土屋 準(つちや じゅん) 議会報告

定例会報告

平成26年度 土屋 じゅん 定例会での発言

◯八番(土屋 準君) 平成二十六年第三回港区議会定例会にあたり、自民党議員団の一員として、武井区長に質問します。
 今月三日、第二次安倍改造内閣が発足しました。安倍総理は、同日の記者会見で「実行実現内閣」と説明するとともに、引き続き経済最優先でデフレからの脱却を目指し、成長戦略の実行に全力を尽くすと強調しました。いまだ道半ばである教育再生や社会保障制度改革などともあわせ、諸政策がさらに大胆に、かつ、力強く実行されるよう期待しております。
 区政に関しても二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催や、子ども・子育て支援新制度の導入、教育委員会制度改革など関連する影響の大きい課題がありますが、地域の活性化と区民福祉の向上に大いに寄与することを願いつつ質問に入らせていただきます。
 初めに、港区行政経営方針についてです。
 今後の区政運営の方向性を示す港区行政経営方針の策定が、現在進められています。これまでは、平成十四年に策定した港区行政改革大綱に基づき、区政運営が行われてきました。行政改革大綱は、少子高齢化の急速な進行や長引く景気の低迷など、当時の社会状況の変化に対応しつつ、区民のニーズに的確に応えるため、簡素で効率的な区政運営を目指す行政改革の方向性を示すものとして策定されました。
 大綱を策定してから十二年が経過し、港区では、高齢化が進む一方、子どもも増えており、子育て支援が大きな課題となっています。人口は増加傾向にあり、区に求められる行政需要は確実に大きくなっています。また、二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックの開催や国家戦略特区の指定など、さらに港区の発展が期待される状況にあります。このように行政改革大綱がつくられた当時とは、港区を取り巻く社会経済状況は大きく異なっています。
 港区行政経営方針は、そうした新たな環境の変化に対応した、これからの時代にふさわしい区政運営のあり方を示すため策定されるものであると理解しています。行政経営方針は、これまでの簡素で効率的な区政運営と、総合支所中心の区政運営をさらに発展させるものとのことですが、行政改革大綱がどちらかといえば、削減、縮小路線であったのに対し、積極的に区政を展開していこうという方向性が感じられる内容となっています。
 行政経営方針では、目指すべき区政運営の姿として、区民がいつでもどこでもワンストップでサービスを受けられる区政運営、人と人とのつながりが幾重にも広がり、互いの顔が見える区政運営等が示されています。この目指すべき区政運営の姿を実現するための方針が五つ掲げられていますが、それは総合支所中心の区政運営を推進するための経営力の強化、多様な主体間のネットワークを生かした経営の実践、必要な情報やサービスを区民に確実に届ける、ICTを最大限に活用した経営の実践、戦略性のある人材育成と能力を最大限に発揮できる区政運営の推進です。
 区民が安全・安心で快適に生活を送れるよう、行政経営方針が掲げる目指すべき区政運営の姿を実現してもらい、サブタイトルにもあるように、「未来へ向かって挑戦」していただきたいと思っております。
 そこで、行政経営方針が確実に実現されるよう質問いたします。行政経営方針に掲げられている方針は、いずれも重要な取り組みです。経営資源の有効活用、参画と協働、ワンストップによる区民サービスの提供、ICTの最大限の活用、人材育成と多分野にわたるわけですが、それぞれは密接に関連しています。ワンストップで区民サービスを提供していくためには、それを担う人材の育成が必要ですし、その基礎となるICTの整備も必要です。取り組みの全体的な進行管理や進行状況のチェックも必要ではないでしょうか。行政経営方針を策定した後、方針として掲げた目標を確実に実現するため、どのように取り組みを進めていくのか、お伺いします。
 次に、港区政策評価についてです。
 今回、基本計画の策定にあわせ、政策評価が初めて実施されました。政策評価は、基本計画に掲げられている政策の達成度を評価するとともに、基本計画期間三年間の社会経済状況等の変化を勘案し、今後の施策の方向性を明らかにすることを目的としていて、評価結果は次期基本計画に反映されるとのことです。事務事業評価は他の自治体でも広く取り入れられているようですが、政策レベルの評価を行っているところは他に余り例がないとのことで、その中で港区は、公募区民を行政評価委員会に加えるなど、先進的な取り組みを行っています。
 そこで質問ですが、実際に政策評価を行ったところ、その成果はどのようなものであり、課題はどのようなものがあったか、お伺いします。
