次に考えられるのは、投票所を増やすことです。投票所が増えれば、確率的に密になる可能性は減ります。しかし、投票区の設定に関わることは課題も多く、投票所の確保や立会人の確保といった課題もあります。比較的実現が容易と思われるのが、混む時間を避けてもらうことです。これにはホームページなどの活用もありますが、投票所入場整理券の送付状や選挙公報などの紙媒体でも視覚的に分かりやすい方法で周知ができればと思います。このように、今後の選挙執行においては、様々な課題解決方法を検討していただければと思います。
 そこで質問は、新型コロナウイルス感染症対策として、今回の区長選挙執行に当たり特に力を入れた点や工夫したことは何か。また、今後の選挙執行における課題をどう考えているか、選挙管理委員会委員長にお伺いします。
 次に、延期された東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた対策についてお伺いします。
 まず、高輪ゲートウェイ駅前イベント広場の今夏の活用方法についてです。今年三月十四日にJR高輪ゲートウェイ駅が開業し、本来であれば駅前の品川開発プロジェクト用地を活用した東京二〇二〇大会のイベント空間が設置される計画でした。JR東日本、東京都、大会組織委員会、港区などがそれぞれのゾーンで東京オリンピック・パラリンピックのパブリックビューイング会場である「東京二〇二〇ライブサイト」や、お台場をはじめとした臨海部へのシャトルバスの内陸部の発着場所になる予定でした。しかし、開発は始まってしまうため、大会が延期された来年は同様の活用ができなくなりますので、この夏の活用方法が課題となります。
 そこで質問は、東京二〇二〇大会の開催延期が決定したことを受け、高輪ゲートウェイ駅前イベント広場については、この夏、どのように活用されるのか、区長の考えをお伺いします。
 次に、気運醸成イベントの再開に向けた考え方についてです。現在、港区が開催するイベントは、ほぼ中止か延期になっています。来月一日から本格的に学校が再開される予定のため、それまでの間は当然の措置と考えます。一方、政府や東京都が示しているガイドラインでは、各種イベントの開催に対し、感染対策を万全に施した上で進めていく方針です。安全・安心を確保した上で、東京二〇二〇大会の気運醸成イベントを再開することによって、他の主催イベント再開の後押しにもなるのではないでしょうか。
 そこで質問は、区は、東京二〇二〇大会に向けた気運醸成イベントをどのように再開していく考えなのか、区長の見解をお伺いします。
 次に、区として大会の準備に向けた効率化や合理化を進めることについてです。今月十日、IOCと組織委員会は、世界における経済、社会、医療の新たな状況に即し、大会の延期に伴う費用と負担を最小化し、国民・都民から理解を得るべく競技と選手に重点を置きつつ、サービス水準の見直しを含んだ効率化・合理化を進め、簡素な大会とする方針を示しています。IOCと組織委員会が公表したこの方針を踏まえ、区も独自の取組内容について効率化や合理化を進めていくと思います。
 そこで質問は、区民に最も身近な存在である区として、今後の大会関連事業をどのように捉え、どのように検討を深め準備を進めていくのか、区長の見解をお伺いします。
 次に、(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業への影響について伺います。東京都が平成三十年に策定・公表した「東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」に基づき、民間事業者が計画している(仮称)神宮外苑地区市街地再開発事業については、東京二〇二〇大会が一年間延期されたことによる影響が懸念されます。また、この事業は東京都の公園まちづくり制度を活用した計画となっていますが、今年一月に民間事業者が実施した東京都公園まちづくり制度実施要綱に基づく説明会において、区民の皆様から様々な意見があったと聞いております。
 そこで、東京二〇二〇大会の一年延期による影響と、説明会における区民の皆様からの意見を受けて、港区として本事業の今後の展開をどのように考えるのか、区長のお考えを伺います。
 次に、大会運営の輸送計画として環状第二号線を活用することの可能性及び区への影響についてです。当初は、環状第二号線を選手や関係者の輸送ルートとして活用する予定でしたが、築地市場の移転事業が延期になったため、選手村から虎ノ門ヒルズを通って国立競技場等へ向かうための道路整備が間に合わなくなり、計画変更が余儀なくされていました。しかし、大会が延期になり、また計画が見直される可能性が出てきました。
 現時点では、東京二〇二〇大会期間中に環状第二号線を選手や関係者の輸送ルートとして活用する予定はないと思いますが、今後、この輸送ルートに変更が生じ、環状第二号線を選手や関係者を乗せた車両が通行することになった場合、港区内においても当初の輸送計画とは桁違いの影響が生じるのではないでしょうか。
 区においては、大会の延期を受けた環状第二号線の利活用の方法について、改めての情報収集や必要に応じての区民等への情報提供を幅広く実施していただきたいと考えますが、区長の見解をお伺いします。
 次に、オリンピック・パラリンピック教育についてです。
