◯十七番(土屋 準君) 平成二十八年第二回港区議会定例会にあたり、自民党議員団を代表して、区長並びに教育長に質問いたします。
今般、バングラデシュの首都ダッカのレストランで、日本人を含む二十人もの尊い人命が奪われ、また、多くの方々が負傷するというテロ事件が発生いたしました。全ての犠牲者の方々とそのご家族、関係者の皆様に深く哀悼の意を表するとともに、惨事に遭遇された多くの方々に心からお見舞いを申し上げます。
また、本年四月に発生した熊本地方を震源とする激しい地震は、甚大な被害をもたらしました。本日、地震発生から三カ月を迎えましたが、一日も早い復旧・復興を念願しております。
世界に目を向けると、先月行われた国民投票の結果、イギリスはEU離脱を選択しましたが、その影響は世界中に波及し、先の見えない不安がもたらされています。こうしたときであるからこそ、我が国は安心できる社会の構築が求められているところであり、先日行われた参議院議員選挙では、安倍内閣に対し大きな期待が寄せられたものと感じております。安倍内閣には、ぜひそういった国民の期待に応える国政運営に努めていっていただきたいと思っております。また、本日告示されました選挙で選ばれます新しい東京都知事にも、安心できる都政運営を行っていただきたいと願っております。
一方、先月行われた港区長選挙では、武井区長が四選を果たされました。これは、これまでの施策の成果が区民に評価され、今後の区政運営に大きな期待が寄せられているものと考えております。昨日の施政方針では、これまで取り組んできた施策に加えて、新たに挑戦する施策なども取り入れられておりますが、区長の今後の区政のかじ取りに期待し、質問に入らせていただきます。
初めに、地方自治を牽引する取り組みについてです。
港区では、区政七十周年を控え、今年度はさまざまな催しが行われます。ところが、七十年前の港区の誕生は、容易なことではありませんでした。港区は、芝区、麻布区、赤坂区の三区が統合されて発足したわけですが、当初、三区の区会は、統合議案を民情の相違が著しいなどとして、いずれの区も否決し、当時の東京都長官が再議に付してようやく可決し、港区の誕生となったのです。このときに取り沙汰されていた民情の相違が著しいという懸念は、今では武井区長が取り入れた総合支所制度によって解決が図られていることと思います。
武井区長は、三期十二年の任期の中で、より身近な区役所づくりと参画と協働を柱に据え、区民福祉のためのさまざまな施策を展開し、多くの成果を上げてこられました。施政方針には、四期目を迎え、新たに挑戦する施策も述べられるなど、今後ますます施策の充実が期待されます。
ところで、我が国は、自治体自身に関することでも法律で定められていることが多くあります。例えば、自治体の議員や長の任期についてです。本日、東京都知事選挙が告示されましたが、このままでは四年後の東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会直前に、東京都知事選挙が行われることになります。また、港区長選挙も六月に行われることから、第二回港区議会定例会の日程に影響することとなります。
そこで、自治体の議員や長の任期を、四年を経過した後に最初に迎える四月末か十月末までとしてはどうかという意見があります。衆参両院議員の補欠選挙も同時期に行われるため、全国的に選挙が集約され、港区でも東京都知事選挙と区長選挙が同時に行われれば、投票率の向上も見込まれます。
しかし、任期は地方自治法で定められているため、自治体の事情では変えられません。国の施策に関することは、当然国で進めるべきだと思いますが、自治体自身のことは自治体の事情を反映できるようにすることが望ましく、こういったことを変えていくことも地方自治体の自治権拡充と言えるのではないかと思います。
四期目に突入した武井区長は、二十三区の区長の中でもベテランの域になり、現在、特別区長会の副会長や全国市長会の理事も務められています。区長には、特別区や全国の基礎自治体の自治権拡充や地方創生にご尽力いただいておりますが、今後は港区だけではなく、地方自治全般を牽引する役割を担っていっていただきたいと思います。自治権の拡充は、区民に身近な基礎自治体の権限と財源の強化につながることから、区民サービス、福祉の向上に向け、積極的に進めていただきたいと考えています。