 また、政策評価では、政策を「十分に達成」、「概ね達成」、「達成が不十分」の三区分で評価しています。評価結果は、「十分に達成」が四政策、「概ね達成」が二十一政策でしたが、「達成が不十分」と評価された政策も二政策ありました。PDCAサイクルでは、評価を受け、必要に応じて計画を修正するわけですが、政策評価結果を踏まえ、どのように対応するのか、お伺いします。
 次に、帰宅困難者対策の推進についてです。
 昨年十二月二十七日付で首都直下地震対策特別措置法が施行され、本年三月二十八日の中央防災会議及び閣議において、港区は、千代田区、中央区、新宿区の他の都心の三区とともに、首都中枢機能維持基盤整備等地区に指定されました。指定された地区を含む地方公共団体が作成する首都中枢機能維持基盤整備等計画はこれからの課題だと思いますが、首都中枢機関の集積状況や昼夜間人口を考慮して指定されたことを考えると、港区は全国の自治体の中でも特異な状況にあると思われます。
 港区は、夜間人口は二十四万人ですが、昼間人口は約九十万人と言われ、東京二十三区の中で一位になっているということです。報道にも、「港区には主要駅が多数あるなど、帰宅困難者対策が重要な課題となっている」とありましたが、まさに東日本大震災のときも多数の帰宅困難者により大混乱となったのは記憶に新しいところであり、より一層の帰宅困難者対策が望まれるところです。
 さて、九月一日は防災の日ですが、この日、武井区長は、新橋駅周辺滞留者対策推進協議会から、災害時に帰宅困難者を自社施設に受け入れる事業者向けに策定された「一時滞在施設運営マニュアル」の完成報告を受けられました。NHKテレビや新聞で報道されるなど、港区における取り組みが全国に先駆けるものとして大きく取り上げられています。
 そこで質問ですが、この一時滞在施設運営マニュアルはどのような特徴を持ったもので、港区はどのように活用していくのか、現在の帰宅困難者対策の進捗状況もあわせてお聞かせください。
 次に、虎ノ門駅南地区のまちづくりについてです。
 本年三月、環状二号線の新橋から虎ノ門までの区間が「新虎通り」として開通し、六月には虎ノ門ヒルズがオープンしました。新虎通りでは十三メートルにもなる広い幅員の歩道内にオープンカフェが設置され、虎ノ門ヒルズ周辺の地域は、テレビや新聞などで繰り返し報道されて、東京の新名所として世間からの注目を集めています。
 虎ノ門駅南地区は、東京メトロ銀座線虎ノ門駅の南側に位置し、平成二十四年三月に区が策定した環状二号線周辺地区まちづくりガイドラインでは虎ノ門エリアに含まれています。虎ノ門エリアは、虎ノ門駅を中心とした東京を代表するビジネス街であり、桜田通りや外堀通りの沿道は土地の高度利用が図られています。
 一方、虎ノ門エリアの内側では、敷地が細分化されていることや、幅員の狭い道路が多いなどの課題もあります。また、虎ノ門駅は地上に通じる通路が狭く、朝夕は特に混雑していることに加え、駅と虎ノ門ヒルズを結ぶ通りやその周辺では、歩行者空間やオープンスペースが少ないために、安全性や防災性に不安がある地域となっています。
 区は、このような地区の課題を解決し、この地区のさらなる活性化と安全・安心で快適な歩行空間を確保しつつ、魅力的な街並みを形成していくため、東京のしゃれた街並みづくり推進条例に基づく街並み再生方針を活用したまちづくりについて、地元とともに検討してきました。
 そして、先月二十七日、虎ノ門駅南地区は東京都から街並み再生地区に指定され、街並み再生方針が策定されました。本年三月には、国家戦略特区の指定を見据えた、東京メトロ日比谷線の新駅の整備やその周辺の街区での開発構想が発表されており、今後のこの地域の街並みは大きな変貌を遂げていくことになります。
 そこで、虎ノ門駅の混雑解消や安全な歩行空間の確保など、虎ノ門駅南地区の課題解決のため、区はどのように取り組むのか、お考えを伺います。
 次に、羽田空港アクセス新線についてです。
 報道によると、先月、JR東日本は、都心と羽田空港を結ぶ新線をつくる羽田空港アクセス線構想を明らかにしました。新線は、山手線田町駅付近で休止中の貨物線など既存の鉄道網を使い、東京駅、新宿駅、新木場駅と羽田空港を結ぶ三つの路線を整備するとのことで、上野駅と東京駅を結ぶ東北縦貫線が来春開業するため、現在は上野駅どまりの東北(宇都宮)、高崎、常磐各線も羽田空港への直通運転が可能になるとのことです。港区には、新橋駅、浜松町駅、田町駅、品川駅というJRの主要駅がありますが、この新線構想が都心や千葉方面から羽田空港へのアクセス向上を図るのが狙いということを考えると、港区内には駅はできず、単なる通過地域となってしまうことが懸念されます。