 オリンピック・パラリンピック教育については、東京二〇二〇大会の開催を契機に、子どものスポーツ活動の推進や積極的にスポーツに親しむ気運の醸成を図るとともに、オリンピズムを踏まえ、スポーツを通じた様々な分野への関心を高める教育を推進するとのことで、特に、東京二〇二〇大会の際に港区にスポーツサービスセンターを置く国や競技大会が行われる競技について触れ、「学ぶ」「見る」「する」「支える」という視点での取組を各学校の特色を踏まえて行うことが掲げられています。
 東京二〇二〇大会開催決定後から教育委員会が主導してオリンピック・パラリンピック教育のプログラムが展開されてきましたが、現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、授業は中断されていると聞いています。
 そこで質問は、本来であれば三月から七月までに行う内容を、向こう一年間でどのように実施するのか、この事業の今後の方向性について教育長に伺います。
 次に、竹芝地区のまちづくりについてお伺いします。
 新型コロナウイルス感染症により様々な事業が影響を受けていると思いますが、港区はまちづくり事業が多く、このような時期でも民間に対し適正な指導や誘導をしっかりと進めていかなければならないと思います。そうした中で、平成二十七年三月に都市再生特別地区、地区計画及び都市施設について都市計画が決定されていた竹芝地区のまちづくり事業も、ついに先月に業務棟が竣工し、今月、住宅棟が竣工する予定と聞いています。
 以前に私は、この地区のまちづくりについてお尋ねしましたが、竹芝地区は「都市再生ステップアップ・プロジェクト」として実施される事業で、都有地の有効活用を通じ、地域経済の活性化や質の高い都市環境及び生活環境の形成並びに国際競争力の強化を図るとともに、地域全体が効果的に都市再生されていくことを目指し、まちづくりが行われてきました。開発に当たっては、官民連携によるエリアマネジメントの推進や、旧芝離宮庭園や海などの地域資源を生かした地域の魅力向上も事業の目的となっています。
 また、浜松町駅から首都高速道路を越えて、竹芝ふ頭、竹芝駅へとつながる歩行者デッキも整備中ではあるものの、今年度中には暫定的に一部供用開始される予定と聞いています。これまで課題であった海岸通りや首都高速道路による浜松町と竹芝地区の地域分断が解消され、今後は地域のにぎわい創出にかかる活動がより一層大切になってくると考えます。
 そこで質問は、改めて計画した施設が完成する状況において、この竹芝地区における地域のにぎわい創出にかかるエリアマネジメント活動をどのように支援していくのか、区長の考えをお伺いします。
 次に、景気の悪化を受けた今後の中長期的な財政運営の方向性についてお伺いします。
 今月十九日に内閣府から発表された月例経済報告では前月に続き、新型コロナウイルス感染症の影響が色濃く反映されました。「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、極めて厳しい状況にあるが、下げ止まりつつある」とし、経済基調判断のトーンを前月より緩め、先行きについて、「各種政策の効果もあって、極めて厳しい状況から持ち直しに向かうことが期待される」としつつも、「国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある」としています。
 また、今月十日に掲載された経済紙の報道によれば、新型コロナウイルス感染症への対応もあり、地方の財源不足が過去最大だったリーマンショック後の十八兆円を超えるおそれがあるとされており、同紙では専門家の意見として、「リーマン危機を超える税収減や財源不足に陥るという覚悟が必要」と伝えています。
 港区ではこれまで、人口増加や景気の回復に伴い、特別区民税収入が堅調に推移してきており、今年度の当初予算でも約七百六十五億円を計上しています。一方で、過去には大幅な税収減も経験してきました。平成二十年に発生した世界的な金融危機である、いわゆるリーマンショックの後には、平成二十年度に約六百十九億円であった特別区民税収入が三年連続で減少し、平成二十三年度には約五百二十億円となるなど、深く財政運営にも影響を与えました。さきの専門家の意見を踏まえると、リーマンショックを超える減収インパクトを与える可能性もあります。
 一方で、さきに述べた今月十日の報道では、都道府県における基金の取崩しは既に一兆円を超えており、これは総額の七割に及ぶとされています。新型コロナウイルス感染症対策において、自治体はスピード重視の対応を迫られており、財政調整基金を活用しているケースが多いとされています。
 港区においても、四月の区長専決に始まり、五月の区議会臨時会での補正予算、それに今回の第二回定例会と財政調整基金を活用し、新型コロナウイルス感染症対策を進めてきています。今後、景気の回復まで時間がかかり、大きな収入減が続くことも踏まえ、行財政改革の視点も含めて中長期的な視点で財政運営を検討していく必要があると考えます。
 そこで質問は、景気の悪化を受けたことを念頭に置いた、今後の中長期的な財政運営の方向性についてどのように考えているのか、区長にお伺いします。
 次に、新型コロナウイルス感染症により見直した港区版ふるさと納税制度についてお伺いします。