そこで、三期十二年のこれまでの経験や実績を踏まえ、四期目を迎えた今、地方自治を牽引する自治権拡充に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、区長のお考えを伺います。
次に、児童相談所の移管についてです。
本年五月二十七日、児童福祉法等の一部を改正する法律が成立しました。この法律が特別区にとって画期的だったことは、児童の福祉を保障するための原理や虐待発生時に迅速・的確な対応が行えるよう、市町村と児童相談所の権限の強化などの改正が行われるとともに、児童相談所の設置自治体を拡大するため、特別区が児童相談所を設置できることとなったことです。
東京都から特別区への児童相談所の移管については慎重論もありましたが、特別区はこれまで移管を求め、東京都に要望してきました。区の現在の児童相談窓口である子ども家庭支援センターが、昨年度に新規に相談を受理した件数は、平成二十一年度の約二倍以上となる九百二十六件で、そのうち児童虐待対応件数が四百七十八件とのことで、これも増加傾向であり、毎年度増えていくその数に驚きました。そのほかにも、いじめ、不登校、非行、発達障害、家庭環境・育児の問題など、さまざまな相談が寄せられているとのことで、今後、人口増などにより、さらに相談件数が増えていくことが予想されます。
この港区の子どもたち一人ひとりに区が責任を持って対応し、必要に応じて迅速に保護し、保護者を指導する、あるいは地域ぐるみで家庭環境を改善する支援を行うことは、大変重要なことと考えます。また、子どもの育児や家族関係に悩み、支援が欲しいという保護者も多くいると思います。
港区としても、区に児童相談所を設置して児童相談行政を一元的に担うことにより、児童への対応を迅速にきめ細かく行うことや地域と一体となって児童虐待等の未然防止から、保護、家庭復帰までを切れ目なく担っていくことを目指しています。
区長は、施政方針の中でも述べているように、就任以来一貫して、区民に身近な事務は基礎自治体である区が担うという基本的な立場のもと、自治権拡充に全力で取り組んでおり、区役所・支所改革を実行してきたことと思います。そして、児童虐待や非行、障害、養育が困難な家庭環境など、子どもと家庭を取り巻くあらゆる問題に確実・迅速に対応するため、東京都から区への児童相談所移管に向けて積極的に取り組んでいくと述べています。区長の決意のあらわれと理解しています。
そこで質問は、港区が児童相談所を設置することによって、どのようなことが可能となり、子どもや保護者にとってどのようなメリットがあるのか。また、児童相談所の機能を支えるのは、何といっても専門性の高い職員であると思いますが、その育成や確保策はどのように考えているのか、伺います。
次に、自治体間連携を生かしたまちの活性化についてです。
国は、人口減少克服と東京一極集中の是正を目指し、まち・ひと・しごと創生法を施行し、地方創生を進めています。港区でも、将来にわたって活力ある日本社会を維持するという点で、港区も地方の一つとして積極的に取り組むとし、港区まち・ひと・しごと創生総合戦略において、自治体間連携を柱の一つに掲げました。さらに特別区長会では、北海道町村会や青森県市長会・町村会、京都府市長会・町村会と連携協力に関する協定を結ぶなど、今後、さまざまな自治体との連携事業の展開が期待されるところです。
そのような中、ことしの十一月に、新虎通りで地域の活性化や地方創生に関する東京と地方との連携・協働の新しい形を提示すること等を目的とした、大規模なイベントの開催が計画されています。このイベントでは、東北六市の協力を得て、東北六魂祭と同様のパレードが予定されています。東北六魂祭とは、東日本大震災からの早期復興を祈って東北を代表する六つの祭りが一堂に会するもので、東日本大震災の年に始まり、毎年開催地を移して行われ、ことしで東北六市を一巡しました。昨年から特別区長会が協力しており、六月に青森市で開催された際には区長も出席されたと聞いております。
青森のねぶたまつり、秋田の竿燈まつり、盛岡のさんさ踊り、山形の花笠まつり、仙台七夕まつり、福島のわらじまつりが新虎通りに集結することで、当日は日本全国から多くの人がここ港区に集まると思われます。