 また、東京モノレールが現在のターミナル駅である浜松町駅から延伸し、JR東京駅に新ターミナル駅の開設を検討していて、延伸区間に中間駅新設の予定はないとの報道もありました。そうなると、浜松町駅自体はなくならなくても、始発駅が東京駅となることから、浜松町駅にとまらない空港快速が運行されることも考えられます。港区はこれまで、モノレールの始発駅であることから「空の玄関口」と言われてきましたが、JRの新線の駅もできず、モノレールの始発駅もなくなるということになれば、「空の玄関口」とは呼べなくなってしまうのではないかと懸念しています。
 羽田空港へのアクセス線の駅ができるかどうかは、地域の発展にとっても大きな違いが出てくると思われます。これらの構想はまだ具体的な点は明らかになっていませんが、地域の発展の観点から、区としてできる限りの対応をされるよう要望いたします。
 次に、細街路整備事業についてです。
 区内には幅員が四メートル未満の道路が公・私道合わせて約八十キロメートルもあります。こうした道路は、日常生活においては通行がしにくく、また、日当たりや通風も悪くなることから良好な住環境を営むためには障害となります。その上、道路の幅が狭いことは、ひとたび火災や地震などの災害が発生した場合、消防や救援活動のほか、そこに住み暮らす人々の避難活動にも支障を来すこととなります。ご承知のとおり、都内においては首都直下地震の切迫性などが新聞等で報じられており、また、昨今は地球温暖化の影響によるものと思われる大雨や台風などの災害が各地で発生しており、私たちの身近でもいつこのような自然災害が起こるかわかりません。
 このため、広域避難場所への通路や緊急自動車の進入路の確保は、区民が安全・安心に暮らしていくためには必要不可欠であり、このようなことに直結した事業である細街路拡幅整備事業は、そのためにも推進していかなければならない事業の一つだと考えます。
 ただ、現実としては、細街路を広げようとしても、拡幅する部分は区の土地ではないことや、そこには既に堀や物置のほか、家屋なども建ち並んでいるような状況があります。こうしたことから、区は新たに建築物を建て替える機会を捉えて、建築主や土地所有者に事業の内容を説明し、理解を得て、少しずつ細街路の拡幅協議を進めていると聞いています。
 そこで質問ですが、細街路整備事業は、相手もおり、時間がかかる地道な事業であると思います。しかし、区民の住環境の改善や安全・安心な生活のことを考えれば、この事業はできるだけ早く進めることが求められています。そのためには、細街路整備事業を展開するための環境を積極的に整える必要があると考えますが、区はどのように考えているか、お伺いします。
 次に、地域経済の活性化についてです。
 内閣府が八月に発表した月例経済報告によると、「総論としての景気は、緩やかな回復基調が続いており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動も和らぎつつある」としています。また、「企業収益は改善に足踏みが見られ、企業の業況判断は慎重となっているものの、雇用情勢は着実に改善し、消費者物価は緩やかに上昇するなどの改善の兆しも見られる」としています。先行きについても、「当面、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により一部に弱さが残るものの、次第にその影響が薄れ、各種政策の効果が発現する中で、緩やかに回復していくことが期待される」としています。経済の好循環に向けた動きが期待されて長くなりますが、私は、日本経済としては再生の道に向かい、歩みを進めているものと考えております。
 来年十月から消費税率を一〇%に引き上げることを今年中に判断するとしておりますが、経済再生と財政健全化の両立を果たすための難しい判断がなされると思います。消費税率引き上げの影響については、各方面からさまざまな見解が出されておりますけれども、引き上げ前後には駆け込み需要とその反動減が予想されます。これは小売業等への相当な影響が出るため、しっかりとした対策を行うことが必要であると考えております。
 さて、区内に目を向けますと、中小企業や商店の経営状況は依然として厳しく、町場の方々からは、なかなか明るい話題をお聞きすることができない現実もあります。また、区民の方々の消費生活についても、まだまだ実感として景気回復効果が波及し切れていない部分もあると考えております。区はこれまでも、緊急支援融資をはじめ、プレミアム付き区内共通商品券の発行や商店街消費拡大セールの実施支援など、区内産業と区民生活を支えるためのさまざまな事業展開をしてきました。特に、今年度のプレミアム付き区内共通商品券の追加発行について補正予算として計上されましたことなどもあわせ、これらの施策は実効性が高く、また、即効力があると大変評価させていただいております。
