土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

平成28年度決算特別委員会(第3日目) 本文 開催日:2017.09.25

◯委員(土屋 準君)  総務費におきましては、鈴木たかや委員から引き継ぎ、まず、衆議院小選挙区の区割りについてお伺いいたします。
 先ほども取り上げられていましたが、このたびの衆議院小選挙区の区割り改定は大きな衝撃を受けました。港区はこれまで、中選挙区制の時代から千代田区、新宿区とともに東京都第1区を構成し、小選挙区制に移行してからもその構成は変わりませんでした。ところが、今回の区割り改定で、港区は歴史上初めて分割されることになりました。今回の区割り改定では、芝地区総合支所管内のうち、区役所のある愛宕地区全域と芝一から四丁目、芝浦港南地区管内のうち芝浦一から三丁目、海岸四丁目と三丁目のうち1から3番地、14から19番地と22から30番地が東京都第2区に編入されました。一方、芝五丁目、芝浦四丁目、海岸三丁目のうち4から13番地、20から21番地と31から33番地は東京都第1区に残ることになりました。
 非常にわかりにくい区割りです。選挙になったら何と言おうかと今から悩んでしまうのですが、何番地から何番地の方はこちらの方を、何番地から何番地の方はこちらの方をとお願いしなければならないとなりますと、今からでも頭が痛いのですが、問題なのは、この結果、芝浦三・四丁目町会や海岸二・三丁目町会が分断されることになったということであります。
 この問題は、国会でも東京都第1区選出の山田美樹衆議院議員が取り上げていましたけれども、町会や自治会は行政のパートナーとして地域のコミュニティにおいて大きな役割を果たしており、市区町村の分割にあたっては町会や自治会などの地域のつながりを考慮すべきです。それにもかかわらず、町会が2つの選挙区にまたがることになり、芝浦海岸地区の方は大変困惑しております。区割り自体は国で決めることですので、区に責任はないと思いますが、自治体の区域を分割する以上、何らかの問い合わせはあったのではないかと思います。
 そこでお伺いしますが、国からはどのような問い合わせがあり、選挙事務を所管する選挙管理委員会としてはどのような意見具申をしたのでしょうか。

◯選挙管理委員会事務局長(田代喜司郎君)  平成28年8月に総務省から23区に対しまして、人口や地勢などのヒアリングを受けております。その後、10月には東京都知事から区長に対しまして、衆議院小選挙区の改定案策定にあたっての意見照会がございました。選挙管理委員会は区長に対して、地域コミュニティを分断することのない区割りとすることや、わかりやすい選挙区とすることなど意見具申しております。なお、11月には区長から東京都知事に対しまして、回答されたと聞いてございます。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。国会の議論の中でも、市区町村の分割にあたっては、原則として投票区を手がかりとし、案を作成したという答弁がありました。同じ投票所に2つの選挙区にまたがることがないということを優先し、その結果、総合支所や町会が分割されるケースが生じたのではないかと思います。
 そこで、港区における今回の区割りを見てみると、これまでの東京都第2区である、中央区に近い第1投票区から第7投票区まで、それと芝浦海岸地区の第9投票区の8つの投票区が東京都第2区に編入されております。投票区が8つになれば、普通に考えれば第1投票区から第8投票区までとなりそうですけれども、芝五丁目の第8投票区は東京都第1区に残り、芝浦海岸地区の第9投票区が東京都第2区に編入されたのは、おそらく1票の格差を2倍以内に抑えるという至上命題があったからではないかと思います。現在、第38投票区と第40投票区を構成する芝浦四丁目と海岸三丁目の南部は、以前は第9投票区に入っていましたが、近年の人口増加により分割され、そこが選挙区境になってしまったということであろうかと思います。
 いずれにしても、投票区が選挙区を構成する単位になっていますので、投票区がどのような基準で設定されているのかが重要になると思います。そこでお伺いしますが、投票区の設定はどのような基準で行っているのでしょうか。