新虎通りは長い間、開発の議論がなされてきた場所で、多くの方のご理解とご協力により、ようやく完成したものです。お店を営む方、長く住まわれている方、働かれている方などが、それぞれの思いを持って新虎通りの開通を迎えたことと思います。このような場所で全国的に有名な東北六魂祭と同様のパレードが開催され、多くの人が訪問し、注目されることは、まちの活性化に期待する方々の思いに応えるものであるし、活性化がさらに進む一つのきっかけになると期待できます。
この四月には、自治体間連携の専管組織が設けられましたが、区が進める自治体間連携は、地域の活性化や課題解決にも資するものであってほしいですし、このようなイベントには積極的に協力していくべきと思います。
そこで質問は、新虎通りでのイベントへの協力も含め、地域の活性化や課題に対し、自治体間連携の視点から、区としてどのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、施設整備のための用地確保についてです。
港区の自治体としての特色の一つに財政状態が挙げられると思います。港区は、都区財政調整において、二十三区で唯一普通交付金の不交付団体となっており、他の自治体からは港区の財政状態は潤沢だとよく言われます。しかし、都心港区にとっての大きな課題として、地価が高く、施設整備のための用地確保が困難だということが言えます。人口が増加している港区においては、保育需要だけでなく、高齢者施設や区立小・中学校の規模拡大、建て替えに伴う仮校舎の確保等さまざまな需要があり、そのための用地取得は緊急の課題となっています。
さらに、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向け、地価が高騰する中で、用途が確定してから用地を確保することでは限界があるのではないかと思われます。区長の施政方針では、人口増加を見据えた施設整備を的確に進めていくため、公共用地買収基金を活用し、用地を先行取得していくとしていますが、施設整備のための用地確保について、どのように行っていくのか、伺います。
次に、帰宅困難者対策についてです。
港区の自治体としてのもう一つの特色に、昼間人口の多さが挙げられます。港区は、夜間人口は約二十五万人ですが、昼間人口は約九十万人と言われ、二十三区の中で一位、政令指定都市を除いた全国の市町村の中でも一位となっているとのことです。
五年前の平成二十三年三月には、三陸沖を震源とした広範囲に及んだ東日本大震災がありました。震源から遠く離れた東京でも震度五強の揺れが観測され、ほとんどの公共交通機関が停止する事態となりました。内閣府の推計によれば、首都圏で約五百十五万人がその日のうちに自宅に帰れない帰宅困難者となり、港区内でも幹線道路に人があふれ、大渋滞を引き起こしていました。
これまでの報道でも、港区には主要駅が多数あるなど、帰宅困難者対策が重要な課題となっているとされていましたが、まさに東日本大震災のときも多数の帰宅困難者により大混乱となったものであり、より一層の帰宅困難者対策が望まれるところです。帰宅困難者対策は、本来東京都の所管ですが、昼間人口の多い都心港区では、帰宅困難者対策は不可欠で、区長の施政方針では、帰宅困難者対策として、駅周辺滞留者対策推進協議会との連携を強化するとしています。そして、駅周辺の地域ごとに、企業や一時受け入れ場所などの特徴もあると思います。
総合支所制度については、前にも触れましたが、五つの地域で総合支所制度をしいていることは港区の強みだと思います。帰宅困難者対策については、この強みを生かし、地域の企業と各地区総合支所が積極的に連携した上での展開が、実践的で、ひいては地域住民の不安解消にもつながると期待しますが、区長はどのように考えているのか、伺います。
次に、まちづくりマスタープランについてです。
港区まちづくりマスタープランは、区の都市計画における基本的方針であると伺っています。現在の港区まちづくりマスタープランが作成されたのは平成十九年四月でした。今年度中に新しい港区まちづくりマスタープランができ、年度末に公表されるとなると、実に十年ぶりの改定となります。
この十年間を振り返ってみると、区の様子が実に大きく変わってきたことがわかります。現行の港区まちづくりマスタープランの策定時、平成十九年当時の区の人口は十八万人強で、その後も大きな変動はないであろうと想定されていました。ところが現在ではその想定を大きく離れ、二十五万人に近づく勢いで増えています。今後も人口は増加傾向を維持し続け、十年後の平成三十八年には三十万人に迫ると想定されています。