 今後も区は、こうした過去から行われている効果的な施策を継続的かつ大胆に実施することで、区内経済の活性化につなげるべきと考えております。経済の好循環の実現に向けた支援策として、継続的かつ大胆なプレミアム付き区内共通商品券発行を実施し、地域経済の活性化につなげる必要があると考えますが、区長のお考えをお伺いします。
 次に、高齢者のサポートについてです。
 まず、成年後見制度についてです。港区の六十五歳以上の高齢者人口は、昨年四万人を超えましたが、今後も増加傾向にあり、本年三月に発表された港区人口推計によると、平成三十三年には四万五千人を超えるとされています。人口増加に伴い、認知症の方や障害者の方の人口も増えることが予想されるとともに、成年後見制度の必要性も増してきます。
 社会福祉協議会における成年後見制度の相談件数は増えてきているようですが、まだまだ成年後見制度に対する認知度が低い状況にあるのではないでしょうか。区民が高齢になり判断能力が乏しくなっても、住み慣れた地域で安心して暮らしていきたいという思いに応えるためには、一人ひとりの区民が自分の健康、財産、家族関係等に応じた後見人を決めておける任意後見の制度等、成年後見制度の理解促進を図る必要がこれまで以上にあるのではないかと思います。
 そこで質問ですが、高齢者の安心をサポートする成年後見制度に、区として、今後どう取り組んでいくのかお伺いします。
 次に、高齢者の見守りについてです。
 港区政策創造研究所の調査や港区人口推計から推測すると、港区では今後、ひとり暮らし高齢者や高齢者夫婦だけの世帯の増加が見込まれます。現行の基本計画では、「安全安心を支え合う地域づくりの推進」として、地域のさまざまな活動主体を生かした高齢者のセーフティネットワークを構築するとされています。区はこの間、地域に積極的に出向き、高齢者の困り事などの相談を受け、必要な支援につなげるふれあい相談員を各地に配置するなど、先進的な事業を進めてきました。
 そのような中で、本年七月、区は、日ごろから地域で個別訪問している電気、ガス、水道のライフライン事業者の協力を得て、行政による支援が必要なご高齢や障害のある方の異変を早期に把握し、必要な支援につなげることを目的として、各ライフライン事業者と高齢者の見守りに関する協定を締結しました。この締結により、区とライフライン事業者は、区内在住の要支援者の安否確認等の根拠を明らかにでき、速やかな支援を実現できるようになると思われます。
 そこで質問ですが、高齢者を見守り、地域で安心して生活できるようにすることは、区の大きな課題です。高齢者の見守りについて、区は、今後どのように取り組んでいくか、お伺いします。
 最後に、所在不明児童への対応についてです。
 最近、所在がわからず関係機関が探していた児童が、保護者からの虐待や遺棄により、遺体で発見されたなどの事件が各地で相次いで報道され、非常にショックを受けました。幼い子どもが家に置き去りにされ、食事も満足に与えられず、それでもすがるしかない親を呼びながら命を落としていった姿を想像すると、私たち一人ひとりが何かできることがあったのではと、大変つらい気持ちになります。
 厚生労働省は、このような状況を踏まえ、本年四月に初めて全国の区市町村を対象に調査を実施しました。そしてその結果、「居住実態が把握できない児童」が、五月一日時点で全国に二千九百八人いると、先月二十九日に発表しました。「居住実態が把握できない児童」とは、調査時点で住民票はあるけれど、乳幼児健康診査や就学時健診を受診しない、あるいは学校等を長期欠席していて、いずれも保護者や児童と連絡がとれないなどにより、区市町村が居住実態の確認が必要と判断した家庭の児童だそうです。国では、この後、児童虐待防止対策に対する副大臣会議を設置して、政府一体となって所在の把握に努めることを確認したとのことです。
 区では、今回の調査で居住実態が把握できない児童は、当初十人いるとされていましたが、現時点で幸い全員の確認ができているということです。都心港区は、新生児を含め児童数が増加している数少ない自治体ですが、生活スタイルの多様化や核家族化が非常に進んでおり、さまざまな国籍の児童も大勢暮らしています。私は、港区の全ての子どもの命を守り、支援が必要な子どもを発見するために、居住実態把握の取り組みは大変重要であると思います。みなと保健所、子ども家庭支援部、教育委員会、各地区総合支所がしっかりと連携して、この居住実態把握の取り組みを今後も責任を持って続けていくべきと考えます。
 そこで質問ですが、港区の児童の居住実態把握について、どのように取り組んでいくか、区長のお考えをお伺いします。
 以上で質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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