◯選挙管理委員会事務局長(田代喜司郎君)  選挙管理委員会では、投票区の具体的な設置基準は作成しておりませんが、1投票区当たりの有権者数、地勢、交通事情、投票所とすべき公共施設の有無、他の投票区との均衡、それから地域の要望などを総合的に検討いたしまして、選挙管理委員会として決定しているところでございます。

◯委員(土屋 準君)  これまでは投票所に行きやすいかということが重要な観点になっていたと思います。このたびの区割りの改定で、選挙区を構成する最小単位が、これまでは港区そのものでありましたけれども、これからは投票区が選挙区を構成する単位になるという、全く新しい観点が入ってきたのではないかと思います。
 今回の改定は緊急是正的な措置として、東京都の選挙区の数は変更されていませんが、次回の平成32年の大規模国勢調査に基づく区割り改定では、アダムズ方式を適用すると、東京都の選挙区は4増、すなわち選挙区が4つ増えると言われております。5年後にはもっと大幅に選挙区が変更される可能性があるわけです。
 区割り自体は国で決めることですので、いかんともしがたいのですけれども、投票区の設定は区でできることではないかと思います。そこで提案ですが、以上のことを踏まえ、5年後を見据えて、総合支所や町会・自治会などの地域のつながりも考慮に入れて投票区の設定基準を策定してはどうかと思いますが、いかがでしょうか。

◯選挙管理委員会事務局長(田代喜司郎君)  国にあっては、投票区を増設する場合の指針として、投票所から選挙人までの住所の道程が2キロメートル以上あって、かつ1投票区の選挙人の数が2,000人以上の場合には、投票区の増設に努めるという指針がございます。近年、区に人口増加に伴いまして、高齢化や交通事情などの変化も踏まえ、投票区のあり方について、選挙管理委員会としても課題を共有しているところでございます。今後とも他区の状況も参考に、わかりやすい、投票しやすい投票区について総合的に検討してまいります。

◯委員(土屋 準君)  選挙制度のあり方というのは、議会政治の根幹にかかわる重要な問題でありますし、住民にとってどの選挙区で投票することになるのかは、主権を行使する上で重大なことだと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、区有施設の耐震化工事についてお伺いいたします。
 災害時に区民避難所となる区有施設の特定天井等の耐震化工事についてお聞きします。
 平成23年3月11日に発生しました東日本大震災では、多数の建物の天井や照明器具などが落下して、甚大な人的・物的被害が発生しました。これにより震災時の天井落下の危険性が改めて認識されたところです。このような状況を踏まえ、近年発生が懸念される震災への対策として、区では平成27年度から5カ年計画で区有施設の特定天井等の耐震化工事について着手しております。
 平成27年度は7施設、平成28年度も7施設で工事が完了しており、大規模工事が予定される赤坂区民センター及び高輪区民センターのホールを除き、平成31年度までの3年間で耐震化工事を完了する予定と見ております。そこでお伺いしますが、区民避難所を含む区有施設の特定天井等の耐震化工事の今後の実施予定はどのようになっているでしょうか。