また、五年前には東日本大震災がありましたが、多数の帰宅困難者により大混乱となったこともあり、この東日本大震災を契機として防災や危機管理、サプライチェーンや廃棄物処理など、官民問わずさまざまな分野で大きな見直しが行われたことは、記憶に新しいところでもあります。
さらに、平成二十一年のオリンピック開催地選考で一度落選した東京は、平成二十五年にブエノスアイレスで開かれたIOC総会において、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピック競技大会の開催地となることが決まりました。あと四年と迫ってきた東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、今後さまざまな動きが出てくるものと想像されます。
その中で新橋地区・虎ノ門地区の骨格となった新虎通りは、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会において、晴海の選手村とオリンピックスタジアムを結ぶ重要な道路として期待されています。街区再編まちづくり制度を導入し、沿道の段階的整備が始まっています。新橋地区・虎ノ門地区の重要な交通結節点となる新橋駅周辺においても、このような勢いが波及しつつあり、街区再編整備の機運が高まりつつあります。
広域交通ネットワークの整備も進められ、平成二十三年にはリニア中央新幹線の始発駅が品川駅となることが決定されました。平成二十六年には、約四十数年ぶりとなるJR山手線新駅が品川田町駅間に設置されることが、また同じく東京メトロ日比谷線霞が関神谷町駅間に、こちらも五十数年ぶりとなる新駅が設置されることが発表されました。
環境面では、温室効果ガス排出など地球温暖化問題や化石燃料の枯渇などのエネルギー問題も深刻さを増しています。
首都直下地震が起きる確率が上がり、海水温上昇による極端な集中豪雨の頻発など、自然災害の脅威も増しています。このように区を取り巻く環境が目まぐるしく変化する中で、今後の社会情勢の変化にも対応していく必要があると思いますが、港区まちづくりマスタープランの改定に際し、今後の区のまちづくりをどのように進めていくのか、伺います。
次に、屋外公告物の景観誘導についてです。
昨年十二月には港区景観計画が改定され、懸案であった歴史的建造物周辺の誘導方策の充実や東京タワー周辺の眺望景観の保全について、制度の拡充が図られました。今後の取り組みに大いに期待しているところです。
さて、港区には、新橋や六本木など東京を代表する繁華街から、閑静な住宅街までさまざまな景観が存在しています。最近、駅前や繁華街では派手で大きな看板やLEDビジョンなどのデジタルサイネージを頻繁に見かけるようになりました。屋外公告物は、にぎわいある街並みを形成する上で重要な要素である一方、住宅地など、場所によっては景観を阻害する要因となるため、慎重に景観誘導を進める必要があります。
また、二〇二〇年には東京でオリンピック・パラリンピック競技大会の開催が予定されており、環状第二号線周辺やJR新駅の周辺など、さまざまな開発事業も進められております。
外国人も含め、多くの来街者の目に触れることとなる、日本の新しい顔、港区において、新たな街並み景観をつくり上げていくことは大変重要なことであり、屋外広告物も重要な役割を果たすものと考えます。改定された港区景観計画には、今後の取り組みとして、屋外広告物の景観誘導について、効果的な誘導を図るための方策を検討すると記載されています。また、区長の施政方針でも良好な景観を守り育てるために、屋外広告物について、景観誘導を行っていくことが述べられております。
そこで質問は、屋外広告物の景観誘導にどのように取り組んでいくのか、お伺いします。
次に、新たな交通戦略についてです。
区長の施政方針では、通勤・通学、買い物など、区民の皆さんが日常生活を送る上で必要なバスや自転車など、地域交通手段の充実とネットワーク化を図るため、将来を見据えた新たな交通戦略を策定していくとありました。
現在区内では、複数の大規模開発プロジェクトが並行して進んでおり、今後も引き続き人口が三十万人に迫るまで、毎年五千人程度増加していくことが推計されています。また、子どもからお年寄りまで全ての年齢層の人口が、増えていく推計となっており、区長の言われる日常生活を送る上で必要な地域交通手段の充実の必要性がさらに増していきます。