 港区版ふるさと納税制度は平成三十年度から始まり、今年で三年目を迎え、寄附額も僅かですが増えてきています。昨年度末から今年度にかけて、新型コロナウイルス感染症が急拡大し、港区でも感染者が発生しています。メディアでも、みなと保健所における対応や産業振興課の融資相談など現場の緊迫した状況が報道され、多くの方がコロナ禍でも懸命に取り組む職員の姿を目の当たりにしたことと思います。
 こうした中、区には多くの個人や企業、団体からマスクや消毒液などの寄附が日々寄せられているそうです。ふるさと納税は、納税先を選ぶことにより税の使われ方を考えるきっかけづくりとなることや、応援したい地域の力になれることなどを意義として始まった制度です。港区では、返礼品を贈呈しない、ふるさと納税本来の趣旨を踏まえた制度としているからこそ、コロナ禍においても見返りを求めない人たちからの協力を期待できると思いますし、そのような方たちの思いも区政に取り込んでいけるのではないでしょうか。
 区は、今年度に入り、港区版ふるさと納税の寄附メニューに新型コロナウイルス感染症への取組を追加するとともに、ふるさとチョイスが始めたステイホームで断捨離した洋服等をふるさと納税として寄附する、断捨離とチャリティーを併せた断チャリプロジェクトに参加しています。日頃から港区版ふるさと納税制度を通して寄附文化の醸成に努める中での、時宜に応じた見直しであると評価しております。
 そこで質問は、今年度のこの二つの見直しをどのように考えているのか、区長にお伺いします。
 次に、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた次期港区基本計画の策定についてお伺いします。
 今年は現行の基本計画最終年度に当たることから、現在、区では次期基本計画の策定の準備を行っています。基本計画は区の最上位計画であり、その役割は区政の目標や課題、施策の概要を体系的に明示するものであり、区の各部門が有している個別計画にも大きく影響を与えるものと考えます。
 そして現在、新型コロナウイルス感染症の拡大により、健康分野だけでなく、福祉、教育、地域コミュニティなど区政全般が影響を受けています。それだけに、基本計画の策定に当たって踏まえるべき社会課題は、新型コロナウイルス感染症の拡大による区民生活や地域経済などへの影響、また、三密の回避に代表される「新しい生活様式」への対応になると思います。
 一方で、みなとタウンフォーラムが昨年九月から今年二月まで健康や福祉、教育など区政の全分野にわたり検討した成果である提言書が、また、各地区区民参画組織の港区基本計画・地区版計画書策定に向けた提言書が、今年三月に提出されましたが、検討は新型コロナウイルス感染症が拡大する前に行われたため、提言にはそれが含まれておりません。毎回、区民や在勤者などが生活者の視点、働く方の視点から貴重な提言をされ、その提言を区が基本計画に反映することにより、基本計画が区民福祉の向上につながるものになっていると思います。
 そこで質問は、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、次期港区基本計画の策定にどのように反映させていくのかお伺いします。
 最後に、未来に向けた区政運営の基本姿勢についてお伺いします。
 昨日の区長の施政方針では、喫緊の課題である新型コロナウイルス感染症対策の徹底が表明されるとともに、コロナ禍を契機とした「新しい区政」、「未来に向けた区政運営」など、未来志向で前向きな言葉が随所に散りばめられていました。武井区長の新たな任期にかける断固たる意志と明確なコミットメントが示されたものと受け止めております。
 また、行政のオンライン化を契機に、様々な人の知恵、すなわち衆知を集めることで、より参加しやすく透明性の高い区政を実現するという趣旨の発言がありました。個々人の独立した意見や知恵の結集は集合知とも呼ばれ、時に有識者や専門家の力を凌駕することがあります。これは、港区がこれまで取り組んできた「参画と協働」や多様性の尊重などにも通ずるものがあります。ぜひ、行政サービスの思い切ったオンライン化を実行し、より多くの人の知恵が生かされ、可視化された区政を実現していただきたいと思います。
 世の中では、ウィズコロナ、アフターコロナなどの言葉が飛び交い、感染防止と経済活動を両立する社会の実現が求められていますが、コロナ禍後の区政運営は、やはりオンライン化をはじめとするデジタル戦略が鍵になると言えます。区長は、来庁することなく質の高いサービスを受けられる区役所の実現を目指すという大きな目標を掲げました。従来の区役所の常識を覆す大転換になるものと期待しています。
 そこで質問は、行政サービスのオンライン化を進め、来庁しなくてもサービスを受けられる区役所を実現するためには、これまでの既成概念にとらわれない大胆な発想で、行政手続を抜本的に見直す必要があると思いますが、区長はどのように考えているかお伺いいたします。
 新型コロナウイルス感染症が一日も早く終息し、希望ある未来が開けるよう願い、質問を終わります。御清聴ありがとうございました。

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