◯施設課長(大森隆広君)  特定天井等の耐震化改修工事の実施予定につきましては、今年度は学校施設で12施設の改修を実施いたします。これにより、平成27年度から進めてきました全ての学校施設の改修工事が完了します。今後は、平成30年度から平成31年度までの2カ年間で、いきいきプラザや中高生プラザなど残り15施設の改修工事が完了する予定でございます。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。
 区民避難所は、災害時に区民の方々が避難する施設でありますので、安全確保が大前提となります。区民の命を守る観点から、区民避難所となる施設の安全確保のため、計画を実施されるよう、よろしくお願いします。また、現時点で冷暖房設備が設置されていない区有施設がまだあります。耐震化工事にあわせるなどして冷暖房設備も設置できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、多様性の理解についてお伺いいたします。
 東京都は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機に、世界一の都市・東京の実現を目指しており、2014年12月に改正されたオリンピック憲章のオリンピズムの根本原則から、あらゆる差別の中に性的指向が明記され、東京2020大会の開催を迎える日本においても多様性への理解を進める上で向き合うべき課題と言えます。そこで、その課題について考えてみたいと思います。
 平成29年度予算特別委員会では、心と体の性が一致しない性同一性障害と診断され、戸籍上は男性だが女性として勤務するある職場の職員が、女性用トイレの使用制限などの差別的処遇を受けたとして訴えを起こしている事例を紹介しました。今回はアメリカの事例を取り上げたいと思います。
 コロラド州のケーキ屋さんで同性カップルがウエディングケーキを注文したところ、みずからが信じる宗教上の理由から、同性の結婚式のためのケーキはつくれないと拒否されたというものです。この事件は、同性カップルが差別だとして訴訟となり、コロラド州の裁判所はケーキ店側の訴えを棄却しました。このほかに、オレゴン州でも同様の事件があり、菓子店側が日本円にして約1,650万円の賠償金の支払いを命じられるということがありました。
 コロラド州では、性的指向を理由に差別することを禁じており、もし菓子店が異性カップルにケーキを売るなら、同性カップルにも売らなければならないとのことで、同州の裁判所も、「もし菓子店主が州内で公共施設として営業し、ビジネスを展開しているなら、性的指向に基づいて客を選ぶことを禁止している」と判断しております。これに対して菓子店側は、「特別注文の芸術表現は言論の自由によって守られるべきことで、同性カップルに対して結婚関連のサービスを提供することは、宗教や言論の自由に反する」ということで、菓子店、花屋、カメラマンなどはクリエイティブなサービスを売っているのだから、その芸術表現を強制されるべきではないとしています。この事件については、来月、連邦最高裁判所で審理が始まろうとしております。
 我が国では、現在のところ、アメリカの事例のようなことが起こることはないと思います。しかし、渋谷区の男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例いわゆる同性パートナーシップ条例では、段階は踏むものの、指導・勧告に従わない者の名前等を公表するという制裁措置を設けております。これがさらに進められれば、さきのアメリカのような事例が起きないとは限らないではないかという懸念もあります。多様性については、相反する見解を持つ人もおります。真の意味で多様性を認める社会は、思想・良心の自由、感情の自由を許容する社会でなければならないと思います。
 そこでお伺いしますが、多様性の理解を推進していく中で、このような意見にも耳を傾けていくべきだと思いますが、区はどのように考えていますでしょうか。

◯人権・男女平等参画担当課長(江村信行君)  性別、年齢、障害の有無、国籍など、いかなる理由でも差別は決して許されるものではありません。一方で、民族、国籍、思想・良心の自由など、さまざまに背景が異なる人が存在し、相反する考え方があるのも事実です。そのような中、人権の観点からは、個人の意見や考えは尊重されるべきであり、さまざまな立場から議論を交わすことで相互理解につながり、問題解決の一歩となると考えます。今後も区は、一人ひとりが抱くさまざまな考え方や感情に配慮しながら、多様な個性を認め合い、全ての人が尊重される社会を目指し、あらゆる機会を捉えて意識啓発を図ってまいります。

◯委員(土屋 準君)  ありがとうございます。
 この議論の中でよく引き合いに出されるのが、病院の面会などで、戸籍上の家族ではないことを理由に断れるといった不利益があり、その解消のために同性パートナーシップ証明を発行するという議論です。これに対しては、成年後見制度などで対応できるのではないかと私は考えております。成年後見制度の1つに任意後見がありますが、これは、将来判断能力が衰えたときに備えて任意後見人を決め、支援してほしいことを、公正証書を作成して任意後見契約を締結しておく制度です。任意後見人となる任意後見受任者は家族等でなくてもよいため、この制度は、同性カップルとは切り離して、身寄りのない高齢者などにも応用できるものではないかと考えております。
 そもそも渋谷区の条例においても、この同性パートナーシップ証明を行う場合には、当事者双方が相互に相手方当事者を任意後見受任者の1人とする任意後見契約に係る公正証書を作成し登記を行っているということを確認するものとしております。
 この問題についてはまた別の機会で取り上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上で質問を終わります。

◯委員長(杉浦のりお君)  土屋委員の発言は終わりました。

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