加えて、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会の開催時期までには、JR品川田町駅間の新駅、東京メトロ日比谷線霞が関神谷町駅間の新駅の暫定開業、そして、都心と臨海副都心を結ぶBRTが運行されることになっているほか、その後にはリニア中央新幹線の開通も予定されており、区内における広域交通、地区内交通、ともに取り巻く環境が大きく急速に変化しています。
こうした状況を踏まえ、私自身はこれまで、地域交通の充実に資するという観点から、「ちぃばす」のルート改善や自転車シェアリングの推進、これを下支えする交通ルール・マナーの啓発・徹底などについて、発言してきました。また、会派としても、古くは都営バス路線廃止に伴う「ちぃばす」の導入、区内の五地区を網羅する「ちぃばす」路線の新設、新たな地域交通サービスの導入についての提案も行ってきたところです。
そこで質問は、新たな交通戦略の策定に際し、地域交通に関する諸課題の解決をどのように図っていくのか、伺います。
次に、文化芸術振興策についてです。
オリンピックはスポーツの祭典であるとともに、平和と文化の祭典でもあります。来月には、いよいよリオデジャネイロ二〇一六オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されます。リオ二〇一六大会が終わるとハンドオーバー・セレモニーが行われ、オリンピックの旗が東京にバトンタッチされます。そして、舞台は東京に移され、秋からは東京二〇二〇大会に向けた文化プログラムが全国で展開されていきます。
世界における年間の文化予算に目を向けてみると、文化の先進都市とも言えるパリ市では三百十億円、予算総額の三%を充てています。ニューヨーク市では三百八十億円、予算総額の〇・五%を充てています。それに対し東京都は百八十億円、予算総額の〇・三%です。世界の大都市である東京都でありながら文化指標ではおくれをとっている状況です。
成熟した世界都市・港区を掲げる区としては、多種多様な文化芸術団体との連携を図りながら、東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、またその先のレガシーを見据えて、文化芸術の中心的存在として、文化芸術のさらなる振興を図るまたとないチャンスと言えるのです。
区内には、約八十カ国の大使館があり、およそ百三十カ国の国籍の方々が住んでおり、国際色豊かなまちであることが港区の大きな特徴の一つです。また、区内には多くの美術館・博物館が存在しています。そのような地域特性を生かしながら、国際文化交流を図っていくことが重要と考えます。
港区では、人口も順調に伸びる中、子どもたちも増えてきています。そうした状況から、例えば親子が気軽に参加し、文化芸術に触れ合える機会も今後一層つくっていく必要があるのではないかと考えます。地域資源を活用し、地域に根差しながら、区民の誰もが身近に文化芸術を鑑賞、参加、創造する機会の一層の推進が重要であると考えます。
秋から港区でも展開される文化プログラムは、そうした考えのもと、港区らしいプログラムの展開が図られるべきだと思いますし、その機会に先駆けて、港区らしい文化イベントを行い、一層の文化芸術振興を図っていく必要があると考えますが、区長の考えをお伺いします。
次に、商店街の機能維持についてです。
先月、世界中が注目する中で行われた国民投票の結果、イギリスはEU離脱を選択しました。その後の再投票への動きや首相の辞意表明と有力候補の出馬見送りなど、イギリス国内は混迷を極め、問題はヨーロッパ全土に影を落としています。自らがEU離脱に投票したことを後悔する人の映像は、問題の複雑さを如実に物語っていると感じました。
こうしたヨーロッパの動きは世界中に波及し、日本経済にもさまざまな形で影響があらわれました。六月二十三日の国民投票結果を受けて、イギリスのEU離脱が報じられた六月二十四日には、円が一時的に一ドル九十九円台となりました。これは二〇一三年十一月以来、二年七カ月ぶりのことです。また、株価も一気に千二百円強も値が下がるなど、市場が大きく動揺しました。現在は落ち着きを取り戻しているようですが、この先、区内の中小企業や商店街にどのような影響をもたらすのか、予断を許さない状況であると思います。
