土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

平成23年度決算特別委員会(第7日目) 開催日:2012.10.01

◯委員(土屋 準君)  滋賀県大津市で中学2年生男子のいじめ自殺事件がありました。そこでは当初、市教育委員会が、いじめはあったが、自殺との因果関係は判断できないと発表しましたが、その後の記者会見で市長は、「いじめがあったから生徒は亡くなったと思う。市教委の調査はずさんで全く信用できない。亡くなった方と遺族に心からおわびをしたい」と述べ、別途調査委員会を設置し、市が争っている生徒の両親との裁判で和解の道を探す考えを明らかにしました。こうした大津市の対応について、教育委員会制度自体にも疑問の声が各方面で上がりました。
 そこで、ここでは、この制度面と、いじめ・不登校への対応という内容面から取り上げてみたいと思います。まずは制度面の点からお伺いします。教育委員会制度と区長部局との連携についてでございます。
 教育行政に関しては、国では内閣の統括のもとに文部科学省が担っていますが、自治体では教育委員会制度がとられています。制度自体は法律で決まっていて、その意義は、政治的中立性の確保、継続性・安定性の確保、地域住民の意向の反映などであり、首長からの独立性に制度の特性があると理解しています。そして、教育委員会の事務執行責任者と言える教育長は、首長が直接選任できず、あくまで教育委員の一人として任命され、教育長としては、教育委員会が任命する形となっています。このため、選挙で公約した首長の意向の反映は、教育委員の任命という人事権や予算編成権、各種計画の策定などを通して行われるものと思われます。すると、例えば小中一貫教育校の設置や、学校の統廃合などの政策判断は実際どのように行われるのか、一般にはなかなかわかりにくいものとなっているのではないかと思います。
 ここで気になるのが、問題が起きたときの責任の所在が曖昧になるのではないかということです。これは区長部局の問題、いや、教育委員会の問題と、どこに責任があるのかわからなくなってしまうのではないかという懸念です。今回のような事件への対応では、教育委員会だけの課題としてではなく、区長部局の子ども家庭支援センターなどとも連携し、迅速な対応をとることが解決の第一歩になると考えます。
 そこで、港区では、いじめや不登校などの課題に対して、教育委員会と区長部局とでどのように連携を図っているのかお伺いします。

◯指導室長(平田英司君)  子どもたちが安心して健やかに成長していくためには、多くの大人たちがかかわりながら、教育的視点や福祉的視点など、多様な視点から見守っていくことが大切だと認識しております。このことを踏まえ、教育委員会では、子ども家庭支援センターが主催する連絡会や研修会に担当者が出席し、情報を共有しながら連携を図っております。また、ことし5月には教育委員会主催の生活指導主任会を、子ども家庭支援センターが設置されているみなと保健所で開催するなどして、子ども家庭支援センター職員に講義をしていただき、各校の生活指導担当が子ども家庭支援センターの役割及び機能への理解や、関係機関との連携した対応のあり方等について学ぶ機会をもちました。今後も、教育委員会及び学校は、いじめ・不登校・虐待などの子どもの健全育成にかかわる課題について、早期発見・早期解決に向けて、子ども家庭支援センターとの連携・協力関係を強化してまいります。

◯委員(土屋 準君)  ぜひ適切な連携が図られますよう、教育委員会並びに教育委員会事務局の皆様にお願いいたします。
 次に、内容面の点からお伺いいたします。いじめ・不登校への対応についてでございますけれども、全国ではいろいろな実態が報じられていますけれども、港区ではいじめや不登校の実態はどのようになっていますでしょうか。

◯指導室長(平田英司君)  本区の小・中学校におけるいじめの実態については、例年行っている年間3回の調査に加えて、この7月には、いじめ実態把握のための緊急調査を実施し、小学校では2件、中学校では5件をいじめと認知いたしました。
 また、アンケート調査や教員の観察から、いじめの疑いがあると思われる件数については、小学校27件、中学校16件を把握しております。こうした事案につきましては、引き続き経過観察をしており、解決まできちんと確認するようにしております。
 不登校につきましては、文部科学省が実施している平成23年度児童生徒の問題行動調査より、小学校の不登校出現率については、国の平均が0.33%、都の平均が0.36%に対し、本区は0.21%です。中学校の不登校出現率については、国の平均が2.64%、都の平均が2.93%に対し、本区では2.47%です。本区の不登校の出現率は、小・中学校ともに、過去3年間、国及び都よりも少ない現状にあります。

◯委員(土屋 準君)  それでは、いじめ・不登校への対応についてお伺いいたします。
 例えば、杉並区では、不登校児の対応として図書館の活用をしています。気軽に足を運べ、さまざまな興味に応える本が豊富にある環境で学校復帰への力を養ってもらおうということで、状況を見ながら、場所の増加や幼児から高齢者まで幅広い利用者との触れ合いなども検討したいとのことです。このように自治体によってさまざまな工夫をしていると思いますけれども、港区では、いじめ・不登校への対応はどのようにしているのでしょうか。

◯指導室長(平田英司君)  東京都が行っております6月、11月、2月の年3回のふれあい月間の取り組みを通して、全ての児童・生徒へのアンケート調査及び面接を実施し、いじめの早期発見・早期解決に努めております。調査において判明したいじめについては、各学校がその解決に向けて適切に対応できるよう学校を指導するとともに、最終的な解決が図られるまで見取っております。いじめの予防措置としましては、区独自のいじめ防止カードを全小・中学校の全児童・生徒に配付し、各学校で「いじめをしない。させない。許さない」の指導の徹底を図っております。また、保護者向けいじめ対策リーフレットも配付して、家庭からの協力を得られるよう啓発しております。
 そして、何よりも子ども自身がいじめ問題に主体的に取り組む機会を持つことが大切であると捉え、平成19年度から実施している港区子どもサミット「いじめ対策フォーラム」の中では、各校の代表児童・生徒が、いじめ根絶に向けた取り組みや考え方の意見交換を行い、「港子ども宣言」として発表しております。今後は、子どもサミットでまとめた提言等を各学校でより有効に活用できる機会を設定し、子どもたちが一層主体的にいじめ問題に取り組めるよう工夫、改善してまいります。

◯委員(土屋 準君)  いろいろな工夫をされて、ぜひ万全の対応をしていっていただきたいと思っています。
 もう一つ、教育センターの機能についてお伺いいたします。
 現在、教育センターではさまざまな相談事業を行っているということですけれども、どのような機能を果たしているのでしょうか。また、現在、新教育センターの構想がありますけれども、そこでは、いじめ・不登校対策についての機能強化は図られるのでしょうか。

◯指導室長(平田英司君)  教育センター内の教育相談体制は、子どものことについての悩みや心配事の電話または来所による教育相談を実施しております。電話による相談は、幼稚園園長や小・中学校校長等を退職した経験者が、教育全般に関する相談を平日に受け付けております。来所による教育相談は、心理学の専門家である教育相談員が保護者と子どもそれぞれから話を聞き、必要に応じて継続的に面接やプレイセラピー、心理検査を実施しております。新教育センターにおける教育相談機能については、子どもたちや保護者が学習や子育ての課題を解決する拠点となるように考えております。今後、教育相談機能につきましては、検討を深めてまいります。

◯委員(土屋 準君)  ぜひ今後とも対応を強化していっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で終わります。

◯委員長(樋渡紀和子君)  土屋委員の発言は終わりました。

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