さて、区長は施政方針で、地域経済の中核を担う中小企業の発展と地域の活力や区民の生活を支える商店街の活性化は、まちのにぎわいにとっても重要ですと述べられました。区内の中小企業が元気であることそのものが、区の活力であると思いますが、特に区長が述べられた商店街の活性化は大変重要な視点だと考えます。
港区にはたくさんの商店街が存在します。その規模はさまざまですが、多くの商店がそれぞれの地域の中で日々の商売に励んでおられます。そうした商店街の店舗が閉店し、マンションに建て替わるケースが多くなっていると聞きますが、建て替えの場合、新たに建設されたマンションの一階部分に再び店舗が入ることは、なかなか期待できない状況です。建物の一階部分は、言うまでもなくまちの顔であり、そこを考えることは、まちそのもののあり方を考えることだと思います。新しいマンションができて、港区に住む方が増えることは、大変喜ばしいことですが、建物の一階部分に店舗が並び、商店街がそこに住む方々の生活を支えていくことが理想的なまちの姿なのではないかと思います。商店街の店舗数が減少してしまうと、商店街の機能が低下することになり、これは地域住民の買い物の不便さにも直結する問題であります。
そこで質問は、地域住民にとって大切な商店街の機能維持についてどのように考えているのか、お伺いします。
次に、地域包括ケアシステムの構築についてです。
介護の問題は待ったなしです。地域包括ケアシステムの実現を目指す年次である二〇二五年には、港区の高齢者、特に療養や介護の必要度が高くなる七十五歳以上の高齢者は、今よりも三〇%以上増加するとの推計があります。多年にわたり社会に貢献されてきた方々が、住み慣れた地域で安らかにいきいきと暮らし続けるための地域包括ケアシステムを実現するためには、港区の高齢者が置かれている現状や課題をきちんと把握し、総合的な支援の仕組みとして確立させていかなくてはなりません。介護保険制度は地方分権の試金石と言われています。
私は、港区が地域包括ケアシステムの構築を進めていくにあたり、大きく二つの取り組みが重要であると考えています。一つは、在宅生活を支援し、質を向上させる取り組みです。例えば、電球の交換や重い日用品を買い出しに行くことが切実になっている高齢者もいます。一人ひとりさまざまな生活上の支援を必要としており、さまざまな支援のアプローチをしていく必要があります。また、集合住宅が多く、ひとり暮らしの高齢者が、今後増えていくことが見込まれる中、地域社会に接点を十分に持てていない人を減らすため、見守りやサロンなど、地域での人間関係を生み出していく方策も重要です。
二つ目は、在宅での療養と介護がくまなく提供される体制づくりに向けた取り組みです。平成二十五年度に行われた港区保健福祉基礎調査では、事業者から「主治医と話し合う機会が少ない」、「連携のために必要となる時間や労力が大きい」という声が出ています。大病院が数多く立地する港区において、病院や診療所等の医療と介護事業者が現場同士で円滑に連携するためには、医療機関等による個別の取り組みも重要ですが、区が行政の立場で地域内の調整力を発揮していくことが必要です。
そこで質問は、区は、今後の地域包括ケアシステムの構築に向けて、高齢者の置かれている実態についてどのような課題認識を持ち、どのような取り組みを考えているのか、伺います。
次に、高齢者の社会参加促進についてです。
港区の人口は、ことし七月一日現在二十四万七千七百四十五人で、そのうち六十五歳以上の高齢者は四万二千八百十四人で、高齢化率は一七・三%となっています。団塊の世代が七十五歳以上となる平成三十七年一月一日の港区の人口は、二十九万二千百九十三人と推計されています。この間、高齢化率は一六・一%と減少しますが、高齢者は四千三百七十人増加する見込みです。高齢者人口の増加により要介護認定者や認知症高齢者も増加することが見込まれており、特別養護老人ホーム等の入所施設や在宅生活を支えるサービス等の支援が必要な高齢者も増えていくと思います。
区長の施政方針にもありましたが、区ではこうした介護サービスの需要に応えていくため、平成三十二年の開設に向け、南麻布四丁目に百床の特別養護老人ホームの整備、在宅生活を支える小規模多機能型居宅介護施設の整備、ふれあい相談員による日々の見守りや生活支援等に取り組んでいます。
一方で、まだまだ元気な高齢者の方もたくさんいらっしゃいます。自らの生きがいのための活動や社会参加への意欲が高い人も多く、地域でさまざまな活動をされています。高齢者が地域の中で生きがいを持って暮らしていけるよう、活動の機会や場所の提供を充実させていくことなども必要と考えます。
また、高齢者が地域活動や地域コミュニティに参加するなど、地域社会への参加を通じてさまざまな役割を担うことで、高齢者自らの生きがいづくりや健康づくりにつながることも期待されます。元気な高齢者が豊富な知識や経験を生かし、健康でいきいきと暮らし続けられるように、また高齢者自身が地域での支援が必要な高齢者の生活を支援するなど、地域のさまざまな課題解決の担い手として活躍できるよう、より多くの高齢者の社会参加を促進していくことが求められています。
そこで質問は、今後の高齢者の社会参加の促進に向け、どのように取り組んでいくのか、伺います。
次に、障害者の就労支援の充実についてです。
厚生労働省が公表した平成二十七年障害者雇用状況の集計結果によると、従業員五十人以上規模の民間企業に雇用されている障害者数は四十五万三千百三十三・五人で、実雇用率一・八八%は、ともに過去最高です。また、全国のハローワークを通じた障害者の就職件数は七年連続で増加しており、平成二十七年度は前年度比六・六%増の九万百九十一件となっています。
平成二十八年四月に障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律が施行され、国や地方公共団体等や民間事業者に対し、障害を理由とする差別の禁止や合理的配慮の提供が求められることになりました。障害者雇用の分野においても同様であり、本年四月に障害者の雇用の促進に関する法律の一部を改正する法律が施行されました。これにより事業主に対し、障害者に対する差別の禁止や障害者が職場で働くにあたっての支障を改善するための措置を行うことが義務づけられました。さらに平成三十年四月からは、これまでの身体障害者と知的障害者だけであった法定雇用率の算定基礎の対象に、新たに精神障害者が加えられることになります。障害者の雇用環境が変化する中、障害者が住み慣れた地域で安心して働き続けられるよう、障害者の就労を支える取り組みはますます重要となっています。
そこで質問は、区としても、これまで以上に障害のある人への就労支援を充実していくことが必要であると考えますが、どのようにお考えでしょうか。
次に、待機児童対策についてです。
まず、保育定員の拡大についてです。区長の施政方針の中でも述べられていたように、保育施設の定員は、平成十六年の区長就任時から、ことし四月には約三・五倍にまで拡大し、七千六名となりました。また、今年度におきましても七月に港区初の小規模保育事業所を開設したほか、八月にも新たな小規模保育事業所を開設、来年四月に港区保育室の受け入れ年齢拡大や私立認可保育園の誘致に向けた取り組みなどを進めていると聞いています。
その一方で、今後も人口増加により、保育需要は、昨年三月に策定した子ども・子育て支援事業計画における保育の量の見込みを上回ることが想定されます。他自治体においても国家戦略特区を活用し、都市公園への保育所設置に向けた検討を行うなど、さまざまな手法による定員拡大が進められています。
そこで質問は、今後、待機児童対策としてどのような取り組みを行うのか、伺います。
次に、保育の質の確保についてです。待機児童対策とともに大切となることは、保育の質を確保していくことです。区はこれまでも、保育の質の確保に向けて、障害児保育等に対する保育力強化事業、保育士等の処遇改善策としてキャリアアップ補助事業や宿舎借り上げ支援事業など、多様な施策を実施しています。しかし、新聞報道によると、他自治体で昨年中に保育施設で発生した事故で十四人のお子さんが亡くなっています。このような痛ましい事故が後を絶たない状況は非常に残念でなりません。
そこで質問は、保育施設での事故を未然に防止し、保育の質を確保していくためにどのような取り組みを進めていくのか、伺います。
次に、オリンピック・パラリンピック教育についてです。
東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会開催まで、あと四年に迫りました。大会開催が近づくにつれ、東京をはじめ、日本全国で東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック競技大会に向け気運が高まることと思います。区では、東京二〇二〇大会を子どもたちの人生にとってまたとない重要な機会として捉え、今年度から全区立幼稚園、小・中学校でオリンピック・パラリンピック教育を展開していると伺っています。
オリンピック・パラリンピック教育では、スポーツの知識を学ぶことにとどまらず、ボランティアマインド、障害者理解、スポーツ志向、日本人としての自覚と誇り、豊かな国際感覚の五つの資質を育成することとなっています。この教育を通して、東京二〇二〇大会の成功の立役者として活躍するにとどまらず、子どもたちが将来、国際社会で貢献できる人材となることを切に願っています。
そこで、今年度から始まったオリンピック・パラリンピック教育において、各学校はどのような取り組みを行っているのか、教育長に伺います。
また、港区は外国人居住者も多く、国際色豊かな都市で、多くの大使館も点在しています。オリンピック・パラリンピック教育では、地の利等を生かした教育も考えられます。今後予定している港区ならではの特徴を生かしたオリンピック・パラリンピック教育についても、教育長に伺います。
次に、国際学級についてです。
港区へいらした外国籍の方々のご子息・ご令嬢へ多様な教育機会を提供することを目的として、平成二十四年度から始まった東町小学校での国際学級は、ことしで五年目になります。外国人児童への英語によるサポートや日本人児童への教育効果などにより国際学級への期待が高まり、開設前の平成二十三年度には六十五名だった全校児童数は、現在では四百名を超えるほどになりました。
我が会派の議員からは、これまでにも、港区らしい特色ある取り組みを充実させるために、国際学級の他の小学校への拡大や卒業生にとって魅力ある受け皿を区立中学校に整備すること、外国人児童の割合の確保などを提案してきました。これに対しまして教育長からは、これまでの取り組みを検証し、小学校に新たな国際学級を設置することや中学校における国際学級の必要性の有無について検討していく旨の答弁をいただいております。
このたび、武井区長の施政方針において、外国人児童と日本人児童とがともに学び、ともに高め合う国際学級の取り組みを拡充していくことを伺い、今後の施策展開に期待をしているところです。
そこで質問は、国際学級の今後の取り組みについて、教育長のお考えを伺います。
最後に、芝浦小学校の児童数増加対策についてです。
初めに、これまでの検討経緯についてです。港区では、区内全域で児童・生徒数の増加が今後も見込まれており、特に児童・生徒数の増加が著しい芝浦港南地区をはじめとして、幾つかの学校で普通教室の不足が見込まれています。児童数増加対策については、計画的な校舎の増改築や特別教室等の改修により普通教室を確保し、より充実した教育環境の整備に向け取り組んでいただきたいと思います。
さて、芝浦小学校については、これまで多目的室や特別教室等を普通教室に転用しており、平成三十年度までは対応が可能と聞いています。しかし、平成三十一年度以降については、教室の不足が見込まれており、周辺の区有地の活用や新たな学校用地の確保について、さまざまな可能性について調査すると聞いています。
そこで質問ですが、これまでどのような調査や検討をしてきたか、その経緯について、教育長に伺います。
次に、今後の進め方についてです。このたび、新たな対策案として、みなとパーク芝浦の旧文化・芸術ホール計画地に新設校を設置するという方針をお聞きしました。区では以前、幾つもの学校が統廃合されてきておりましたので、小学校の新設校の設置は、新たに台場に街ができた際に設置された港陽小学校を除き、昭和十七年の芝浦小学校の前身である芝浦国民学校、昭和三十九年の芝浦小学校分校から独立した港南小学校以来のことであり、隔世の感があります。
芝浦小学校の児童数増加については、これまでにも早急に対応を検討していただきたいとの声が寄せられており、私も今年度の予算特別委員会で、一つの提案をさせていただいたところです。今回のみなとパーク芝浦に新設校を設置する計画案について、地域及び保護者の方々の意見を聞くとのことですが、その際には丁寧な説明を心がけ、十分に意見を聞いていただき、地域に合ったすばらしい学校をつくっていただきたいと思います。
そこで質問ですが、区民に意見を求めた後、学校整備まで早急に対応すべきと考えますが、今後の進め方について、教育長の見解をお伺いします。
以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。